「俺は、ここに、残るぜ!」

 サンプドリアFWカッサーノは満員のゴール裏席に向かって、大きなジェスチャーを何度もくり返した。

 前節ジェノバ・ダービーで勝利の立役者となり、ドリアーノ(=サンプドリア・ファン)たちを狂喜させた。そして、24日のインテル戦でも鮮烈な先制ゴールを奪い、再びトップフォームを取り戻させてくれたチームとサポーターへ忠誠と愛情を示したのだ。

 不遇をかこったマドリードを去り、レンタル契約ながらジェノバの街へやってきたカッサーノは知将マッツァーリの薫陶の下、全盛期の輝きを取り戻した。新たなアイドルとなったカッサーノを引き留めない手はない。
 先週19日、サンプドリアのマロッタ最高取締役は、CLのためにローマを訪れたRマドリーのカルデロン会長らと会談をもち、移籍金550万ユーロ前後でカッサーノの保有権買取を打診した。

 マロッタ氏はカッサーノをチームのニュー・シンボルに据えるために、保有権買い上げとともに新たに2013年までの大型契約をオファーするつもりだ。あのやんちゃ坊主だったカッサーノを見事に手なずけたマッツァーリ監督も「もし来季も残ってくれたら、誰より先にまず私が嬉しい」と期待を寄せる。(続く)

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