チェルシーのアブラム・グラント監督は、ジョゼ・モウリーニョ前監督の退団に不満を抱く選手と話し合いの場を設けたと明言。グラントに不満をぶつけた選手は2名とのことだが、その中にFWディディエ・ドログバは含まれていないという。

 モウリーニョ前監督の退団に際し、メディアを通じて大きな失望とクラブへの不信感を口にしていたドログバ。一時は退団の希望を明言するなど、今冬のマーケットで移籍する可能性も報じられていた。しかしグラントは、2名の選手が現状についての不満を直訴してきたことは認めたが、ドログバについては「クラブのために最善をつくしている」と語っている。

「時には選手から直接、現状についての不満をぶつけられることもある。事実、2人の選手が私と話をしたが、それが誰かは重要な問題ではない。ディディエについては、すべての試合で全力を尽くしてくれている。彼については何の不満もない」

 キャプテンのジョン・テリーやポルトガル代表DFリカルド・カルバリョなど、モウリーニョ前監督の退団について疑問の声を挙げている選手は多い。その中でも、クラブとの契約問題にまで発展しているのがMFフランク・ランパードのケースだ。チェルシーとの契約期間が残り18ヶ月となっているランパードに対し、クラブ側は契約延長のオファーを提示している。しかし、オファーに全く応じる気配を見せないランパード陣営は、シーズン終了後に再交渉の場を設けるとして、交渉自体を拒否している。その現状について、チェルシーの最高経営責任者を務めるピーター・ケニオンは次のように話している。

「現在契約に関する交渉はストップしている。シーズン中はプレーに集中したいというフランクの希望に応じている。交渉はシーズン終了後に再開することになるだろう」

 今シーズンのスタートダッシュに失敗しながら、現在は首位アーセナルと勝点5差の4位につけるなど、徐々に挽回の兆しを見せているチェルシー。それでも、監督へ不満をぶつける選手が現れ、チームの大黒柱であるランパードとの契約交渉が滞るなど、水面下で数多くの問題を抱えているようだ。モウリーニョ前監督の退団に端を発する不協和音。グラント監督自身の去就すら不透明なチェルシーは、何かのきっかけでチーム全体が瓦解しかねない分岐点を迎えているのかもしれない。