叱ってやらせるより断然、効果的……IQ120の卒園児を続々輩出する幼稚園が「マナー」「礼儀」を教えるためにする3つのこと
お受験なし! 子どもを選抜しているわけではないのに、卒園児は毎年「平均IQ120」を記録! 海外メディアも取材に訪れる高い教育成果を長年にわたり挙げ続けている幼稚園が、家庭ですぐ始められる「おすすめの子育て法」をすべて明かした『最高の育て方事典』より、一部抜粋してお届けします。
マナーや礼儀は「掲示」&「音読」で刷り込む
世の中にはマナー、礼儀、常識など、誰もができるだけ早く身に付けておくべきものがあります。この節ではそれらを「徳目」と呼ぶことにしますが、みなさんはさまざまな徳目をどのように子どもに教えているでしょうか。
大人が率先してマナーを守ってみせ、子どもにも守るよう促すのは大切なことですが、そのほかに私は、徳目を紙に書いて貼り、親子で一緒に声に出して読み上げることをおすすめしています。
この方法をおすすめするのは、子どもの自発性を促すのに効果的だからです。
子どもにとって、礼儀やマナーは大人から「教えられる」ものなので、言われてようやく実行する受け身の状態になりがちです。大人がうっかり見過ごしてしまったら、やらないままになるかもしれません。
しかし、普段から親子で読み合わせておけば、子どもは徳目を実行すべきときに気づけます。
そして親にとっては、子どもをほめるチャンスが増えることになります。「やらせて・ほめる」を実行しやすくなるのです。
何を掲げるかは人それぞれでいいと思いますが、ここで参考までに園での取り組みを紹介すると、次のような徳目を掲示して毎日園児に唱和してもらっています。
叱ってもマナーや礼儀は身に付かない
以上、2つ紹介しましたが、それぞれに含まれているのは、「正しい姿勢」「靴を揃えること」など、常識的なマナーだけであることがおわかりいただけたでしょう。
厳しく叱っただけでは「叱られた恐ろしさ」しか印象に残らず、躾にはつながりません。
声に出し、実行して、多くの感覚から子どもに伝えるのがポイントです。ここで紹介した文章はインターネット上でも見つかるので、印刷して掲示すれば今日からでも徳目の音読は始められます。ぜひ試してみてください。
「瞑想」で自制心と集中力を伸ばす
親子で取り組む毎日の習慣として強くおすすめしたいのが「瞑想」です。〈幼稚園児に瞑想なんてできるのか?〉と思った読者がいるかもしれませんが、いずみ幼稚園ではおよそ30年前から毎日の日課として取り入れています。
登園したらしばらく園庭で遊び、10時に朝礼を始めるのが園のルーティンです。朝礼後は教室に入りますが、さまざまな活動に入る前にまず行うのが、実は瞑想なのです。
瞑想の時間、子どもたちには床に正座してもらい、目を閉じて、音楽を聴きながら黙って3分じっとしていてもらいます。
たったこれだけですから、瞑想は家庭でも簡単に始められます。和室で正座してやってもいいし、自宅に洋間しかないのであれば、椅子に座って目を閉じてもいいでしょう。
時間は3分でなくても構いません。とはいえ、短すぎると意味がないので、まずは1分間など短めの時間から始めて、徐々に2分、3分と継続時間を延ばしてはどうでしょうか。
大切なのは、1回の瞑想時間の長さではなく、毎日継続することです。一日1回、できれば朝に瞑想することをおすすめします。慣れれば写真のようにさまになってくるでしょう。
腰骨を立て音楽をかけて瞑想しよう
瞑想は姿勢を整えるところから始めます。教育哲学者の森信三先生は、
①腰骨を立て、②あごを引き、③下腹の力を抜かない「立腰」によって心が整うと説いています。これは日常生活のなかでも常に意識したい教えですが、瞑想ではことに大切になります。
①腰骨を立て姿勢を正す
まずは骨盤をきちんと立て、黙って座ることを教えてください。園では第7節で紹介した「腰骨を立てます」をみんなで読み上げて立腰を園児に習慣づけていますが、最初は次のようにゆっくり伝えて、正しい姿勢で正座するところから始めてもいいでしょう。
「腰の骨を立てて、手はお膝の上に置きます。そして目を閉じます。お口も閉じて、音楽が流れてきたら耳を澄まして聴きましょう」
子どもは本来、素直なものです。穏やかな声かけで彼らが持つ素直さを引き出し、自然なかたちで「人の言うことに耳を傾ける」よう導き、習慣づけていきます。その素直な気持ちのまま瞑想に入っていけば、あとに述べるようなさまざまな教育効果が期待できます。
②音楽をかける
シーンと静まり返ったなかでは周囲のちょっとした物音で気が散ってしまうことがあります。音楽を「聞こえるか聞こえないか」くらいの小さな音量で流すといいでしょう。
音楽をかけたら大人も一緒に瞑想に入り、無言を保ちます。姿勢が崩れるようであれば、左のイラストのように子どもの腰を下から上へ、背中のほうまで優しくなでてあげてください。言葉をかけなくても自然に背筋が伸びます。
瞑想に適した音楽とは
問題はどんな曲を選ぶかですが、ハードロックや軽快なポップスでは台なしです。ヒーリングミュージックも「あり」ですが、私としてはクラシック音楽を強くおすすめします。常日頃から親子でクラシックに親しんだほうがいい、というのが私の持論ですが、瞑想でも取り入れてほしいのです。
これまで園での瞑想でいろいろなクラシックを試してきましたが、子どもが落ち着いて聴けた曲を、「瞑想におすすめのクラシック」として表にまとめました。季節に合ったものを月ごとに挙げています。
音楽的教養としても知っておくべき作品ばかりなので、親も一緒に瞑想して、じっくり耳を傾けるといいかもしれません。
かける曲は頻繁に変えるのではなく、1ヵ月間毎日同じ曲を流し続けましょう。曲が始まったら自然に腰骨が立ち、瞼がおりる、といった具合にまで瞑想が習慣化すると理想的です。
瞑想に期待できるさまざまな効果
静かで凜とした雰囲気を知っておくだけでも子どもにはいい経験ですが、瞑想にはそのほかにも、次に挙げるような多くの効果が期待できます。3歳を待たずに始めてもいいし、幼稚園に通っているあいだも、そしてその後も、習慣として親子で続けてみるといいかもしれません。
・気持ちの切り替えができる
この節の冒頭で書いたように、園では朝は元気に外遊びや体操をした後に、教室での活動になります。瞑想はその境目、すなわち外遊びなどが終わり、教室での活動に入る直前に行います。これが「動」の状態から「静」の状態に移るスイッチの役割を果たしています。
このような気持ちの切り替えを生活上のルーティンにすることで、子どもたちは行動を切り替えられるようになっていきます。
・心を平らかにする経験を積める
楽しく盛り上がるのはいいことですが、ときには自分を休ませる時間をつくることも大切なことです。瞑想には、波立っていた心を凪いだ水面のように平静にする効果があります。
脳科学的にも、脳がずっと活発な状態を続けるよりも、一度休ませてリラックスしたほうが、より集中力が高まることがわかっています。
・自分を律する体験が主体性につながる
瞑想中は、勝手に動いたり話したりできません。まわりのことが気になっても気持ちを抑えて、ただ目を閉じ、腰骨を立てて座るだけの「静止した状態」を持続する必要があります。
こうした自分を律する体験が、物事をやり切る主体性にもつながります。
・集中して聴く習慣をつける
瞑想の間、子どもたちは音楽にじっと耳を傾けて「聴く」状態をキープすることになります。これは人の話を「聞く」ことにも通じます。黙って音楽に耳を傾けられる子は人の話にも耳を傾けられるようになるのです。実際、いずみ幼稚園の園児は先生の話をよく聞いてくれる子が多く、その姿を見た見学者が驚くこともめずらしくありません。
