「赤い羽根共同募金」使途不明、10月に始まる募金活動に影…企業の協力辞退相次ぐ・福祉団体など懸念の声
「赤い羽根共同募金」を運営する北海道共同募金会(札幌市)で寄付金約2億5000万円が使途不明になっている問題が、10月1日に始まる今年度の募金活動に影を落としている。
協力見送りを決めた企業もあり、寄付金を活用する団体にも不安が広がる。(北海道支社 石沢達洋)
「あり得ない事態だ」。札幌市内での募金活動を担う、札幌市共同募金委員会の担当者は、行き場を失った約200個の募金箱を前に、ため息をついた。
上部団体の北海道共同募金会では会計業務を担っていた元事務局長の男性(58)(懲戒解雇)が、2020年頃から着服を繰り返した疑いがある。
使途不明金問題が発覚して以降、募金箱設置を見送る企業が相次ぐ。昨年は434団体の協力が得られた街頭の募金活動も「原因が究明されないと協力できない」と、約300団体から辞退の申し入れがあった。担当者は「募金活動の環境すら整えられないのは歯がゆい」と話す。
影響は全国に波及している。1983年から募金箱設置や街頭活動の場所を提供してきたイオンは全国のイオングループの店舗で、今年度の協力を見送る方針を決めた。「お客様に安心して寄付に協力していただけることを大切にしている。総合的に検討した結果」と説明する。
一方、全日本空輸は「今回の問題は大変遺憾」としつつも、協力を継続する。空港に募金箱を置き、客室乗務員が「赤い羽根」を各地の共同募金会に届けるセレモニーも実施。「地域社会を支える取り組みとして長年実施してきた。再発防止策や信頼回復の取り組みを注視する」としている。
活動の助成金として寄付金が分配されてきた福祉団体などからは、今後への影響を懸念する声が上がる。
約80の障害者施設などで作るNPO法人「さっされん」(札幌市)では毎年、施設利用者の成人を祝う催しにかかる費用の一部に、助成金を充てている。金沢信治事務局長(77)は「助成を必要としている団体に支援が届かなくなるのは心配だ」と話す。
道共同募金会の問題では元事務局長の男性が会計業務を実質的に1人で担うなど、チェック体制の甘さが浮き彫りになった。
全国組織の中央共同募金会は6~7月、北海道を除く46都府県の共同募金会の会計業務を緊急点検。一部で通帳や印鑑の保管方法や使用権限などを定めた経理規定がないなど不備が見つかり、改善した。また、内部通報窓口の設置や監査時のチェックリストの作成など再発防止策の策定も進めている。
全国から集まる寄付金は1995年度の約179億5000万円をピークに減少傾向にある。中央共同募金会は「再発防止策を確実に実施し、信頼回復に全力で取り組む」としている。
◆赤い羽根共同募金=1947年に戦後復興を目的に始まり、戦災孤児の支援などに充てられた。現在は福祉団体などの活動に助成され、一部は災害時に備えて積み立てられている。2025年度の募金総額は約115億1000万円。今年度の募金活動は、10月1日~来年3月31日に行われる。

