住宅ローンの基準金利、相次ぎ引き上げ 金利上昇局面強まる 「超長期ローン」にリスクは?
10月1日から、多くの銀行が住宅ローン変動型の基準金利を相次いで引き上げた。日銀の利上げの動きを受けたものだが、長期金利の上昇を反映して、固定型でも引き上げの発表が相次いでいる。
変動型最優遇金利 大手5行で1%超え
10月から適用する変動型の基準金利は、みずほ、三井住友信託、りそな銀行の大手3行が0.25%引き上げ、9月に引き上げを行った三菱UFJ・三井住友を含めた5行でいずれも年3.375%になった。最も信用力の高い借り手に適用される最優遇金利も、大手5行で年1.195%~1.7%となり、いずれも1%を超えた。こうした動きは、日銀の6月の利上げを踏まえたものだが、9月に決定された追加利上げの分は、大部分の金融機関で年末から2027年春にかけて反映され、金利水準はさらに上がる見通しだ。
変動型は住宅ローン利用者の8割を占める。すでに借りている人の場合、9月の利上げ分は、2027年7月以降の返済分から反映というのが一般的なケースとなる見込みだ。ただし、「5年ルール」が適用される場合は、適用金利が上昇しても毎月の返済額は当面変わらず、返済額に占める利息分が多くなる。
長期金利の高止まりが続くなか、固定型金利も引き上げの動きが強まっている。10年固定の最優遇金利は、三井住友で4.000%、りそなが4.205%、三井住友信託が4.965%と、3行で4%台になった。住宅金融支援機構は、最長35年間金利を固定する「フラット35」の10月分最低金利が年3.83%になったと発表した。制度改正があった2017年10月以降で最も高い水準だ。
“35年超”利用者2割超え
広がっているのが「超長期ローン」を組む動きで、住宅高騰もこの傾向に拍車をかけている。
不動産調査会社「東京カンテイ」によると、首都圏の8月の中古マンション平均価格は、70平方メートル換算で7606万円と、前年同月比で29.2%上昇した。東京都では、28カ月ぶりの下落となったが、近郊では底堅い需要が続いている。一般的な35年程度のローンでは手が届きにくくなるなか、教育費などの支出の多い子育て世帯を中心に「超長期ローン」の利用が広がっているのが現状だ。住宅金融支援機構が1月に行った調査では、返済期間が「35年超~40年以内」と「40年超」を選んだ人はあわせて23.4%に上り、聞き取りをスタートした2022年10月時点の9.5%から大きく上昇した。
返済期間を延ばせば、毎月の返済額が抑制できる一方、返済総額は膨らんでいく。4000万円を年1.5%で借りて、返済期間を35年から50年に延ばすと仮定すると、住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」の試算では、毎月の返済額は約12.2万円から9.4万円に下がるが、返済総額は5144万円から5688万円へと540万円以上増えることになる。返済能力を超えて過大な負債を抱えるリスクが指摘されるなか、金融庁は、2026事務年度の「金融行政方針」で、超長期住宅ローンについて、利用者の収入見込みなどに照らして適切に組まれているかなどについて、利用者保護の観点から金融機関を重点的にモニタリングしていく方針を示した。
「2階建てローン」も登場
世帯主と配偶者が収入をあわせてペアローンを組むケースも目立っている。住宅金融支援機構の調査では、「ペアローン」や「収入合算」の利用は38.7%で、20代で56.6%、30代では45.3%と若い世代での利用割合が高くなっているが、どちらかの収入が減ると返済が難しくなりやすい面がある。借入額を1階部分と2階部分に分け、1階部分は期日まで元金を据え置いて最後にまとめて返済する仕組みにして、月々の返済額の軽減をうたった新たなローンも登場している。
日銀の利上げ基調が強まるなか、住宅購入や返済計画について熟慮することの重要性が増している。将来売却を想定している場合、金利が上昇し、物件価値が下落すれば、売却後も残債を完済できなくなる可能性も指摘される。固定型と比べ低い金利水準を示してきた変動型が、総返済額などでこの先も優位を保持し続けていけるか、なども踏まえ、資金プランをどう描いていくのか、これまで以上に注意深く考える必要が出てきそうだ。
(フジテレビ解説副委員長 智田裕一)
