マイクロンが1兆5000億円を投資 半導体特需で変わる街 広島・東広島市
アメリカの半導体大手マイクロン・テクノロジーは、1兆5000億円を投じ、東広島市に新しい製造工場の建設を進めています。変わる街の姿を取材しました。
ソフトバンクグループの孫正義会長に、岸田元首相や横田知事。7月、そうそうたるメンバーを集めて開かれたのがマイクロンの新しい製造工場の起工式です。1兆5000億円を投資し、半導体の量産を目指します。
「広島は単に(半導体)メモリを製造する場所ではなく、世界をリードする研究開発と高品質な大量生産を同じ屋根の下で行い、昼夜を問わず課題を解決してきた場所である。この(広島)のチームが単独で働くことは決してない」
マイクロンの広島工場があるのは、東広島市の主要駅である西条駅から約7キロの場所。駅から車で20分ほどです。
■広島テレビ 大江 芳樹 記者リポート
「小高い丘の上にあるこの巨大な建物が、マイクロンの広島工場です」
工場は、のどかな田園風景の中にあります。従業員は約4700人。製造するのはスマートフォンやパソコン、普及が進む生成AIに欠かせない半導体です。
工場はもともと、NECなどから半導体事業を引き継いで誕生した、「エルピーダメモリ」の主力工場でした。
しかし、14年前に経営破綻。その1年後、マイクロンが買収し工場を引き継ぎました。そして迎えたAI時代。国は半導体産業を戦略分野と位置づけ、最大で5360億円を支援するとしています。
■赤沢 亮正 経産相
「半導体について、我が国が自ら生産をして国富を生み、世界に貢献していくことは大変大きな意義があります」
広島県内への経済波及効果は年間約1040億円。4200人ほどの新規雇用が見込まれ、まちの活性化が期待されます。
Q.「まちが活性化する」という期待の声もあるが?
■東広島市民
「(活性化)すると思いますよ。世界的な頭脳が来るから」
「期待半分、不安半分ですかね。アパートとか住まいが確保できないとか不安もあるし」
飲食店にも変化が。マイクロンの社員に人気というラーメン店は・・・
■あおぞう 庄原 知希 店主
「お客さんが来てくれるのはうれしいし、喜んで帰ってくれる方がたくさんいれば、それだけうれしい」
東広島市にとって過去に例のない大型投資。高垣市長は、固定資産税や法人住民税の大幅な増加を見込んでいます。
■東広島市 高垣 広徳 市長
「そこからあがった税というものを市域全体に、ひ益するように市民サービスの向上、例えば医療福祉であるとかあるいは教育であるとか、そういうところを充実していく原資にもなってくる。そういう意味からすると大変歓迎をする」
これまでのマイクロンの投資効果もあり、市の人口は増加傾向に。2025年には19万8000人を超え、呉市を抜いて県内3番目となりました。
東広島市は工場北側に産業団地を整備する計画で、人口は今後も増加する見通しです。まちが発展する一方で、課題も浮かび上がっています。
熊本県菊陽町です。台湾の半導体大手・TSMCが進出し、東広島市と同様、半導体関連の大規模投資で発展を続けています。
Q.人が増えている実感は?
■地元住民
「ありますね。家の近所にも、でかいマンションができたりとか、びっくりしています」
住宅や商業施設が相次いで建設され、一足早く「半導体バブル」がきています。
一方で、課題となっているのが工場周辺の交通渋滞です。その問題は東広島でも・・・。
地元・吉川地区の住民からは懸念の声です。
■吉川まちづくり自治協議会 角谷 勉 副会長
「家から県道に出ようと思って右折をしようと思ったら、ほとんど出られない」
新たな工場は、今ある工場の隣りに建設されます。工事車両と通勤車両が同じ道を使うため、周辺の渋滞が悪化。24時間続く工事の騒音も課題です。
■吉川まちづくり自治協議会 角谷 勉 副会長
「吉川の人は、いつかこの工事が終わるだろうということで、我慢をしている。工業団地と里山の住み分けが、きっちりできることを望みたいですね」
高垣市長は住民の理解を得られるよう、苦心しているといいます。
■東広島市 高垣 広徳 市長
「いま(半導体産業の)国際競争が非常にシビアな状況の中で、(マイクロンが)早期に製造開始をしたいという中で、24時間施工をしているわけだが、それをしっかりと進むように常に我々とすると、住民・事業者のみなさんの間に立ちながら調整していくことが大変重要なテーマです」
4千人以上の雇用が創出されると見込まれるなか、高まっているのが住宅需要です。
広島市を中心に展開する不動産会社の「良和ハウス」は7月、需要の高まりを見込んで東広島に出店しました。
■いい部屋ネット東広島西条店 山田 竜一 店長
「ありがたいことに東広島にお住まいの方や、県外からの方にもたくさんご来店いただいています。東広島市全体の需要が、ちょっと高まってきているなと感じています」
物件の数も増加傾向です。県のまとめによると去年、市内で着工した賃貸物件は912戸。前年より約2割増えています。
■いい部屋ネット東広島西条店 山田 竜一 店長
「企業の投資によって、賃貸住宅の需要がどんどん拡大はしていくのではないかと考えているし、これから外国籍の方や、ご家族の方であったりとか、たくさんの幅広いニーズのお客様がご来店されることを想定しているので、これからどんどんお客様も多様になっていくかなと思っています」
東広島で急激に進む半導体の巨額投資。期待と戸惑いを抱えながら、まちが大きく変わろうとしています。
【2026年9月10日 放送】

