海賊版サイトへのアクセス遮断を求める法案「DEFEND IP Act」が提出される、ISPとDNSリゾルバを標的とするもVPNは対象外

アメリカのノースカロライナ州選出の共和党議員であるトム・ティリス上院議員と、カリフォルニア州選出の民主党議員であるゾーイ・ロフグレン下院議員が、海賊版サイトへのアクセス遮断を定める共同法案の「DEFEND IP Act」を議会に提出しました。
Unified U.S. Site Blocking Bill Targets ISPs and DNS Resolvers But Spares VPNs * TorrentFreak
2026年9月、カリフォルニア州選出の共和党議員であるダレル・アイサ下院議員は、オンライン上の海賊版対策や著作権侵害の取り締まりを強化するための法案である「American Copyright Protection Act(ACPA) of 2026」を議会に提出しました。この法案提出から2週間足らずで、ティリス上院議員とロフグレン下院議員は共同で類似法案の「DEFEND IP Act」を議会に提出しています。
「ACPA of 2026」と「DEFEND IP Act」は、権利者が裁判所の命令を得て、インターネットサービスプロバイダー(ISP)や大手DNSリゾルバに国外を拠点とする海賊版サイトを遮断させる仕組みです。2つの違いは、「DEFEND IP Act」がVPN事業者を対象から明示的に除外しているのに対して、「ACPA of 2026」はVPN事業者を対象に含めている点にあります。
「DEFEND IP Act」は、ロフグレン下院議員が2025年2月に提出した「外国デジタル海賊版対策法(FADPA)」という法案と、ティリス上院議員が2025年7月に提出した「Block BEARD」という法案を統合したもの。「DEFEND IP Act」という名称は「Deterring Extraterritorial Foreign Exploitation of Networks Damaging Intellectual Property Act(知的財産権を侵害するネットワーク域外における外国による悪用を阻止する法律)」の略となっています。
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「DEFEND IP Act」は上院と下院の両方で審議される予定です。ロフグレン下院議員は、「アメリカ国民の表現の自由と、自由で開かれたインターネットへのアクセスを守りながら、国外の海賊版行為を取り締まる、的を絞った賢明な取り組みを超党派で進められることを誇りに思います」と説明しています。
「DEFEND IP Act」で海賊版サイトのブロックを命じられることになるのは、加入者が5万人以上のブロードバンド接続事業者と、年間売上が1億ドル(約160億円)を超える公開DNSリゾルバです。公開DNSリゾルバには、GoogleやCloudflareが含まれる可能性があります。
一方、「DEFEND IP Act」ではVPNサービスが対象として挙げられていません。法案における「サービス事業者」の定義では、「VPNサービスまたは利用者の通信を暗号化して仲介サーバー経由で転送する類似サービスのみを提供する事業者」を明示的に除外しています。
DNSリゾルバにも除外規定があり、除外対象となるのは「『DNS over HTTPS』など暗号化されたDNS通信方式のみでサービスを提供する場合」です。そのため、暗号化されていない通信も取り扱うCloudflareやGoogleといった大手公開DNSリゾルバは、暗号化されたサービスでもアクセス遮断を求められる可能性が高いと著作権関連メディアのTorrentFreakは指摘しています。

アクセス遮断までの手続きは、「ACPA of 2026」と同じく2段階に分かれています。まず、連邦裁判所がウェブサイトを「国外のデジタル海賊版サイト」に指定。指定の対象となるのは、「そのサイトが主に海賊版のために設計されている」「海賊版以外に商業的に重要な目的がない」「海賊版の入手先として意図的に宣伝されている必要がある」のいずれかに当てはまる場合です。運営者には20日間の反論期間が与えられ、要件が満たされれば裁判所は反論を待たず、相手方の意見を聞かずに命令を出すことも可能。
指定された権利者は、同じ裁判官に対してアクセス遮断命令について申し立てることもできます。その場合、裁判所はアクセス遮断が「技術的に実行可能で効果的か」や「負担のより小さい手段があるか」を判断します。
アクセス遮断命令の有効期間は1年で、命令を更新することも可能。海賊版サイトが新しいドメインやIPアドレスに移った場合、権利者は命令の更新を裁判所に求めることもできます。
「DEFEND IP Act」はスポーツを含むライブ配信も対象にすることが可能。ライブ配信が権利を「侵害する可能性が高い」場合、権利者は裁判所に命令を求めることができます。つまり、試合が始まる前にサイトを指定し、アクセスを遮断することができる可能性もあります。

アクセス遮断命令で具体的な遮断方法を指定することはできず、事業者が誠実に命令に従った場合は責任を問われません。また、費用の一部を権利者に負担するよう求めることも可能です。誤ってアクセスを遮断されたサイトは、裁判所に命令の変更を申し立てることもできます。ただし、巻き添え被害に対して最大25万ドル(約3900万円)の補償を認める「ACPA of 2026」とは異なり、「DEFEND IP Act」には補償金の規定がありません。
「DEFEND IP Act」を支持する業界団体にはアメリカ映画協会、アメリカレコード協会、Copyright Alliance、アメリカ映画俳優組合・テレビ・ラジオ芸術家連盟、全米監督組合などが含まれます。
