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(ジャンル:J-POP)
松任谷由実と荒井由実は同一人物であって同一人物ではない。
独身時代の名前だった荒井由実の名義で発表したアルバムは、いずれもJ-POPの歴史に永遠に残る偉大な作品群であるが、松任谷由実名義で発表された作品群は、荒井由実のものより新しいがJ-POP史の中では、昔のポップスということになっている。
そんな荒井由実の最高傑作と目されるのが、独身時代の最後を飾る「14番目の月」である。

音楽性、センス、アレンジの良さ、詩の情景描写、捨て曲のない濃密さ、すべてにおいて、最高の水準にあると言ってもよいだろう。彼女の代表曲とされる作品として収録されているのは、「中央フリーウェイ」だけであるが、その他の曲の水準もヒットチューンではないものの、ファンの評価は非常に高い。

現在の若い人にとっては意外に思うかもしれないが、70年代の女性ポップ/ニューミュージックは、単に歌なのではなく、恋愛の教科書でもあったのである。

荒井由実をはじめとした、いわゆるニューミュージックのアーティストは、いかにして斬新な恋愛指南をするか、互いに感性を競い合い、リスナーは自分の恋愛に照らし合わせて、一番フィットする歌を手本として恋愛に励んでいたのである。

そんな中、荒井由実そして松任谷由実は、ニューミュージックの女帝・恋愛の教祖様とまで称揚されたのであるが、80年代末に至って歌唱力、恋愛心理描写力、音楽性において、さらに斬新な世界を提示して世代交代を宣言した吉田美和(ドリカム)の登場によって、教祖の座を降りていくことになった。

ニューミュージックという用語も、今は使われなくなったが、かつてのフォークでもロックでもない、むしろそれらの世界観の否定から登場したニューミュージックのひとつの頂点を示す名盤である。

1. さざ波
2. 14番目の月
3. さみしさのゆくえ
4. 朝陽の中で微笑んで
5. 中央フリーウェイ
6. 何もなかったように
7. 天気雨 試聴する
8. 避暑地の出来事
9. グッド・ラック・アンド・グッド・バイ
10. 晩夏(ひとりの季節)
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)

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