震災から半年、復興支援に活躍した地図
東日本大震災の発生から半年が経過した。
現在も被災地の復興は進むが、地震や津波の影響で、多くの町や道路の様子が変わってしまった。
『東日本大震災 復興支援地図』。青森から千葉県に至る、震災で大きな被害を受けた東北〜関東の太平洋側を中心に構成された地図帳だ。太平洋沿岸の5万分の1の地図と、青森から東京にかけた広域の地図で構成されていて、被災地までのアクセスなどが確認できる。
冒頭に、
<津波被災状況の把握や移動時の交通規制情報の確認、地理的情報の共有化など現地においてさまざまにお役立ていただけるものと確信し、本書の出版を企画いたしました>
とあるが、その名の通り、震災からの復興にあたり、必要とされる情報が盛り込まれた地図で、今年5月に被災地自治体など復興支援に関わる機関に無償で配布されたあと、6月に一般発売された。
地図には震災関連情報として、「津波浸水範囲表示」「災害対策本部」「避難所」「道路交通規制」「鉄道運休状況」という、被災地の方々や、復興作業やボランティアにあたる人たちに必要とされる情報が盛り込まれている(情報は2011年4月時点の取材結果によるもの)。
地図を開くと、「災害対策本部」「避難所」、「運休中」といった通常の地図にはない表記が、赤文字で強調され、目に飛び込んでくる。そして、地図の一部に色付けされている地域があるのだが、この色分けされた部分が「津波浸水範囲」として、津波被害を受けたエリアを表している。色付けされている場所には、震災前に存在した建物や駅などが、以前のままに記されている。その中には失われてしまったものも少なくないことを思うと、被害の大きさをあらためて生々しく感じる。誤解を招かないようにしたいが、これもまた、震災の貴重な記録といっていいのではないだろうか。
地図の発行元の昭文社によると、当初から好評で、初版の3万部から増刷を繰り返し、8万部が発行されたとのこと。
それにしても、震災発生からしばらくの間は、各地の情報を得ることも困難だったと思われるが、昭文社の担当者によると、
「各自治体など、公の機関を通してご協力いただきました。その中から必要最小限のものを、既存の地図に落とし込んでいきました」
ということだ。
被災地の沿岸部を詳しく網羅したこの地図は、B4版というやや大きめの版型なのだが、これは、
「被災地の状況が一覧できて、地図を使用される方が見やすく、使いやすい大きさということで、この大きさになりました」
とのこと。
震災から半年がたち、運行を再開した路線も多く、仮設住宅も建設され閉鎖された避難所もある。道路事情もまた、地図が発行された頃とは、被災地の状況も大きく変わってきている。
「当初の役割を果たし終えたということになります」(昭文社)
と、現在店頭に並んでいるもので販売は終了となる。
「何よりも、いち早く迅速に発行できたことに、意義があったと思います」
地図には、
<一日も早く、被災地域が新しい「地図」を取り戻し、それを手にした旅人が返ることを強く祈年いたします>
と書かれている。1日も早い、震災前の豊かな東日本の姿が取り戻されますよう。
(太田サトル)
現在も被災地の復興は進むが、地震や津波の影響で、多くの町や道路の様子が変わってしまった。
『東日本大震災 復興支援地図』。青森から千葉県に至る、震災で大きな被害を受けた東北〜関東の太平洋側を中心に構成された地図帳だ。太平洋沿岸の5万分の1の地図と、青森から東京にかけた広域の地図で構成されていて、被災地までのアクセスなどが確認できる。
冒頭に、
<津波被災状況の把握や移動時の交通規制情報の確認、地理的情報の共有化など現地においてさまざまにお役立ていただけるものと確信し、本書の出版を企画いたしました>
とあるが、その名の通り、震災からの復興にあたり、必要とされる情報が盛り込まれた地図で、今年5月に被災地自治体など復興支援に関わる機関に無償で配布されたあと、6月に一般発売された。
地図を開くと、「災害対策本部」「避難所」、「運休中」といった通常の地図にはない表記が、赤文字で強調され、目に飛び込んでくる。そして、地図の一部に色付けされている地域があるのだが、この色分けされた部分が「津波浸水範囲」として、津波被害を受けたエリアを表している。色付けされている場所には、震災前に存在した建物や駅などが、以前のままに記されている。その中には失われてしまったものも少なくないことを思うと、被害の大きさをあらためて生々しく感じる。誤解を招かないようにしたいが、これもまた、震災の貴重な記録といっていいのではないだろうか。
地図の発行元の昭文社によると、当初から好評で、初版の3万部から増刷を繰り返し、8万部が発行されたとのこと。
それにしても、震災発生からしばらくの間は、各地の情報を得ることも困難だったと思われるが、昭文社の担当者によると、
「各自治体など、公の機関を通してご協力いただきました。その中から必要最小限のものを、既存の地図に落とし込んでいきました」
ということだ。
被災地の沿岸部を詳しく網羅したこの地図は、B4版というやや大きめの版型なのだが、これは、
「被災地の状況が一覧できて、地図を使用される方が見やすく、使いやすい大きさということで、この大きさになりました」
とのこと。
震災から半年がたち、運行を再開した路線も多く、仮設住宅も建設され閉鎖された避難所もある。道路事情もまた、地図が発行された頃とは、被災地の状況も大きく変わってきている。
「当初の役割を果たし終えたということになります」(昭文社)
と、現在店頭に並んでいるもので販売は終了となる。
「何よりも、いち早く迅速に発行できたことに、意義があったと思います」
地図には、
<一日も早く、被災地域が新しい「地図」を取り戻し、それを手にした旅人が返ることを強く祈年いたします>
と書かれている。1日も早い、震災前の豊かな東日本の姿が取り戻されますよう。
(太田サトル)