人材紹介のロバート・ウォルターズ(英国ロンドン)が、アジア各国の大手求人情報サイトや国内紙に掲載された求人数を追跡記録したアジア雇用指数によると、アジア各国に比べて日本の雇用回復の遅れが浮き彫りとなった。

 日本、中国、香港、シンガポールの合計を見ると、2009年第3四半期に掲載された求人広告総数は、第2四半期に比べて21.6%増加。第3四半期中には28.3%の増加となっている。

 第3四半期に入ってから専門職ポジションの求人広告が大きく伸びており、昨年の世界不況後に人員削減を進めた反動でスタッフが不足する企業が数多く出る事態となっているもようだ。

 特に、中国の第3四半期の求人広告は第2四半期と比べて22.6%増、第3四半期中には31.2%増となった。経済に力強さの兆しが現れ、さまざまな分野の企業が物品・サービスの需要増に対応するため生産能力の増強を見据える中、8月、9月に大きく伸びた。

 一方、日本は第3四半期の求人広告は第2四半期に比べ15.8%増となったが、第3四半期中は2.6%増加にとどまり、停滞感が色濃くなった。

 日本の職種別に第3四半期の変化率を見ると、マーチャンダイジング/購買(83.3ポイント減)、顧客サービス(44.2ポイント減)、人事/トレーニング(34.1ポイント減)弁護士/法廷弁護士/コンプライアンス オフィサー(24.0ポイント減)、広告・マーケティング(22.4ポイント減)、コンサルタント/アナリスト(21.3ポイント減)が20ポイント以上の大幅な減少となっている。

 日本の状況について、同社日本法人ロバート・ウォルターズ・ジャパンのデイビッド スワン社長は、「失業の急増は今後も長期にわたる懸念事項となり、このような状況での求人はニッチ的機会をそれぞれ生み出してきた選択志向やスペシャリストとしての企業が下支えになっていくと思われます」と話している。

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