企業が従業員に支給している諸手当の廃止や大幅な減額が退職に与える影響には業界によって大きな違いのあることが、人材紹介・再就職支援サービスのパソナキャリア(東京都千代田区、渡辺尚社長)が実施した調査で分かった。

 昨年12月に同社に来社した転職希望者436人から回答を得た結果によると、廃止や大幅な減額が退職のきっかけになる手当があるかを聞いたところ、「手当は関係ない」(38.1%)、「住宅手当」(12.4%)、「営業・外勤手当」(10.8%)の順となった。

 「手当は関係ない」と答えた割合を業界別にみると、管理部門系(45.2%)、IT系(42.5%)、流通・サービス系(40.3%)、金融系(33.3%)、製造業系(26.8%)、医療系(19.0%)だった。医療系は、手当の廃止や減額が退職に与える影響が他業界に比べて大きい様子がうかがえる。

 業界によって、廃止や減額が退職に影響を与える手当の種類には違いがあり、流通・サービス系は「営業・外勤手当」、金融系は「職務手当」、医療系は「住宅手当」と「役職手当」が、全体の数値と比較して5%以上高い回答となっている。

 支給されている割合の高い手当は、「住宅手当」(28.7%)、「職務手当」(21.3%)、「営業・外勤手当」(17.9%)の順で、「何も支給されていない」は30.3%だった。

 手当の支給状況を業界別にみると、「退職に手当の廃止や減額は関係ない」と回答した割合が最も低くなっている医療系は、「住宅手当」(38.1%)、「職務手当」(28.6%)、「役職手当」(23.8%)は支給されている割合が最も高い業界である一方、「何も支給されていない」(38.1%)と回答した割合も最も高い業界となっている。

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