「橋本病」でどうなると”寿命に影響する可能性”があるのかご存じですか?【医師監修】

橋本病による甲状腺機能低下症が重症化すると、粘液水腫性昏睡を引き起こし約30%が死に至る危険があります。

※この記事はメディカルドックにて『「橋本病は寿命」に影響がある病気なの?寿命に影響があるケースも解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
上田 莉子(医師)

関西医科大学卒業。滋賀医科大学医学部付属病院研修医修了。滋賀医科大学医学部付属病院糖尿病内分泌内科専修医、 京都岡本記念病院糖尿病内分泌内科医員、関西医科大学付属病院糖尿病科病院助教などを経て現職。日本糖尿病学会専門医、 日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医、日本専門医機構認定内分泌代謝・糖尿病内科領域 専門研修指導医、内科臨床研修指導医

橋本病が寿命に影響する可能性があるケースとは

甲状腺機能低下症が進行するとどうなりますか?

橋本病だけではほぼ症状はありません。橋本病から甲状腺機能低下症を発症し、甲状腺機能低下症が進行すると、甲状腺ホルモンの欠乏が顕著になり、次の症状が目立つようになります。

疲れやすい

むくみ

寒がり

体重増加

便秘

眠気

やる気が出ない

抑うつ気分

思考が遅い

集中できない

物忘れが増えた感じ

精神系の症状が認知症と間違われることもあります。
橋本病と診断されたら、甲状腺機能低下症をきたしていないか定期的に採血検査をうけ、甲状腺機能低下症を発症したら内科に通院して定期的な内服治療を受けましょう。

重症の橋本病ではどのようなリスクがありますか?

橋本病に重症軽症という表現を使うことは少ないです。橋本病による甲状腺機能低下症が重症という表現は言葉として使うことがあります。
ここでは、橋本病が甲状腺機能低下症に進展して重症化した場合のリスクについて解説します。

重症の甲状腺機能低下症を放置すると、粘液水腫性昏睡という病態をきたす場合があります。
粘液水腫性昏睡では、甲状腺機能低下症に加え、その名のとおり意識障害がほぼ必ず起こり、意識がもうろうとしたり、呼びかけに反応がない状態になったりします。さらに、甲状腺ホルモンの低下により体温を維持することが困難になり、低体温をきたすこともあります。ほかには、呼吸での酸素の交換が難しくなったり、血圧を保てずに低血圧を呈したりします。

粘液水腫性昏睡は、発症してしまえば、30%ほどが死に至る病気です。
このため、甲状腺機能低下症を発症した場合は、粘液水腫性昏睡を発症しないように定期的な通院と内服が必要です。
参照:『粘液水腫性昏睡』(内分泌学会)

編集部まとめ

新たに病気を指摘されたり、病気についてあらためて調べたりすると、懸念や不明なところがでてきて不安ですよね。
でも、橋本病があるだけでは死亡リスクは増えません。
問題は、甲状腺機能低下症をきたした場合ですが、これも内服をしっかりすれば問題になることは少ないです。
過度に気にしてストレスを抱えることなく、もし甲状腺機能低下症の症状が出たらすぐに治療できるように、自分の体調をすこしでも気に留めるようにしましょう。

参考文献

『橋本病(慢性甲状腺炎)』(内分泌学会)

『粘液水腫性昏睡』(内分泌学会)