【求人倍率35倍超!】なぜ企業は「高専卒」に熱視線?大手銀行や証券会社も IT人材不足や転職時代が背景か 一方で学校側には「少子化・知名度」の課題
就職活動市場でいま注目が集まっているのが高等専門学校、いわゆる「高専」の学生たち。「即戦力」として企業からのニーズが高まっています。
しかしその一方で、高専では少子化や知名度不足による学生確保の難しさや待遇面など、見過ごせない課題も。日本の未来を担う高専をめぐる現状と今後の行方について、記者が詳しく解説します。
◎原田昌彦:MBS記者 報道情報局 経済班キャップ 東京大学大学院 船舶海洋工学科卒業(修士)
そもそも「高専」とは?
「高等専門学校(高専)」では、中学校卒業後に5年一貫教育(+専攻科2年)で主に理工学系分野を専門的に学びます。全国に58校あり、関西には6校あります。
今回取材した「大阪公立大高専」は、偏差値64(総合工学システム学科 「家庭教師のトライ」HPより)。
しかし卒業までの道のりは楽ではなく、修得する知識・技術の膨大さも影響してか、全校生徒約800人中5%以上が留年や退学しています(昨年度は留年46人・退学21人)。
今年3月卒の求人倍率は「35.3倍」
企業の間で争奪戦となっている高専生。求人倍率は、大卒の1.66倍(リクルートワークス調べ)に比べ、高専卒はなんと35.3倍(国立高専機構調べ)です。
実は5年前は24.7倍。つまり、高専卒の人材を「欲しい」という企業が右肩上がりに増えているということです。
右肩上がりのワケは?“電柱広告”で学生へアピールする企業も
大学ジャーナリスト・石渡嶺司さんは、「企業ではIT・DX・AIなど理系人材需要が増加。さらに転職時代で、育成しても辞める社員が増加する中、高専卒は即戦力なので重宝する」と話します。
採用に力を入れている企業も。
例えば、東京の水道事業の第三セクター「東京水道」は、各地の高専のそばに「電柱広告」でアピールしています。
入社する人の2割ほどが高専生で、順調にリクルートができているということです。
このほか、「三井住友信託銀行」が2024年4月入行から高専卒の採用を開始したほか、「SMBC日興証券」は2025年度採用から高専卒の総合職の新卒採用を開始しています。
高専卒が日本の未来を背負う?
文科省が「高等専門学校の機能強化に関する検討会」を開き、今年8月公表の資料には、
▽日本の理工・デジタル分野の人材は2040年に圧倒的に不足する予測
▽公立・私立高専の新設を促進する必要
▽卒業者に「学位」授与の検討が必要
と書かれています。
高専の卒業生は準学士という、国際的には使いにくいとも言われる称号ですが、その学位の価値を上げるような方針も検討する動きがあります。
専門家が指摘「少子化・知名度」の壁
大学ジャーナリスト・石渡嶺司さんによると、高専の発展に向けては、学生の確保が課題になっているといいます。
少子化や知名度が低く、偏差値は高いものの定員に達しなかったケースもあり、二次募集をする高専もあります。
このマイナーさゆえに、中学校の頃から理工系に進もうという学生を確保することが非常に難しくなっています。
また、待遇面でも給料が大卒より低いことが多く、約3分の1が大学へ編入している現状があるため、そこをどう改善していくかが今後の課題だということです
(2026年10月1日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『記者プレゼン』より)
