競馬界にひと足早い"春"が到来した。10日、JRAが2010年度の新規調教師9名、騎手免許試験合格者6名を発表したが、一番の注目はやはり角田晃一騎手の合格だったに違いない。01年にジャングルポケットでダービーを制覇。大舞台での強さを発揮する"仕事人"で、他にもフジキセキ(朝日杯FS)やヒシミラクル(菊花賞、天皇賞・春、宝塚記念)などとのコンビでこれまでG1・10勝を挙げている。受験は今回で4回目。晴れて調教師の扉を開くことに成功した。他にも、菊沢隆徳騎手をはじめ、田中剛助手、千田輝彦助手、日吉正和助手、牧田和弥助手など、今回は元ジョッキーの合格が多かったのが印象的だ。

 一方、騎手免許合格者で新聞をにぎわせているのが菅原隆一くん。父が元ジョッキーの菅原隆明助手というサラブレッドなのだが、もうひとつの顔がなんと子役。幼少時代には「釣りバカ日誌」で西田敏行ふんするハマちゃんの息子・鯉太郎を熱演していた。「中学へ進むときに迷わず騎手の道を選びました。ファンに信頼される騎手になりたい」と、抱負を語っている。

 しかし、"鯉太郎くん"以上に注目の新人騎手がいる。競馬学校時代、三浦皇成以上の注目を集めていたといっても過言ではないその新人とは、平野優くん。実は彼、競馬学校入学は05年のことで、三浦騎手や伊藤工騎手と同期入学なのだ。2年間、留年した彼が、"皇成以上の大物"たる所以――それは、4年前に放送されたあるバラエティー番組にあった。ジャニーズの人気グループV6がメインを務めた番組『学校へ行こう! MAX』(04年4月〜08年9月、TBS系)に当時2年生だった三浦騎手と伊藤工騎手、平野くんらが登場。そこでの扱われ方が"皇成以上"だったのである。

 食堂でのワンシーン。V6メンバーと昼食中に、話題は恋愛の話に…。そして、その話の中心が三浦と平野だったのだが、放送されたコメント、そして存在感では三浦を圧倒していたのだ。純粋な言動と愛嬌のある笑顔。人気番組の敏腕ディレクターをもってしても、"大物感"を感じる存在だったのだろう。その2年後、三浦らがデビューした際に彼の姿がなく、どこか淋しさを感じたファンもいたのではないだろうか。競馬学校には2年間、長くいたが、丸田恭介など留年した騎手でも実力次第で結果を残せるのが競馬界だ。

 「多くの人を支えられる人になっていきたい。また、騎手として、そして一社会人として素晴らしいと思われる人になりたい」と話す平野くん。デビュー予定は3月6日。"全レース全力"を掲げる新人騎手が、名実ともに"皇成以上"になれる日を楽しみに待ちたい。

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