【松本 祐貴】風営法改正で大手風俗店が”スカウト切り”を始めた…現役スカウトが生激白「夜職スカウトは絶滅しない」

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2025年6月、改正風営法が施行され、性風俗店からの“スカウトバックの禁止”が盛り込まれた。大手風俗グループは “スカウト切り”を行い、路上のスカウトたちは姿を消しつつある--。2026年、規制後のスカウト事情はどうなっているのか、取材班は10年以上スカウトを続けるU氏に接触を図った。

9割以上のスカウトと取引をやめた

「実は風営法の改正前より、スカウトはやりやすくなりました」

2025年6月施行の改正風営法で禁止された「スカウトバック」とは、スカウトが働き手となる女性を紹介した風俗店から紹介料をもらうことを指す。規制強化によって、スカウトは仕事ができない--。そう考えるのが自然だが、スカウト業を10年以上続けるベテランのU氏(仮名)は、意外なことを口にした。

「スカウトが減ったということは、ライバルが減るということ。今まで担当していたスカウトがいなくなった女の子から、『相談に乗ってくれる?』と、私のところに連絡が来るほどです」

「スカウトバック」とは、具体的にどのような仕組みなのか。女性の紹介先にはキャバクラ、ガールズバー、風俗店、AVメーカーなどがあるが、スカウトによって得意な業種が異なるという。ここではU氏が専門とする性風俗業界をメインに話を進める。

「風俗店の場合、店に女の子を紹介した時点ではお金が発生しません。女の子が実際にその月に50万円稼いだら、その10%とか15%を、店がスカウトにバックします。女の子が働き続ければ、お店との関係が良好である限り、その間はスカウトバックが発生し続けます。完全歩合です」

風俗店にとっては、女性が長く働くほどスカウトへの支払いがかさむことになるわけだ。

もちろん、現在は性風俗店による紹介料の支払いが法律で禁じられている。そのため多くのスカウトと取引している大手の風俗グループは違反による罰則の影響を受けやすい。そこで、大規模な「スカウト切り」に踏み切ったのだ。

「大手の風俗店グループは、9割以上のスカウトと取引をやめて、信頼できる一部のスカウトだけを残したように思います。スカウトとの取引を続けざるを得なかったのは、自力では女の子を集めにくい中小店くらいです。

私は中小の店との取引が多かったので、法改正のダメージは少なく済みました。でも、大手グループとの取引をメインに活動していたスカウトの中には、廃業に追い込まれた人も少なくありません」

スカウトとの関係を続ける店がある理由のひとつとして、求人広告の費用の高さが挙げられる。

「資金力がある大手は月に数百万円を求人広告にかけることもできるし、店自体に知名度があるので、女の子のほうから問い合わせも来る。でも、中小の風俗店だと、1つの風俗サイトに30万円もかかる求人広告を出すのは厳しい。しかも、出したところで、必ず応募があったり、いい女の子が来るとは限りません。その点、スカウトは紹介した女の子が働いて利益を出さなければお金は発生しないので、使いやすいのだと思います」

しかも、自分から応募してくる女性よりスカウトが連れてくる女性のほうが質が高いことが少なくない。また、店が求める女の子の条件をスカウトは事前にわかっており、入店後もスカウトから女の子へのフォローもあり、店と女性の間でトラブルが起きづらいというのも利点の一つだという。

ヤクザ崩れから“普通の大学生”へ、変わるスカウト像

規制強化の象徴となったのが、大手スカウトグループ「ナチュラル」をめぐる一連の摘発だ。2025年夏以降、性風俗店への女性紹介をめぐる職業安定法違反や、暴力団へのみかじめ料支払いをめぐる暴力団排除条例違反などで幹部らが逮捕。2026年にはトップが逮捕・起訴された。

「ナチュラルに、登録しているスカウトだけでも1000人以上いて、女の子を風俗店に強引に紹介したり、言葉遣いが荒かったりと、スカウト業界の中でも評判が悪かったです。一連の摘発で、ナチュラル関係者はかなり静かになり、業界全体が平穏になりました」

さらに、7月1日に職業安定法違反で逮捕された佐藤健容疑者(41歳)は、業界で知られた伝説のスカウトだったという。

「私が新人の頃からいるスーパースカウトでした。路上で声をかけるスカウトが捕まる場合は迷惑防止条例違反が多い印象ですが、改正前から少しずつ取り締まりは強くなっていました」

基本的には、紹介した女性が働き続ける限りバックが入る仕組みだが、それでも収入を維持するには入店後の女の子へのアフターフォローや新規開拓が欠かせない。路上で長時間、1日数百人に声をかけ続けるのは楽な仕事ではなく、スカウトは昔から体力のある20代が中心だったというのも頷ける。

そんなスカウトの主戦場が、路上からインターネットやSNSに変化している。新しいスカウト像だ。

「路上スカウトであっても、SNSを使うスカウトであっても、スカウトの見た目が大きく変わったと思います。ひと昔前は、ヤクザ崩れやヤンキーみたいなスカウトが多かったですが今は普通の大学生みたいな、おとなしめの人も増えました。パッと見たら『この人、スカウトなの?』と思いますよ」

U氏の肌感覚では「今は8割以上がインターネット、SNS型スカウト」で、フォロワー数を多く持つ“スカウトインフルエンサー”も増えたという。

「ただ、私は、愚直に路上で1日100人、200人に声をかけるほうが数字を作りやすく楽だと感じています。声をかけるのが苦手でも、人を惹きつける文章を書けるならインターネット型も向いているかもしれません。

ただ、体を動かさなくても女の子にマメに連絡しないといけないし、SNSアカウントの知名度を上げる努力もしないといけない。SNSは一部粘着気質なアカウントもいて一方的にストーカーされるリスクもあるのと、SNSも継続が必要なので、飽きっぽい人には向いてません。またSNS上で認知度をあげるためには、スカウト側が先出しで女の子にアマゾンギフト券を配布したりしなければならず、最初にある程度の資金がないと顧客の獲得が難しい側面もあります」

紹介先は「同人AV」にも拡大

スカウトの紹介先にも時代の波が押し寄せている。そのひとつが「同人AV」だ。同人AVとは、従来のAVメーカーではなく、個人のクリエイターなどが制作・販売する成人向け動画を指す。

「女の子を同人AVへつなぐケースが増えています。紹介先はAVメーカーではなく、個人のクリエイターです。支払いの融通がきいたり、支払いを早くしてもらえたりするので、女の子のほうは、例えば『3日後までに10万円ほしい』など短期で現金を求めている人にニーズがあります」

お金が必要な理由は、ホストクラブの飲食代、整形費用、引っ越し費用から学費、年金の滞納まで多岐にわたる。同人AVに出演したい/できる女性も現時点では限られているので、紹介できるスカウトはクリエイターに重宝されるという。

ここまで聞くと、紹介先を工夫し、頭を使ってシステマチックにやればラクに稼げる仕事のように思えるが、意外な苦労があるという。

「スカウトの仕事は女性を店や同人AVに紹介して終わりではなく、長く働いてもらうためにメンタルのケアも必要になるんです。

付き合いが長い子だと、『愚痴を聞く係』みたいになります。夜に『今日電話できますか?』って来て、1~2時間くらい女の子のオチのない話を聞く。否定はしません。とにかく真剣に話を聞く。最後に『ありがとう、おやすみ~』と女の子が胸の内を話し、スッキリしたらおしまい。毎週ほぼ毎日のようにやってます。また常に何らかの支払いに追われている女の子が多いため、お店でうまく稼げなかったときはスカウト側が自腹で補填するケースもあります」

また女の子との距離が近くなり、肉体関係を持つスカウトもいる。

「女の子を仕事につなぎ留めておくために色恋を使うスカウトもいます。一時的には女性の売り上げは伸びるんですが、もって3ヵ月ぐらい。その後は不安定になり、トラブルに発展することもあるので、良い方法だとは言えません」

U氏自身、女性の相談に乗るのも、道で声を掛けるのも「歯を磨くのと同じ」くらい生活の一部になっているという。では、改正風営法による規制の先にスカウトという仕事は残るのだろうか。

「スカウトの数は減りました。でも、絶滅することはないと思います。私が知るだけでも何十年と続けているベテランスカウトたちもいます。私もこの仕事を天職だと思っています。

店側にしても、スカウトを使わざるを得ない理由があり、スカウトを必要としている女の子も一定数いる。その限りでは、今いるスカウトたちは手を替え品を替えこれからもやっていきますよ」

百戦錬磨のスカウトたちの世界で生き残ってきたベテランの言葉は重い。次回は、10年以上スカウトを続けてきたU氏自身の人生をたどる。

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