失敗例1:左の人が看板を手で持ってしまっている。

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顔の部分に穴があいており、自分の顔をはめ込むことで別の人物になりきることができる、記念写真撮影用の看板、通称「顔ハメ看板」がある。各旅行先でかなりの高確率で置いてあるのだが、 遠巻きに眺めるだけで利用している人は意外に少ないような気がする。また、実際に利用してみても、パネルの絵と顔のバランスが微妙にずれていたりして、上手に撮影することが難しかったりする。

このように、顔ハメ看板は日本各地に存在するにも関わらず、各地で不遇な立場に甘んじているように思える。もったいないではないか。旅先ではもっと、ハメていくべきなのではないだろうか?

そんな風に一人息巻いていた矢先、『全日本顔ハメ紀行』という興味深い書籍を発見した。著者はいぢちひろゆき氏で、日本全国、88カ所で見つけた顔ハメ看板が写真付きで紹介されている。残念ながらこの本は現在絶版になってしまっているのだが、顔ハメ看板の達人といえるいぢち氏に、顔ハメ看板の活用方法をお聞きした。

いぢち氏いわく、最も重要なのは、やはり表情。顔ハメ看板での写真撮影は、友達や家族との旅行中に見かけて、「ちょっと撮ってみようぜ」的な軽いノリで始まることが多いそうなのだが、「人に見られているという意識のため、どうしても何となく半笑いの表情になってしまう方が多く、これだと中途半端な写真になってしまいます」とのこと。
例えば、侍の顔ハメ看板でニヤニヤしているのはおかしい。侍らしい鋭い眼光を放つ引き締まった表情になりきることで、写真を後で見たときの印象がかなり違うのだそうだ。「武将と姫のようなカップル看板も多いですが、そういうときは互いの視線を絡ませるのもいいですね。顔ハメ看板をよく見て、その背景や人物像に思いを馳せ、登場人物になりきることが重要です」とのこと。

また、別のありがちな失敗として、「パネルを手でつかんだり、肩が看板からはみ出たりして、顔以外のものが写ってしまう」というケースが意外と多いらしい。「看板からは顔だけがはみ出ている状態になるよう、できるだけ体をコンパクトにすることが重要です。旅行鞄などの手荷物も看板の外からはみ出ないよう、気をつけてください」とのこと。

顔ハメ看板を作っているのは地元の看板屋さんやお土産屋さんであり、顔ハメ看板の専門店があるわけではない。そのため、例えば地面から30センチのところに顔ハメの穴が開いていたり、穴のサイズが明らかに顔のサイズと違っていたりなど、「これはどうやって撮影するんだ?」と疑問に感じてしまう看板も多いようだ。そんなときは、気合いで顔をハメてみるのも1つの手だが、無理に顔ハメを試みず、看板そのものを楽しんでみるのもいい。地元にとけ込む看板の手作り感を味わうことも、顔ハメ看板を満喫する1つの極意といえるのである。

旅行に行ったら、恥ずかしがらずに顔ハメや!
(エクソシスト太郎)