ミランのゴールを守るGKディダには非難の声が絶えない。昨季のCLを制しクラブ世界王者にもなったが、今季のミラノ・ダービーでは不安定なセービングで敗戦の一因となった。試練の渦中にあるディダに、故郷ブラジルの先達がエールを送っている。ワールドカップ1970年大会で優勝したGKのフェリックス・ヴェネランドだ。

 ともに優勝したペレの名を覚えている者は多くても、彼の名前が表舞台に上がることはほとんどない。現在70歳になる彼は、出生地のサンパオロでスポーツ評議員職に励んでいる。

「当時、ブラジルのGKが外国に行くというのは考えにくかった。あの時代、70年代のセレソンにGKコーチなんていなかったよ。最初のポジション別トレーナーがついたのは、優勝してから2年後だった」

「ディダは今でもブラジル人GKの中では最高だよ。経験がちがう。弱点? 他の同胞GKと同じだよ。キャッチングだ。ゴールから飛び出す動きにまだ学ぶ余地がある」
 今年35歳になるディダも大先輩から見るとまだまだ、ということなのだろう。