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耳が不自由な人たちの「ロックバンド」に密着。聞こえなくても、振動とリズムで音楽の素晴らしさを伝える活動です。

【写真を見る】耳が聞こえなくても… 結成38年目の「ロックバンド」 振動と視線で合わせるリズム 障害ある人もない人も音楽でひとつに

名古屋市内の音楽スタジオを訪れると、結成38年目のロックバンドの姿が。リーダーでギターの木村正明さん(57)、ボーカルの鈴木俊祐さん(55)、ベースの山本智久さん(53)、ドラムの成田佳総さん(61)。

メンバーは4人ですが、ドラムを除く3人は音がほとんど聞こえない聴覚障害者です。

バンド名は「BRIGHT EYES super-duper」。1989年、名古屋聾学校の生徒だった木村さんが中心となり、クラブ活動として結成。今も名古屋を中心にライブを続けています。

「どうやって音楽をやるんだろう」相談受け教師も困惑

1人だけ耳が聞こえるドラムの成田さんは、バンド結成当時は聾学校の教師でクラブ活動の顧問も務めていました。

最初にバンドを作りたいと言われた時には…

(ドラム 成田佳総さん)
「まだ僕も先生になったばかりで想像できなくて、どうやって音楽なんてやるんだろうって」

メンバーは補聴器を付けたとしてもメロディーは認識できないため、成田さんが音程を細かく調整するなどサポートしてきました。

では、彼らがどうやって演奏を合わせているのかというと…

(ギター・リーダー 木村正明さん)
「ベースとドラムを頼りに、響きがあるので」

ベースやドラムの低音は、ほんのわずかに感じ取れるため振動を頼りに演奏を合わせます。

音を合わせるのは“アイコンタクト”で

さらに…

(ドラム 成田佳総さん)
「“見る”ね。見て、例えばちょっとずれそうになったら…表情で伝えてリズムを戻したり」

アイコンタクトも欠かせない要素のひとつ。ここから「耳が聞こえなくても輝く瞳がある」という意味で、バンド名は「BRIGHT EYES」と名付けられました。

20年前、「BRIGHT EYES super-duper」を取材した際には…

(ギター・リーダー 木村正明さん)
Q.リズムとちょっとした音を頼りに演奏しているんですか?
「始めはできなかったけど、ずっと続けているうちに分かってできるようになった」

「自分の人生は音楽」

リーダーでギター担当の木村正明さん57歳。バンドを立ち上げた本人で、普段は機械設計の仕事をしています。

(ギター・リーダー 木村正明さん)
Q.いつから耳が聞こえない?
「生まれた時は聞こえていました。4~5歳の時に高熱で失聴しました」

幼い時から耳がほとんど聞こえない木村さん。疎外感を味わうことも少なくなかったと言います。

(ギター・リーダー 木村正明さん)
「1対1とかだと大丈夫なんですが、集団の中ではいつも孤立します」

そんな中で10代の木村さんの目にとまったのは、当時のバンドブームでした。

(ギター・リーダー 木村正明さん)
「バンドは選ばれてやるものだと思っていたので、ホコ天とかイカ天を見て、誰でも組んでもいいんだということを知り、やってみたいと思いました」

Q.音楽はどんな存在?
「ギターがなかったら、今の僕はどうなっていたか想像できません。自分の人生は、音楽だと思っております」

愛知県岡崎市の聾学校にも“音楽の部活”が…

耳が聞こえなくても音楽に打ち込む人々は、愛知県の岡崎聾学校にも。

岡崎聾学校「和太鼓部」。約30年前に発足し、現在は中学部と高等部の生徒あわせて10人が所属。全国の特別支援学校に広がっている和太鼓活動の先駆け的な存在で、力強いバチさばきと迫力ある演舞が高い評価を受けています。

ここでも演奏のポイントとなるのは、音による震動とアイコンタクト。お互いの動きが見えるように、円になるような形で演奏を合わせます。

健常者にまじって一般の和太鼓大会にも出場を続けていて、代々後輩へ和太鼓に打ち込むすばらしさが受け継がれています。

(高等部3年 鈴木結菜部長)
「両耳聞こえないんですけど、右側だけ人口内耳を付けていて、右側なら聞こえています。降り下ろすタイミングとか口の動きとかで合わせたりしています」

(中学部1年 鈴木綾仁さん)
「(大切なのは)相手を見てリズムを覚えることです。みんなで協力しあって、心をひとつにする部活動です」

(高等部2年 加藤謙臣さん)
「迫力のある演奏で感動を届けたい」

“みんなで一緒に楽しむ” 手話と音楽を融合した音楽イベント

8月22日、名古屋市内のライブハウスを訪れると、ある音楽イベントが開かれていました。会場には、手話でコミュニケーションを取る人々が目立ちます。

(実行委員会・手話通訳士 高橋みつるさん)
「“手話ソングライブ”といって、手話と音楽の融合。聞こえる人だけでなく、聞こえない人ももちろん、みんなで一緒に楽しめるような音楽イベント」

今回で6回目となる「手話ソングライブ」。この日は、5組のバンドやユニットが手話を交えた演奏やパフォーマンスを披露しました。

そこには、「BRIGHT EYES super-duper」のリーダー・木村さんの姿が。木村さんは実行委員としてイベントを支えています。

(ギター・リーダー 木村正明さん)
「トラブルがないように、無事に終われるよう祈っています」

聞こえなくても音楽で感動伝える

そして、木村さんはバンドとしてもステージを盛り上げました。

(観客)
「見た目と音の響きが感じられて、すごく楽しかった」

(健聴者の観客)
「聞こえない人と一緒に聞いてるとはあんまり感じなくて、こうやって一緒に楽しめるのはすごく感動というか不思議」

(ギター・リーダー 木村正明さん)
「笑顔になって、手も振ってくれて本当にうれしかった」

耳が聞こえなくても、リズムや振動で感じることはできる。「音楽の力」を伝える活動が続きます。