11年ぶりに日本復活を遂げる日産ムラーノ。制約だらけでも魅力的な新型の中身と歴代モデルの振り返り

この記事をまとめると
■4代目ムラーノが米国生産車の認定制度を活用して日本市場に復活
■左ハンドルや日本語表示非対応など北米仕様ならではの制約もある
■国内で販売された歴代モデル2世代を振り返る
ムラーノが11年ぶりに帰ってくる
2026年6月3日、日産が米国テネシー州のスマーナ工場で生産されるミッドサイズクロスオーバーSUVのムラーノを、2026年2月に国土交通省が創設した米国製乗用車の認定制度を活用して日本市場に導入。注文受付を開始している。
ボディサイズは全長4900×全幅1980×全高1725mmという堂々としたもので、駆動方式は4WD。2リッター直4ターボエンジンは245馬力/35.9kg-mを発揮。ミッションは9速AT、車重は1945kgとなる。グレードはSVのみの単一設定、価格は796.4万円で、左ハンドルのみの設定だ。

思い返せば、初代ムラーノ(Z50型)は2002年11月にまず北米市場で発売され、2003年10月の東京モーターショーでの北米仕様参考出品を経て、2004年9月に日本仕様を国内で発売開始した。ティアナなどに用いられたFF-Lプラットフォームを採用し、丸みを帯びたスタイリングが特徴的で、パワーユニットは3.5リッターV6(VQ35DE)と2.5リッター直4(QR25DE)を搭載。ボディサイズは全長4770×全幅1880×全高1705mmと、当時としては幅広いサイズだった。また、2004年にはグッドデザイン賞を受賞している、デザインにもこだわったSUVといえた。

2代目(Z51型)は2008年1月から北米で販売が開始され、遅れて9月に日本仕様を国内で発売。丸味を帯びたスタイリングはそのままに、顔つきがシャープになっていたのが特徴だ。プラットフォームを一新するとともに、パワーユニットは初代の3.5リッターV6(VQ35DE)と2.5リッター直4(QR25DE)を継承しつつ、ミッションをアダプティブシフトコントロール付きのエクストロニックCVTに換装。全車4WDだったが、燃費性能が向上したこともトピックだった。
また、ショックアブソーバーやパワーステアリングも一新。乗り心地と操縦応答性の向上をもたらしている。ちなみにボディの塗装は全色スクラッチシールド(細かいキズが復元する塗装)となった。日本仕様は当初、4WDのみだったのだが、2010年1月に2.5リッターエンジンモデルに2WD車を追加(250XL、250XV)。4WD車も一部仕様変更が行われている。

それから1年後の2011年1月にはマイナーチェンジを実施。よりシャープなフロントグリル、ワイド感が増したフロントバンパーを採用しデザインをブラッシュアップ。インテリアはさらなる上質感の演出のため、メーター、本革シート、ドアトリムなどのデザインを変更。地デジチューナー、iPodとのUSB接続対応、HDDカーナビゲーションの採用もこのタイミングであった。
2012年に一部改良ではBOSEサウンドシステムを標準化するとともに、ダーククロームのフロントグリルやLEDライトを採用。エクステリアの精悍さが一段と増している。また、XV系グレードに鮮烈なプレミアムレッドインテリアを設定。プレミアム感がますます高まっていたのである。

制約も多いが人気の予感
当時の試乗メモを引っ張り出せば、「3.5リッターモデルはCVTとの相性もよく、トルキーで扱いやすい。豪快というよりはスムースでシャープな加速力がもち味で、2.5リッターのFFモデルは1630kgという軽量な車重もあって出足から俊敏で軽快感ある加速フィールが気もちよい。ムラーノ全体としてはリバウンドスプリング内蔵のサスペンションによるフラットかつ荒れた道でも快適な乗り心地のよさと安定感、巡行時を含めた静粛性もなかなかのものといえる」と記してある。

しかし、大柄なボディサイズが災いしたのか、日本での販売は今に至る空前のSUVブーム到来前もあって、伸び悩んだのも事実。2015年4月に国内販売を終了することになったのだ。その後、3代目(Z52型)はかなり攻めたダイナミックなスタイリングで登場したものの、生産は北米、中国、ロシアのみだった。
そして2025年、3代目からさらにボディサイズを拡大した4代目が北米で登場。プレミアム感あるインテリアには12.3インチのデュアルディスプレイを採用。日産最新の360度セーフティアシストによって安全性も一段と向上している。

個人的には歴代ムラーノのなかでもっともプレミアム感があるとともに、好き嫌いがわかれにくく、誰からも好感をもって受け入れられる、ドイツ製SUVに負けない存在感をもつのがこの4代目だと思える。いまの日産が完全な日本仕様の生産に踏み切れないのは残念だが、日産製でありながらアメリカンSUVの雰囲気を味わえる1台として、全長4900×全幅1980のボディサイズを許せるSUVファンからは、大ヒットは望めないにしても一定の人気は出そうな予感がする。
そして2代目を最後に途絶えた、”登場する時代が早すぎたスタイリッシュSUV”といっていいムラーノが、左ハンドルの北米仕様の逆輸入車であれ日本に復活したことも嬉しさを感じさせてくれる。

ちなみに、右側通行から左側通行の変更に伴ったヘッドライトの配光や、プロパイロットの設定などは、日本仕様向けに変更されている。ただしメーターの言語は英語・スペイン語・フランス語のみ。ディスプレイオーディオも英語・スペイン語・フランス語・アラビア語のみで、日本語の表示は不可となる。
また、Nissan Connectサービス、SOSコール、AM/FMラジオの使用も不可。さらにプロパイロット・インテリジェントクルーズコントロールの最高速度が144km/hになり、運転席側(左)のドアミラーが平面鏡となって国内生産車とは視界・見え方が異なる……などの違いがある点は知っておきたい。



