北海道・京極町の農業法人で虐待を受けた30代のミャンマー人男性Aさんに取材した(右/札幌地域労組提供)

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「日本のご主人様は誰だ!」
「このバカども!」
「お前は4万5000円だ、ここに置け」

【実際の写真】〈北海道・農業法人でパワハラ〉暴行を捉えた動画の一部、緑のカビだらけの室内、部屋にはネズミ…劣悪な生活環境

 北海道・京極町の農業法人で「特定技能」の在留資格で働いていたミャンマー人への虐待が疑われている問題。冒頭のような罵倒音声や暴力行為の動画が報じられると、大きな話題となった。勤務していたミャンマー人らは農業法人を刑事告訴。現在も団体交渉が続いている。9月18日、農場側はこれまで否定していた暴力行為について、一部を認めるに至っている。

 いったい、あの場で何が行われていたのか──。

 この農業法人で5月から働き、7月に「脱出」した30代のミャンマー人男性Aさんに話を聞いた。【前後編の前編】

 Aさんが初めて日本に来たのは5月18日。国内で募集されていた日本向けの仕事に応募し、来日してすぐに京極町の農業法人に向かった。北海道は「涼しかった」と振り返るAさん。しかし働き始めると、すぐに異変が起きた。

「5月22日、ジャガイモの作業でバケツを綺麗にできていないという理由で暴力を振るわれたのが最初です。びっくりして、怖いなと思いました。暴力は毎日のように行われました。私が所属していた男性6人のグループで、1人をのぞいて5人が暴力を受けていました。暴力を振るうのは"親父"が多かった」

「親父」というのは、農業法人を実質的に仕切っていたと見られる京極町議のことだ。

「特にひどかった暴力は、胸を正面からバンと蹴られたことです。腕が腫れるような暴力を受けたこともあった。親父だけでなく、"白髪"からも暴力を受けています」

「白髪」は町議の次男のことだという。録音された音声からは町議同様、かなりの暴言を吐いていることがわかる。

「暴力のきっかけは、親父の目を見て返事をしなかったことや仕事が遅いというような理由でした。怪我を医者に診てもらいたいと思ったこともありましたが、保険証も受け取っていなかったため、病院に行けませんでした」

 Aさんは男性町議に胸ぐらを掴まれて引っ張られるといった被害にもあっている。その際の動画も残っていた。

 タバコを吸った吸わないで激昂した"親父"がAさんに「ちょっとこい」「教えてやるから」「コラー」「来い!」といいながら胸ぐらを掴み引きずっていく──。しかし、Aさんは喫煙者ではなかったという。

「ここまでされるとは思っておらず、とても怖かった。自分は日本語がそれほどできず、仕事にも慣れていませんでした。そういうことを理由に、いつも怒られたり暴言を吐かれたりしていた。問題がない時でも、何かミスを探して、それを理由に怒鳴っているように感じていました」

 この農業法人ではAさんに限らず、町議とその次男が毎日のように怒鳴りつけていたようだ。ミャンマー人らが記録していた膨大な録音データからもその様子がわかる。

「おい! なんとか言えこら!」「わかるかわからないんかあ聞いてんだあ。答えろ」 「日本語わかんねやつ手あげれ」
 町議らは言語の壁にイラついているのが伝わってくるが、早口で、あまりに乱暴な言葉遣いだ。

「普通のスピードで話す日本語なら6割くらい理解できます。ただ、早口で話されるとわからなくなります。同じような発音でも意味が違う言葉や命令形も、最初はわかりませんでした。北海道弁も分かりにくかったです」

 これらの行為に耐えきれず、農業法人を脱出したAさん。しかし、この農業法人で発覚した問題行為は暴言や暴行にとどまらなかったのだ──。

(後編につづく)