4日に敵地オールド・トラフォードで、チャンピオンズリーグ準々決勝進出をかけマンチェスター・ユナイテッドと対戦するリヨン。ホームでの第1戦(2月19日)は土壇場で1点を失い引き分けに持ち込まれたため、第2戦は早い時点で得点をあげることが求められる。

 第1戦では攻撃の1.5列目に本来SBのクレールを起用してディフェンシブな布陣で臨んだペラン監督だが、右SBのレベイエールが警告累積で出場できないため、クレールを本来のポジションで起用することになる。レキップ紙によると、ベンゼマを、本人が「もっとも力を発揮できるポジション」と自覚するセンター・フォワードに置き、両サイドをゴブーとベン・アルファで固める攻撃陣が有力だ。

 ベンゼマは3日前のリール戦で、「不得意」な左サイドを任され(トップにフレッジ)、不完全燃焼のまま途中交代させられた。交代相手のベン・アルファとはタッチを交わすこともなく、憮然としてベンチに下がった。試合後メディアは、ベンゼマと、ベン・アルファ、ペラン監督との間に緊張か、と騒ぎ立てたが、ベンゼマ自身は「ポジションのことで苛立った。ハテム(・ベン・アルファ)とは関係ない」と一蹴している。ベン・アルファも「ピッチにいっしょに立てば目指すのは同じ方向。お互いを認め合っている」と気にかけていない。

 むしろリール戦でのこの一件で、ペラン監督にベンゼマを1トップで起用することへの迷いがなくなったと見ることができる。過去3試合スタメンを外れたベン・アルファも、途中から出場したリール戦では、手応えをつかんでいた。ベンゼマとベン・アルファの2人が得意なポジションで水を得た魚のように動き回れば、潜在的には対戦相手のルーニー、クリティアーノ・ロナウドのコンビにも見劣りしない活躍が期待できる。

 中盤は、ジュニーニョ、トゥラランに加え、シェルストレームが起用される見通し。守備には不安が残るが、先制できれば、ボドメールを投入することが可能になる。

 残るはディフェンスだが、レキップ紙によると、ペラン監督は、リール戦で6ヶ月半ぶりに出場したクリスをスキラッチとともにセンターで起用する模様。リール戦を欠場した左SBのグロッソも体調を回復している。

 試合前の下馬評では、マンU優位の見方が圧倒的だが、リヨンの守護神クペは「準々決勝進出の可能性は五分五分。自分たちの星を信じることだ」とアウェーでの強豪相手にもひるむ様子を見せない。

 なおピッチ外の前哨戦では、マンUが獲得を狙うベンゼマをめぐる“攻防”が展開したが、リヨンのオラス会長は「ワイン好きのファーガソン監督には(ベンゼマと同じ)1987年産のボルドーを用意した」と舌戦に余念がない。この1本の贈り物がファーガソン監督にとって“勝利の美酒”となるか、“苦い酒”となるか、雌雄は4日夜(日本時間5日未明)に決する。