《熊本地震から6週間》「九州ふっこう応援割」開始へ…経済のプロ荻原博子が疑問視する「開始時期」と「対象地域」
熊本地震から6週間ほどたちました。被災地域では復興に向けて取り組みが進んでいますが、観光業へのダメージも深刻なようです。宿泊キャンセルは熊本県で約20万件、九州全体では約40万件で、金額にすると約40億円にのぼるという報道もあります。
九州の観光業を支援するため、国は「九州ふっこう応援割」を始めます。10月1日以降の宿泊代などを補助するもので、割引率は熊本県と鹿児島県は1人1泊6割、福岡県や佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県は5割です。補助額の上限は、宿泊だけの予約や交通付きパック旅行で1泊の場合は1人2万円、2泊以上の交通付きパック旅行なら3万円、2県以上に宿泊する周遊旅行は3万5千円です。
たとえば熊本県の1泊2万円のホテルなら6割引きの8千円で宿泊できます。大きな補助ですね。九州ふっこう応援割の予約の開始日や方法、割引対象の施設などは、各県からの発表をお待ちください。
また、独自の補助を行う自治体も。たとえば熊本県阿蘇市の「阿蘇ふっこう割」は9月中の市内宿泊者に最大5千円の割引と、市内の飲食店などで使える2千円分のクーポンを支給します。
鹿児島県も、9月の大型連休前から独自の補助を行う方針です。補助は宿泊者1人1予約あたり6割、上限2万円の予定です。
千葉豪雨に見舞われた千葉県でも、独自の「千葉遊び尽くし応援割」がすでに始まっています。スポーツ体験などが最大3割、上限1人あたり1万円を補助します。
■アンテナショップでの買い物やふるさと納税も支援に
こうした使える補助を賢く利用し、被災地を訪れ、その地域でお金を使うことは、被災地支援の一手です。ほかには、各県のアンテナショップやネット通販などで特産品などを購入する、ふるさと納税などを活用して被災地に寄付を届けるなどもよいでしょう。身近で無理なくできることから、被災地への支援を考えたいものです。
しかし、九州ふっこう応援割に対する国の姿勢には疑問があります。まず「10月から」でよいのでしょうか。大きな被害を受けた地域の復旧は間に合っていますか。観光業の支援を急ぎすぎでは。
次に「九州全域」でよいのでしょうか。宿泊予約のキャンセルが九州全域に及んだのは理解していますが、旅行者は復旧途上の地域を避け、被害の少なかった地域を選ぶ傾向があります。しばらく時間をおいてから、もっとも被害の大きい熊本県限定の補助でもよかったのではないかと思います。
さらに、被災地ではまだまだ多くのボランティアが必要でしょう。旅費や宿泊費などを自己負担で参加するボランティアたちを補助する「ボランティア割」も検討してほしいと思います。
自然災害は各地で起きています。国は災害後に旅行支援を行うのが定石となっていますが、それが最善なのでしょうか。被災地域に届く、真の支援策を真摯に考えていただきたいと切に願います。
【PROFILE】
おぎわらひろこ
家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)など多数。
