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上級電動SUVのヴィンテージイヤー

自動車の黄金期は終わったと、悲観する人がいる。確かに、お手頃な価格で乗れるホットハッチやスポーツカーは、殆ど選択肢が残っていない。AUTOCARが高く評価してきた、ディーゼルエンジンのステーションワゴンも絶滅したといっていい。

【画像】競争を前進させる新世代 BMW iX3 メルセデス・ベンツ GLC エレクトリック ボルボEX60 全123枚

そんな2026年に、新種といえるバッテリーEVの上級SUVが3台も登場した。物価高に負けない収入があり、ちょっと上質なファミリーカーを選ぶ状況にあるなら、これらは恐らく検討候補に入るはず。今年は、ヴィンテージイヤーかもしれない。


手前からBMW iX3と、メルセデス・ベンツ GLC エレクトリック、ボルボEX60    マックス・エドレストン(Max Edleston)

選択肢に加わったのが、BMW iX3とメルセデス・ベンツ GLC エレクトリック、ボルボEX60。いずれも、巨額の投資で完成した新プラットフォームを採用し、約10年に及ぶ知見が活かされている。最新のデジタル技術にも事欠かない。

まだ、6気筒ディーゼル級の持久力はない。だが、現実的に500kmに届く航続距離を有し、有り余るほどのパワーを秘め、高効率なパッケージングで余裕のキャビンを備える。

カタログ上の電費と航続距離はiX3が圧勝

BMW iX3には先代があり、2021年の登場から数年間は、有能な電動SUVとして評価されてきた。それでも最新版は、航続距離が300km以上伸び、充電速度は2倍に上昇し、0-100km/h加速は2秒も縮め、車内は拡大している。価格も若干上昇したが。

アウディQ6 e-トロンとポルシェ・マカン・エレクトリックは、発売時の2024年には有利にあったが、今回の3台と比べると、既に航続距離は見劣りする。レクサスRZは、同じ土俵には立てないだろう。


BMW iX3 50 xドライブ(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

果たして、この3台の実力差はどの程度あるのか。今回は性能や価格を接近させつつ、高次元で比較するべく、ツインモーターのロングレンジ版を用意してみた。iX3は50 xドライブ、GLCは400 4マティック、EX60はP10 AWDとなる。

カタログ上の電費と航続距離は、iX3が6.4km/kWhと791kmで圧勝。EX60は6.1km/kWhに648kmで、GLCは5.9km/kWと637kmがうたわれる。急速充電も400kW、370kW、330kWの順で並ぶ。どれも、小休憩で充分回復できる速さだ。

ブランドを主張するフロントマスク

航続距離はEVの重要な性能といえ、同ルートを試乗した後の充電量と走行距離で計算すると、GLCの現実的な電費は、EX60を上回る5.9km/kWh。総合510psで2275kgのSUVとして考えれば、EX60の5.6km/kWhも褒められる効率ではあるが。

iX3は、前振り通り6.2km/kWhと優秀で、実際の急速充電も最高速。駆動用バッテリーも大きいため、過ごしやすい気温なら、現実的に650kmは1充電で走れるはず。


メルセデス・ベンツ GLC エレクトリックの前で意見を交わす、UK編集部    マックス・エドレストン(Max Edleston)

経済性と並んで、見た目の印象もクルマ選びでは重要な要素になる。塗装は3台ともニュアンスカラー的だったが、個性はしっかり異なる。EX60は淡白で、いかにも最新のEV。スクエアなリアは、ボルボ240のステーションワゴンと淡くイメージが重なる。

フロントマスクでブランドを主張するのが、iX3とGLC。スリムなキドニーグリルを備えたシャークノーズや、スリーポインテッド・スターを中央に飾った大きいグリルで、ブランドらしさが醸し出されている。読者のお好みは?

簡単にアクセスできるフロントの収納が便利

車内を比べようとドアへ手を伸ばすと、凝ったデザインで少し戸惑う。EX60は、小さなフィン状のブレードでドアが開く。従来的な鍵は用意されず、専用のカードや円盤状のデバイス、スマホのアプリがその役目を負う。少なくとも、動作は良好だった。

iX3にはキーが備わるが、ドアハンドルはポップアップ式で、望まないタイミングで引っ込むことも。GLCも似たシステムだが、そんなことはなく好調に動いていた。後日、ドアロックを解除できなくなるトラブルが起きたけれど。


ボルボEX60 P10 AWD(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

3台ともフロントに収納があり、GLCでは、ボンネット上のエンブレムを押すと簡単にアクセスできる。使ってみると、これが非常に便利。容量も大きく、普段使いで有利なはず。EX60とiX3は、車内のレバーを引かない限りボンネットは開かない。

そしてキャビンの雰囲気は、驚くほどの差で面白い。オプションは多くなくても、ある程度のパーソナライゼーションは可能。内装の配色が、そんな印象を強めている。

高級感と大画面が相乗しインパクトが強いGLC

スタイリングと同様に、最もトラッドな空間なのはGLC。ダッシュボードは39.1インチの巨大なモニターパネルで覆われるが、ステアリングホイールやドアミラーのスイッチなどは従来的。センターコンソールが高く、素材には好ましい風合いがある。

ストライプ入りのウッドパネルに、凝った造形の送風口やスピーカーグリルなどで、高級感を醸成。未来的な大画面が相乗して、インパクトはかなり強い。シートは可動域が広く、ステアリングホイール越しに、鮮明なデジタルメーターが良く見える。


メルセデス・ベンツ GLC 400 4マティック・エレクトリック(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

EX60の車内は、コンセプトカー的。四角いタッチモニターが載るダッシュボードが高めに据えられ、ステアリングホイールは小径で、フラットなフロアが足元に広がる。

素材選びは素晴らしく、ディティールのデザインも巧妙で、ボルボらしい雰囲気も香る。数は少ないものの、物理スイッチのタッチもイイ。ドアミラーやステアリングホイールの調整は、タッチモニターとステアリングスポーク部分のボタンで行うのだが。

この続きは、BMW iX3 / メルセデス・ベンツ GLC エレクトリック / ボルボEX60(2)にて。