『<賢い子に育つ! 0歳からのらくらく子育て>カヨ子ばあちゃん73の言葉』(久保田カヨ子著/ダイヤモンド社)
巻末には、子どもが野菜嫌いで困っているお母さんのために、親も子どももおいしく食べられる14のレシピを収録。カヨ子さんが自分の家の畑でとった野菜で、自ら調理したレシピが写真付きで紹介されている貴重な一冊。

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「夫に頼らず、この本に頼りなさい!」――本につけられていたオビのコピーに目を奪われた。

本書『<賢い子に育つ!0歳からのらくらく子育て>カヨ子ばあちゃん73の言葉』は、0〜3歳児の子育てで困っているお母さん、お父さんに向けて、伝えていきたい73のメッセージが紹介されている。

著者は、現在 79歳! の“脳科学おばあちゃん”こと久保田カヨ子さん。カヨ子さんは自らの育児経験と、夫で脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競(きそう)博士の脳科学理論に裏づけされた育児法を普及させるため、77歳! で「脳研工房」という会社を設立。子育て中のお母さん、お父さんたちに、赤ちゃんの「育脳法」を紹介している。

「核家族化、少子化が進み、まわりで頼れる大人がいない。ダンナも使いものにならない!?(まさに私自身がそうですが)……と、特に、第一子を育てているお母さんたちの中には、悩みをひとりで抱えている方も多いと思います。そういった方や、子育てマニュアル書に救いを求めたものの、モヤモヤ感がぬぐえなかった方にぜひ読んでもらいたい。私自身や社内外の当事者の悩みを、カヨ子ばあちゃんにおもいっきりぶつけました!」とダイヤモンド社の編集担当・寺田庸二さん(@yoji_terada)。
社内外の0〜3歳児の育児で困っている人にも一つひとつ相談しながら、本書はつくられていった。

本書では、「“らくして子育て”をどんどん取り入れるべし」「なぜ、わざわざ離乳食をつくるんですか?」「6か月で卒乳させると、あとがらくになるんよ」「“だっこ”より“おんぶ”」など、今まで耳にしてきた“通説”や“常識”とは異なるところもある。
特に目を引いたのは、「夜9時前に寝かさなくてよろしい」という項目。お父さんの帰りが遅くコミュニケーションがとれないなら、一緒に遊んだり、お風呂に入ってから寝かせればいいとカヨ子さんの言葉。
こういったメッセージたちの根底を流れるのは、「育児マニュアルで言われていることはあくまでも基本型。自分たちのライフスタイルに合わせて変えていけばいい」ということ。

そして「へぇ〜」って思った項目が「歯みがき嫌いは“海苔”で直す」。海苔がたくさんついた「海苔ごはん」を子どもに食べさせ、口をゆすいだ水を見せてみる。「ほら、こんなにとれたでしょ?」と視覚で納得させることが大事というメッセージだ。

カヨ子さんは以前、「脳科学おばあちゃん」としてテレビ番組に出演していたこともあるので、ご存知の方もいるかもしれない。ただ、テレビ番組に出演したときに、「息子を東大に行かせた」というところばかりがクローズアップされてしまったという。
本書は、いい大学へ行かせるための早期教育を提唱したものではなく、カヨ子さんが培ってきた昔ながらの五感を使った育児法、母子相伝の子育ての原点を伝えているものだ。

「育児のテクニック集というより、子育ての原理原則、カヨ子さんの根本的なメッセージがこめられています。自分の子育てに自信がもてない、自責の念にかられてしまったときに、よりどころとして何度も読み返してほしい」と寺田さん。

本書で勇気づけられる言葉が「子育てに失敗など、絶対にない」。「さっきの自分はまずかったかなと思っても、次から愛情をこめて子どもと向き合えばいい」というメッセージだ。
切れ味鋭い中にも、やさしさやあたたかみのあるカヨ子さんの言葉の数々。
育児で迷っているときに背中を押してくれる一冊として使ってほしい。
(dskiwt)