アイドルは何歳まで続けられる? 「輝けるのは20代」、生活を考えると「35歳くらい」…現役6人の“理想と現実”
アイドルは何歳まで続けられるのか--。かつて女性アイドルは10代から20代前半が中心で、一定の年齢になるとアイドルを卒業し、タレントへ転身するのが一般的だった。しかし、近年はその前提が崩れつつある。
現在、人気を集めるグループを見ても「=LOVE」の諸橋沙夏は30歳、「FRUITS ZIPPER」の仲川瑠夏は29歳だ。長年活躍する「ももいろクローバーZ」はメンバー全員が30代で、結婚しているメンバーもいる。かつてのようにアイドルを卒業しなくても俳優やモデルなど、ほかの仕事と並行して活動できることや、グループがブレイクするまでの期間が以前より長くなったこともアイドルの活動年齢を押し上げる要因といえる。

では、今のアイドルたちは、自分が何歳まで続けられると考えているのだろうか。8月29、30日に横浜アリーナで開催された「@JAM EXPO 2026」で、現役アイドルたちに聞いてみた。
【写真】お腹がのぞく衣装、黒×白のフリル、ツインテール、まぶしい笑顔…現役アイドルたちの撮り下ろしを一挙公開
「40歳まで続けていける」「輝けるのは20代なのかな」
今年28歳になる【eN】の蒼井ふうは、アイドル歴約10年。活動を始めた頃は「20歳くらいが限界なのかな」と考えていたという。
「当時と比べてアイドルの年齢層も上がり、活動のあり方も変わりました。私自身の目標も20歳から40歳へと延びました。体が動く限り、何歳まで続けてもいいと思っています」
現在もグループ内で一番動きが激しいと言われるほど踊っており、生計もきちんと立てられている。「浪費癖を直せば、40歳まで続けていけると思います」と笑った。
一方、マジカル・パンチラインの吉澤悠華は、中学3年生の終わりに加入し、今年で8年目になる。もともとアイドル志望ではなく「始めてみると想像以上に大変で、『自分は向いているのかな』『長くは続かないだろうな』と悩んでいました」という。
転機となったのは、グループを引っ張っていた先輩3人の卒業だった。新体制で大切な歌唱パートを任され自信もつき、ファンが増えたことで「もっとアイドルを続けたいと思うようになっていました」と話す。
ただし、アイドルとしての輝ける時期は限られているとも考えている。
「体力やビジュアルも含めて、一番輝けるのは20代なのかなとも思います。ただ、それはグループのコンセプトなどにもよるので、実際に30歳になってみなければ分かりません。今は体力的な限界も感じていませんし、夏の暑さもまだ平気です」
服飾系の学校を卒業しており、現在はグループの衣装デザインにも携わる。将来的にはアイドル衣装の制作や、自分の洋服ブランドを立ち上げることが夢だ。
「60歳くらいまで続けられる」けれど“仕事”として考えると…
アップアップガールズ(2)の高萩千夏は、アイドルを始めてから14年目を迎えた。しかしデビューした頃は「22歳で辞める」と周囲に言い続けていた。大学卒業後は一般企業に就職するつもりで、実際に就職活動もした。その上で選んだのが、アイドルとして生きる道だった。
「22歳のときに、学生との両立ではなく、アイドル一本でやっていくと気持ちを切り替えました。改めてスタートできた感覚があります」
今年、高萩はアップアップガールズ史上最年長となった。体力の衰えを感じることはあるものの、卒業は目前ではないという。
「自分が卒業を決めたときに、アイドルとしてやり遂げたと胸を張って旅立てるところまでは続けたいです。新メンバーはとてもギラギラしていますが、私も負けずに図々しいくらい前へ出ながら、一年一年を大切に、噛み締めて活動していきたいです」
アイドルを始めて2年ほどのAsIsの山城虹奏は「自分では60歳くらいまで続けられると思っています。たとえファンの方が3人になっても、応援してくださる人がいる限り続けたいです」と話す。
一方で、アイドルだけを本職として生活するなら「34、35歳くらいまでなのかな」とも考える。続けたいという気持ちと、仕事として成立させることは別の問題のようだ。
また結婚後もアイドルを続けることについても、山城は慎重な見方を示す。
「アイドルは夢が詰まった職業で、ファンの方が現実を忘れて夢を見られる存在だと思っています。ただ、私自身はどうしても素のリアルさが出てしまいがちな性格なので、結婚するとそうした現実的な部分がより前面に出てしまう気がしています」
「松田聖子さんを見ていると何歳まででも」
ピュアリーモンスターの安藤鈴菜は「松田聖子さんの姿を見ているとアイドルは何歳まででもできるのではないかと思います」と話す。
夏の暑さが苦手で、体力的につらいこともある。過去には、ほとんどステージを降りずに90分間ライブをしたこともあった。
「練習は大変でしたが、本番はものすごく楽しかった。そのつらさよりも、ファンの皆さんとライブをする楽しさのほうが上回ります。体力を理由に辞めることは、私にはない気がします」
新井ひとみは12歳の頃からアイドルグループ東京女子流で活動を続けてきたが、グループは今年3月に約16年の歴史に幕を下ろした。現在は新たに「レトロマンチックポップ」をテーマにソロでの活動を続けている。
「アイドルは、本人が続けたいと思う限り、永遠に続けていいものだと思います。アイドルには、人へ感動や元気を届けたり、ファンの方と一緒に特別な空間や思い出を作ったりできる、ほかの仕事にはない魅力があります。いくつになっても、その感覚を忘れたくありません」
東京女子流解散後は今後について悩んだ時期もあったが、ファンから「辞めないでほしい」という声が数多く届き、「求めてくださる声が一つでもあるなら、どんな形であっても皆さんの前に立ち続けたい」と活動の継続を決めた。
一方で、活動歴が長いからこそ、アイドルを続ける難しさも知っている。数え切れないほどのアイドルが活動する現在、イベントへの出演や注目を集める機会は限られている。新井も「アイドルとして生活していくことは簡単ではありません」と話す。
新井が所属していた東京女子流は一時期、アイドルではなくアーティストとして活動するという「アーティスト宣言」をしたこともあった。だからこそ、新井はアイドルであるかどうかは自分たちだけで決めるものではないと考えている。
「周りの皆さんが私をアイドルだと思ってくださるなら、私はこれからもアイドルのままでいい。そう思っています」
徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。ウェブメディアウォッチャー。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。その後、テレビ局のオウンドメディア編集長を経て、現在はフリーライターとして雑誌、ウェブで記事を執筆している。著書に日本初のグラビアガイドブック「一度は見たい! アイドル&グラビア名作写真集ガイド」(玄光社)。noteでマガジンを連載中 X:@tatsunoritoku
デイリー新潮編集部
