“架空の新しい人生”が送れる、30歳未満入店禁止のサロン
誰しもが、一度は抱えたことがあるかもしれない。「今とは違う人生を送ってみたい……」という、密かな欲求を。
後悔の念からなのか、単純に好奇心からなのか、どちらにしろこの“if”には興味がある。
そこで、このお店だ。秋葉原にて9月1日よりオープンした「人生遊戯酒場 三叉路(サンサロ)」のコンセプトは、「あなたの人生をやり直す、大人のためのライフシミュレーションバー」である。
この「三叉路」、とにかくシステムが風変り。まず手始めのインパクトは、「30歳未満入店禁止」という、大胆なルールだろうか。
「秋葉原にはコンセプト系のお店が多いですが、どこもスタッフさんが若いんですね。そこでお客さんもスタッフも大人限定で、落ち着いた雰囲気のバーを作りたかったんです」(同店店長・柴田さん)
“キャピキャピ”したノリを、あえて避けてみせた。
では、同店ではどんな楽しみが待っているのか。
このお店の会員になると、自身とは別の架空のキャラクターが与えられる。そして、毎回の入店時にルーレットを回し、出た目の分だけ時が経過する。入会時はもちろん0歳で、来店ごとに年齢を重ねていくというシステム。まさに「まったく新しい人生」のスタート!
でも、ただ単に時が進むわけじゃない。人生なんだから、キャラクターや能力を身に付けて成長していくのは当然。
この新しい人生においては、バラメーターが非常に細かく設定されている。それらを上手にアップさせることが、「三叉路」で過ごす一つの目標である。
では、どんなバラメーターで構成されているのか。
“性格系”には、「真面目」、「お笑い」、「おバカ」、「温和」、「熱血」、「ドライ」などの要素が設けられた。“気質系”には「強運」、「繊細」、「モテ」、「カリスマ」、「サディズム」、「マゾヒズム」などが。“学術系”は「国語」、「数学」、「理科」、「社会」、「体育会系」、「家庭科」……。これらの様々な要素が掛け合わされる。
当然、バラメーターは新しい人生における行事(進学や就職等)に深く影響する。超進学校や美術系の大学に進みたい人もいるだろうし、プロ野球選手やお医者さんになりたい人だっているだろう。そのためには、自身の適性を見極めてチャレンジするのが賢明である。運動能力、社交性、熱血……、どれも重要な要素に違いない。
では、どうすればそれらが上昇していくのか? ハッキリ言って、それは秘密。ただ、ざっくり説明すると店内での振る舞いによるところが非常に大きい。
たとえば、ある特定のメニューを飲食するとバラメーターのどれかが上昇する。他にも、店内でのトーク中にほろっと来るような名言を吐くと、何かの値がアップしたり。キリがないほど色々あるのだが、特に面白いと思ったのは「読書感想文」と「テスト」。
ふと店内を見ると、「三叉路」の本棚には何十冊もの本がビッシリと揃えられていた。このコレクションが幅広い。『森鴎外集』や『ダライラマの仏教入門』といった堅めのものもありつつ、『コージ苑』(相原コージ)、『去年ルノアールにて』(せきしろ)など背伸び不要の書籍まで。これらは自由に読書でき、その本の読書感想文を書き上げると、何かしらのバラメーターが上がるかもしれないのだ。
もう一つ気になるのが、何と言っても「テスト」である。10〜20代前半の時期には重荷だったテスト。当然、新しい人生でも学力テストを受ける機会は待ち受けている。
この内容が、もう普通にテスト。中学英語のテストには、英訳問題や英作文問題が設けられていた。それにしても「この動詞の過去形を書きなさい」なんて出題文を目にしただけで、私は頭が痛くなってしまったな。だが、ここで一踏ん張りすれば、実り多き人生が歩めるかもしれないし……。
ちなみに、「三叉路」での人生のゴールは50歳。50年を全うしたら、人生の年表や節目節目で撮影した写真、人生の中で書いた文章等をまとめたファイルがプレゼントされる。
そして、2周目へ突入……。
最後に、人生に欠かせないのは女性だ。同店の女性スタッフのことは、「サロンメイト」略して「叉路女(サロメ)」と呼ぶのが正しいルールである。彼女たちは人生経験豊富なレディばかりで、いつもオトナな衣装(着物、スーツ、バニーガールなど)で我々を出迎えてくれるという。見た感じ、20代後半から30代前半の女性が多いだろうか?
「“女の子は若いうちが花”というお考えの方には喜んでいただけません。ご注意を……」(柴田さん)
いや、どストライクでした。
(寺西ジャジューカ)
後悔の念からなのか、単純に好奇心からなのか、どちらにしろこの“if”には興味がある。
そこで、このお店だ。秋葉原にて9月1日よりオープンした「人生遊戯酒場 三叉路(サンサロ)」のコンセプトは、「あなたの人生をやり直す、大人のためのライフシミュレーションバー」である。
「秋葉原にはコンセプト系のお店が多いですが、どこもスタッフさんが若いんですね。そこでお客さんもスタッフも大人限定で、落ち着いた雰囲気のバーを作りたかったんです」(同店店長・柴田さん)
“キャピキャピ”したノリを、あえて避けてみせた。
では、同店ではどんな楽しみが待っているのか。
このお店の会員になると、自身とは別の架空のキャラクターが与えられる。そして、毎回の入店時にルーレットを回し、出た目の分だけ時が経過する。入会時はもちろん0歳で、来店ごとに年齢を重ねていくというシステム。まさに「まったく新しい人生」のスタート!
でも、ただ単に時が進むわけじゃない。人生なんだから、キャラクターや能力を身に付けて成長していくのは当然。
この新しい人生においては、バラメーターが非常に細かく設定されている。それらを上手にアップさせることが、「三叉路」で過ごす一つの目標である。
では、どんなバラメーターで構成されているのか。
“性格系”には、「真面目」、「お笑い」、「おバカ」、「温和」、「熱血」、「ドライ」などの要素が設けられた。“気質系”には「強運」、「繊細」、「モテ」、「カリスマ」、「サディズム」、「マゾヒズム」などが。“学術系”は「国語」、「数学」、「理科」、「社会」、「体育会系」、「家庭科」……。これらの様々な要素が掛け合わされる。
当然、バラメーターは新しい人生における行事(進学や就職等)に深く影響する。超進学校や美術系の大学に進みたい人もいるだろうし、プロ野球選手やお医者さんになりたい人だっているだろう。そのためには、自身の適性を見極めてチャレンジするのが賢明である。運動能力、社交性、熱血……、どれも重要な要素に違いない。
では、どうすればそれらが上昇していくのか? ハッキリ言って、それは秘密。ただ、ざっくり説明すると店内での振る舞いによるところが非常に大きい。
たとえば、ある特定のメニューを飲食するとバラメーターのどれかが上昇する。他にも、店内でのトーク中にほろっと来るような名言を吐くと、何かの値がアップしたり。キリがないほど色々あるのだが、特に面白いと思ったのは「読書感想文」と「テスト」。
ふと店内を見ると、「三叉路」の本棚には何十冊もの本がビッシリと揃えられていた。このコレクションが幅広い。『森鴎外集』や『ダライラマの仏教入門』といった堅めのものもありつつ、『コージ苑』(相原コージ)、『去年ルノアールにて』(せきしろ)など背伸び不要の書籍まで。これらは自由に読書でき、その本の読書感想文を書き上げると、何かしらのバラメーターが上がるかもしれないのだ。
もう一つ気になるのが、何と言っても「テスト」である。10〜20代前半の時期には重荷だったテスト。当然、新しい人生でも学力テストを受ける機会は待ち受けている。
この内容が、もう普通にテスト。中学英語のテストには、英訳問題や英作文問題が設けられていた。それにしても「この動詞の過去形を書きなさい」なんて出題文を目にしただけで、私は頭が痛くなってしまったな。だが、ここで一踏ん張りすれば、実り多き人生が歩めるかもしれないし……。
ちなみに、「三叉路」での人生のゴールは50歳。50年を全うしたら、人生の年表や節目節目で撮影した写真、人生の中で書いた文章等をまとめたファイルがプレゼントされる。
そして、2周目へ突入……。
最後に、人生に欠かせないのは女性だ。同店の女性スタッフのことは、「サロンメイト」略して「叉路女(サロメ)」と呼ぶのが正しいルールである。彼女たちは人生経験豊富なレディばかりで、いつもオトナな衣装(着物、スーツ、バニーガールなど)で我々を出迎えてくれるという。見た感じ、20代後半から30代前半の女性が多いだろうか?
「“女の子は若いうちが花”というお考えの方には喜んでいただけません。ご注意を……」(柴田さん)
いや、どストライクでした。
(寺西ジャジューカ)