消滅可能性自治体の田んぼ、高速道路、空港、企業ビル内…なぜそこにchocoZAP?「出店余地の限界」にかける凄まじい執念

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RIZAPグループが2026年8月14日に発表した2027年3月期第1四半期決算(4月~6月期)で、最終利益は5期ぶりに黒字へ転じた。そのニュースの背後で、ひときわ存在感を増しているのが、再成長エンジンであり、先行投資の結実とも言える24時間営業のコンビニジム「chocoZAP」。2026年7月17日、同ブランドは国内2,000店舗を突破した。

注目したいのは、その出店先。都市部の駅前だけでなく、田んぼの中、高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、空港、ホテル、さらには企業内施設にまでchocoZAPは入り込んでいる。

なぜ、そこまでして店舗を増やすのか。ユニークな立地の裏側をたどると、日本の健康課題とBtoB・BtoC市場の双方をハックする、同社の極めて合理的な成長戦略が見えてくる。

田んぼの中の店舗が示す「誰も取り残さない」出店戦略

フィットネスジムといえば、都市部の駅前、繁華街、オフィス街。多くの人がそうイメージするだろう。ところが、三重県木曽岬町の「chocoZAP 木曽岬店」の周囲に広がっているのは、ビル群ではなく田んぼや畑。夜になると、周囲が暗く沈むなか、店舗の明かりだけがポツンと浮かび上がる。この光景は、テレビ朝日「ナニコレ珍百景」でも紹介され、「田んぼの中のフィットネス」として話題を集めた。

しかも木曽岬町は、民間の有識者会議「人口戦略会議」が2024年に公表した分析で、将来的な人口減少リスクが大きい「消滅可能性自治体」に分類された町でもある。

RIZAPグループとの包括連携協定に基づき、官民連携のコンビニジムとして誕生したこの店舗は、chocoZAPの出店思想を端的に物語っている。

当初、chocoZAPは人口密度の高いエリアを中心に出店基準を想定していた。だが、全国各地から寄せられるニーズを受け、今では人口密度の低い地域にも店舗を広げている。人口減少が進む地域では、商業施設やサービスの選択肢が減り、健康づくりの場も遠ざかりがちだ。そう考えれば、木曽岬町の田園地帯の「ポツンと一店舗」は、「すべての人に健康になる機会を提供する」という執念の表れにも見えてくる。

移動や滞在のスキマ時間を健康づくりの時間に

chocoZAPは、人が住む場所だけでなく、人が移動する場所にも入り込み始めている。高速道路のサービスエリア・パーキングエリア、そして空港だ。

chocoZAP 足柄SA(下り)店」や「chocoZAP 日本平PA(上り)店」は、ドライブの休憩時間を、「ただ座って過ごすだけ」の時間から「体をほぐし直す時間」へ変える。

熊本の「chocoZAP 阿蘇くまもと空港店」では、搭乗前後の待ち時間や送迎の合間に体を動かせる。出張などのスキマ時間を活用できるのは、忙しいビジネスパーソンにとってありがたい限りだ。

さらに、滞在先で過ごす時間をより快適にしようという試みも。

chocoZAP ホテル信濃路店」は、宿泊客が滞在期間中に利用でき、運動だけでなく、ランドリー、マッサージチェア、カラオケといったサービスも備えている。

館内にコインランドリーがなかったことから、洗濯ニーズに応える場所としても利用されており、移動の疲れをマッサージチェアで癒やし、空き時間にはカラオケで気分転換。滞在時間を豊かに変えるエンタメ・リフレッシュ空間としても機能している。

「企業内chocoZAP」で働く人のウェルビーイングを後押し

chocoZAPの出店先は、職場の中にも広がっている。一般会員は利用できない、いわば企業内限定のchocoZAPだ。湘南アイパーク(日本最大級のライフサイエンス研究施設)、クボタ グローバル技術研究所、札幌トヨタ、損保ジャパン本社ビル--いずれも、働く人の健康増進やウェルビーイングを支える場として導入されている。

職場の中にジムがあるだけで、運動のハードルはグッと下がる。「仕事帰りに気合いを入れて通うもの」ではなく「昼休みや業務の合間に気楽に利用するもの」になるからだ。

実際、「chocoZAP 湘南アイパーク店」では、施設内で働く利用者から「昼休憩で運動すると達成感があり、午後、眠くなりにくいと感じられるので仕事を頑張れるようになった」といった声が寄せられている。

chocoZAP 損保ジャパン本社ビル店」では、SOMPOグループ各社の社員約1万人の希望者を対象に、運動習慣の効果に関する科学的な検証も進められている。

それによれば、参加者のうち「汗をかく」運動をしていなかった人のうち40%が少なくとも月1回以上運動するようになったという結果が。

さらに、利用回数が増えるにつれ、開始時から3ヵ月後のプレゼンティーイズム(何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態)の改善が未利用の人に比べて大きくなる傾向が確認されている。この改善を経済価値で表すと一人あたり最大で月5,640円。これが年単位、そして利用者の人数分となれば、企業側にとっても無視できない数字だといえるだろう。

働く人の不調や生産性の低下をどう防ぐか。健康経営をどこまで日常の仕組みに落とし込めるか。その実験の場として、企業内chocoZAPは機能し始めている。

なぜスピード出店と黒字化を両立できるのか

これほど多様な場所に、なぜ短期間で店を出せるのか。その背景にあるのが、chocoZAP独自の店舗開発スキームである。直調達、直接分離発注、職人の直接雇用。3つの「直」を組み合わせたネットワーク型SPA(製造小売業)モデルによって、出店までのスピードとコストの最適化を進めてきた。RIZAPグループはこのスピード出店のノウハウの外販に踏み切り、今年4月にはRIZAP建設の立ち上げを発表している。

一方で、無人運営、AI活用、巡回・修理体制の強化など、独自のシステムを確立し、店舗を増やした後の運営効率化も進む。

こういった「出店すればするほどドミナント優位性と収益性が高まる」構造により、先述の決算では、既存店舗の95%が3ヵ月連続で黒字を達成。出店により収益性が必然的に押し上げられる仕組みを構築している。

「運動しない理由」を限りなくゼロに

田んぼの中の店舗も、高速道路や空港、企業内の店舗も、一つひとつを切り取れば「いっぷう変わった出店」に見えるが、俯瞰してみると、そこには一貫した思想がある。

健康になるための運動習慣を身につける最も確実な方法は、運動できる場所を生活の中に増やすこと。

「近くにジムがない」「通う時間がない」といった「運動しない理由」を限りなくゼロにしたいという執念が、chocoZAPを「出店余地の限界」への挑戦へと駆り立てているのだ。

chocoZAPにとって国内2,000店舗突破は、通過点にすぎない。国内8,000店舗という目標の真価は、生活圏のあらゆる場所で運動するきっかけとなる場を作り出し、社会全体の運動へのハードルを根底から下げる点にある。その先に見据えるのは、「誰もが自然と運動を習慣化できる社会」。だからこそ、chocoZAPは今日も、「なぜそこに?」と言われる場所へ店を出し続けている。

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