ガザ和平の15項目工程表、ハマス幹部「全て受け入れた」…読売新聞単独インタビュー
イスラム主義組織ハマスの幹部タヘル・ヌヌ氏(51)が今月15日、カタールの首都ドーハで読売新聞の単独インタビューに応じた。
パレスチナ自治区ガザの暫定統治を監督する平和評議会が提案した15項目の工程表について、ヌヌ氏は「ハマスは全てを一括して受け入れ、署名した」と明らかにした。(ドーハ 福島利之)
工程表は、米国主導の平和評議会が7月末に仲介国を通じてハマスに提示した。イスラエル軍のガザからの撤退やハマスの武装解除、復興の手順が盛り込まれている。トランプ米大統領はハマスが武装解除に「合意」したと発表したが、ハマスがどこまで合意したのか明確になっていなかった。
ヌヌ氏は、イスラエル軍のガザ撤退を条件に、「ハマスは重火器を(ガザの統治を担うパレスチナ人専門家で構成する)行政委員会に引き渡す」と明言した。小火器を含む全面的な武装解除に応じるかは明らかにしなかった。
ガザの統治を巡っては、ヌヌ氏は「ハマスは権限を行政委員会に引き渡す準備ができている」と述べ、民政上の統治権限を引き渡す考えも示した。
一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は8月、「ハマスが武装解除するまで軍を撤退させない」との考えを表明した。武装解除と軍撤退のどちらを先行させるかで双方は対立し、ヌヌ氏によると、それ以降、交渉は停止している。
ヌヌ氏は、ハマス最高幹部ハリール・ハヤア氏の政治・メディア顧問を務める。2023年10月7日のハマスによる奇襲を発端にガザで始まった戦闘が来月7日で3年となるのを前に取材に応じた。
ハマス幹部タヘル・ヌヌ氏のインタビュー要旨
10・7奇襲と結果
10・7の奇襲は、イスラエルの攻撃からの自衛だ。歴史は10・7に始まったわけではない。それ以前にヨルダン川西岸のジェニン難民キャンプは破壊され、エルサレムのアルアクサ・モスク(イスラム教礼拝所)も攻撃された。我々は「もうたくさんだ」という明確なメッセージを世界に送った。中東情勢は、米国との関係を含めて全てが変わった。国際的な世論は、イスラエルの政策に反対している。私たちの血と犠牲によって状況を変えた。
10・7奇襲のハマスの責任
10・7に(イスラエル南部で)何が起きたのか。イスラエル側の物語を事実として提示しないでほしい。
ガザでの戦闘
イスラエルは、幼い子供、若者、女性を戦闘員と区別せずに標的とし、病院や学校、国連施設も含めて全面的に破壊した。ジェノサイド(集団殺害)が起きた。さらに住民をガザの域外に追放しようとした。しかし、誰も降伏していない。ガザの住民は勝者だ。
ガザの停戦交渉
ハマスは、平和評議会が提案した15項目の工程表を受け入れ、交渉は最終段階に達した。ハマスは全てを一括して受け入れ、署名した。
工程表を実現するには、五つの鍵がある。一つ目は、イスラエルが合意を完全に履行することで、二つ目は、パレスチナ人による行政委員会の設置、三つ目は、国際部隊の展開、四つ目はパレスチナ国家への道筋をつけることで、五つ目はガザの再建だ。ハマスは、重火器を行政委員会に引き渡すことを受け入れた。同時にイスラエルはガザから撤退し、ガザが再建されなくてはならない。
しかし、イスラエル側が提案を拒否した。国際社会の役割は、イスラエルに提案を受け入れさせることだ。イスラエルのネタニヤフ首相は合意を望んでいない。選挙に勝ちたいだけだ。
ガザの統治
ハマスは現在、行政委員会がガザを統治することを促している。行政委員会が来るならハマスが統治する必要はない。
ヨルダン川西岸
イスラエルは西岸で毎日、パレスチナ人の土地や住宅を奪い、農地を破壊し、人々を殺害している。圧力をかけ、苦しめれば人々は何をするか。大爆発する。我々は、第3次インティファーダ(反イスラエル蜂起)が起きる可能性があると予想している。インティファーダは理にかなった選択肢だ。第1次、第2次インティファーダでは各組織よりも人民が先に動いた。ハマスは人民の一部として参加する。
イスラエルとの和平
イスラエルは、国家樹立や難民の帰還権などパレスチナ人の権利を一つでも認めただろうか。イスラエルがパレスチナ人の権利を認めると表明した時に初めて議論できる。イスラエル側には和平のパートナーがいない。
ハマスの今後
最高幹部ハリール・ハヤア氏の下で抵抗運動としての政策を継続している。アラブ・イスラム諸国との関係を重視し、イスラエルによる侵略を止めるために最善を尽くす。イスラエルを国際的に孤立させる。
