韓国が検察庁を廃止、捜査と起訴を分離…「補完捜査権」なくなり捜査能力の低下など懸念
【ソウル=依田和彩】韓国で2日、検察庁が廃止され、起訴と公判を担う「公訴庁」と汚職などの捜査を担当する「重大犯罪捜査庁」が発足した。
左派勢力が長年求めてきた司法改革の一環だが、捜査能力の低下などが懸念されている。
2日に行われた公訴庁の開庁式で李定炫(イジョンヒョン)次長検事は、「公訴庁の存在理由を国民に証明しなければならない」と強調。重大犯罪捜査庁では、田宗旻(チョンジョンミン)次長が「新たな刑事司法制度が次の100年を支えるよう根を張っていく」とあいさつした。
いずれも庁長の選任手続きが遅れており、トップ不在での船出となった。
韓国ではこれまで検察が強い力を持ち、時の政権の意向を受けた政治報復的な捜査への批判が根強かった。左派の盧武鉉(ノムヒョン)元大統領が検察の捜査を受ける中で自殺した経緯から、左派勢力の間では検察庁廃止が悲願となっていた。李在明(イジェミョン)大統領は1日の会議で、「検察が捜査と起訴を独占する誤った時代が幕を閉じる」と意義を強調した。
組織改編では、これまで検察に認められていた「補完捜査権」が廃止され、警察などに補完捜査を要求する権限のみとなった。
検察の補完捜査権がなくなったことへの懸念は大きい。5月に女子高校生が男に殺害される事件が発生した際、検察官の補完捜査で、容疑者の父親である警察官らが証拠を隠匿した疑惑などが明るみに出るなど、警察の不祥事が相次いでいるためだ。韓国ギャラップの8月の世論調査では、検察の補完捜査権廃止について「良くない」との回答は50%に上り、「良い」の27%を大きく上回った。
主要紙・朝鮮日報は2日、「李政権発足から1年で刑事司法制度が急ぎ足で変更された。犯罪対応能力が低下する」と批判した。
