今季初勝利を挙げたトッテナム戦で躍動した鈴木。多くのビッグセーブでチームを救った。(C)Getty Images

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 試合終了の笛が鳴ると、勝利を収めたアストン・ビラの選手たちのなかで、テレビカメラが真っ先に向かったのはGK鈴木彩艶だった。

 テレビ中継局は、この日の主役を鈴木と捉えていたのだろう。9月19日に行なわれたプレミアリーグ第5節。敵地でトッテナムを3-2で下したビラは、今季のプレミアリーグ初勝利を掴む。先発フル出場した守護神は、チームの先頭でサポーターのもとへ歩み寄り、拍手を送った。

 チャンピオンズリーグとリーグカップでは勝利を収めていたが、プレミアリーグでは待ちわびた勝点3だった。試合後、穏やかな表情で取材に応じた鈴木の言葉にも、勝てた喜びがにじんだ。

「本当に勝利がなかったので、チームとしても1つ勝利したかった。ゴールがたくさん入る試合になりましたけど、まずは勝てたことは非常に嬉しいです。チームとしてもインターナショナルブレイク前に、しっかりと勝ち切れたのは大きいと思います」

 その勝利を支えたのが、鈴木が前半に見せた好セーブだった。立ち上がりからトッテナムに押し込まれたビラは、何度もゴールを脅かされた。11分にはサビーニョのシュートを胸で防ぐと、こぼれ球からの至近距離の一撃も右手でブロックした。
 
 前半の中盤には、2つのビッグセーブが続いた。

 最終ラインの背後へ抜け出したアーチー・グレイと1対1になり、角度のない位置からシュートを浴びたが、左足のかかとでコースを変えてCKに逃れた。さらに、そのCKをパンチングでクリアした直後、サビーニョがこぼれ球を左足のボレーで捉える。ゴールへ向かうボールに鈴木は横っ飛びで手を伸ばし、再び得点を許さなかった。

 鈴木が無失点でしのぐと、ビラは終了間際にジョアン・マンザンビのゴールで先制した。苦しい時間を耐えたチームが、リードしてハーフタイムを迎える。

 鈴木は前半だけで4本のシュートを止めた。実際に英BBCは、前半のここまでの試合内容について「トッテナム0-0鈴木彩艶」と伝えていた。攻め込んでも日本代表GKを破れない。そんな攻防を端的に表わす一言だった。鈴木はこう振り返る。

「トッテナムのスタジアムは初めてで、本当にピッチと観客の距離が近い。アウェーの中で難しいところではあった。特に前半、僕たちがうまくいっていない時間で、いかに耐えられるかというところだった。試合後、チームメイトから『前半のセーブがなかったら負けていた』と言われました。前半にゲームをしっかり締められたことが勝利につながったと思います」