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後にマッスルカーと呼ばれる新ジャンル

1957年2月、アメリカ・フロリダ州デイトナビーチの特設コースには、デトロイトの速さ自慢が集結した。北米のビッグ3、GM(ゼネラル・モーターズ)、フォード、クライスラーは、1マイル(約1.6km)の最高速チャレンジで加速性能を競い合った。

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インジェクションのV8エンジンを積む、シボレー・コルベット SR-2は245.9km/h、サンダーバードに7.0L V8を載せたフォード・バトルバードは257.5km/hを記録。だが、サドンリー・プリマス・サボイで267.1km/hに届いたクライスラーが、勝利を掴んだ。


AMC ランブラー・レベル(1957年/北米仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

その傍らで、燃費を気にするような層をターゲットにしていたAMC(アメリカン・モーターズ・コーポレーション)も速さに挑んでいた。後にマッスルカーと呼ばれることになる、新ジャンルのサルーン、ランブラー・レベルで。

当時のAMCはビッグ3に販売で離され、2本柱のナッシュやハドソンは販売が低迷。業績回復の一手として選ばれたのが、ハイパワー化だった。

小規模のAMCが窮地に立たされた1950年代

AMCは、1954年にナッシュ・ケルビネーター社とハドソン・モーターカー・カンパニー社が合併し誕生するが、それより早い1950年に、初代ナッシュ・ランブラーは販売を開始。ビッグ3が展開する、低価格モデルへの対抗馬になっていた。

ところが、タイヤ上部が隠れたスタイリングは勢いに欠け、少々コミカル。2.8L直列6気筒エンジンも、興味をかき立たせるには充分ではなかった。1953年からは、フォードとGMの間で値下げ競争が勃発し、規模の小さいAMCは窮地に立たされた。


AMC ランブラー・レベル(1957年/北米仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

1950年代は、スタイリング競争も激しかった。GMのデザイナー、ハーレー・アール氏と、クライスラーのヴァージル・エクスナー氏は、テールフィンの大きさやクロームメッキの多さで新しさを主張。アメリカの世相を、巧妙に掴んだ表現といえた。

そんな中で、AMCを率いたジョージ・ロムニー氏は、ランブラーの可能性を諦めていなかった。基本的な設計は、充分に先進的といえたからだ。

他社に先駆けてモノコック構造を採用

そもそもナッシュは、1930年代からモノコック構造の前身となるユニタリー構造を研究。ランブラーは、当時一般的だったセパレートシャシーではなく、モノコックボディを採用し軽く仕上がっていた。

今回のランブラーでも、「ボディとフレームを溶接し、一体構造とした先進的な方法で製造されています。これは、AMCが独自に開発したものです」と、フロントピラーへ貼られたプレートに記されている。新技術の意義を、ユーザーへ伝えるために。


AMC ランブラー・レベル(1957年/北米仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

他方、AMCが誕生した1954年に、V8エンジンの開発がスタート。完全な新設計だったが、主任技術者のミード・F・ムーア氏の指揮で、僅か18か月で量産は始まった。

オーバーヘッドバルブで、クランクシャフトとコネクティングロッドは鍛造。剛性の高いクランクケースを備え、排気量は4096ccで、192psの最高出力が引き出された。

ライバルと一線を画す姿にV8エンジン

このV8エンジンは、1956年仕様のナッシュ・アンバサダーとハドソン・ホーネットから搭載が開始。1957年には、それまでのブランド・イメージを刷新した4ドアサルーン・ボディのランブラーにも、排気量が増やされオプション設定されることになる。

スタイリングは、エドマンド・E・アンダーソン氏とビル・レッディグ氏が手掛けたもの。英米の共作スポーツカー、ナッシュ・ヒーレーの特徴を取り入れたと思しき、フロントマスクが個性的。楕円形のグリル内に、ヘッドライトが据えられている。


AMC ランブラー・レベル(1957年/北米仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ホイールベースは2743mmと長く、フロントガラスは左右へ大きく回り込み、リアバンパー上にはスペアタイヤ。流行に合わせてテールフィンやクロームメッキで飾られつつ、逆スラントのリアピラーで、ライバルと一線を画す後ろ姿が生み出された。

同クラスでは最速にあったランブラー・レベル

ランブラーへ積まれたV8エンジンは、排気量を5385ccへ拡大。ミドルクラスのサルーンとして、初めてビッグブロックと呼べるユニットを搭載したモデルとなった。高圧縮比化で、最高出力258ps、最大トルク47.6kg-mと、頼もしい動力性能を得ていた。

サスペンションは強化され、フロントにはアンチロールバーを獲得。3段階の調整式ダンパーも与えられている。トランスミッションは、オーバードライブ付きの3速マニュアルか、GM由来の4速オートマティックを選べた。


AMC ランブラー・レベル(1957年/北米仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

AMCのロムニーは、好戦的なスタイリングと不満ないパワーを備えたミドルサイズ・サルーンが、新たな市場を開拓すると期待。ランブラー・レベルの名で販売が始まる。0-97km/h加速は7.5秒、最高速度は185km/hで、同クラスでは最速にあった。

この続きは、AMC ランブラー・レベル(2)にて。