辻元清美議員

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 皇室典範改正を巡り、参議院議員・辻元清美氏のX(旧ツイッター)などSNSへの投稿が大きな波紋を広げている。発端は、国会における高市早苗首相の「天皇と32親等の隔たりのある皇族男系男子が養子になられた例がある」という答弁。

【写真】昭和100年記念式典に参加した高市首相

 これに対し、辻元氏が宮内庁に直接確認したところ、確かに養子の実例は2例確認されたものの、いずれも明治22(1889)年の旧皇室典範制定前のことで、それらは宮家の相続や設立が目的であり、皇位継承とは無関係だったという。さらに、旧皇室典範制定後はそもそも養子縁組自体が廃止されている。

 高市首相を「権力者たちによって載せられた『ショートケーキのイチゴ』」と厳しく指摘する辻元氏。激動の政局の中、女性天皇の是非から、副首都構想法、そして故郷・大阪への熱い思いまで、作家の日野百草氏が聞いた。(前後編の後編。前編から読む)

愛子さまはずし、おかしいじゃん

--女性天皇など皇位継承の在り方も問題となっています。辻元さんは女性天皇容認ですか?

辻元:もちろんですよ。女性・女系いずれも容認です。男子男系とある皇室典範は戦後、法律のひとつでしかなくなった。上位にある日本国憲法には「皇位は、世襲のものであつて」とされていて、憲法では男女平等が規定されているのだから、男女平等の世襲にならなきゃおかしい。

日野:先の国会で旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎えることが可能になりました。この変更では、養子皇族に皇位継承権はないが「養子皇族から生まれる男子」は皇位継承権を持つということになります。

辻元:わざわざ明治時代の旧皇室典範ですら禁止してきた養子を持ってきた。そして、愛子さまが結婚された人が民間だったら、生まれた子どもは民間人だから皇位継承できないっていうふうに決めたわけですよ。それってもう完全に愛子さまはずしですよね。女性女系封じでしょう。おかしいじゃん。そう思います。

日野:そもそも天皇制と継承についてはずっと先送りしてきましたからね。

辻元:自民党も触れてこなかったんだよね。

日野:高市首相は、有識者会議は不要、皇族数の減少から〈一刻の猶予もならない喫緊の課題〉として〈皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない〉と皇室典範改正を強引に可決に持ち込みました。

辻元:高市さんが天皇を本当に尊敬しているのかどうかも疑問ですよ。昭和の日、昭和100年記念式典で天皇皇后両陛下を日本武道館での式典へお招きしたのに発言させなかったじゃないですか。

日野:臨席のみ、お言葉をいただく予定は最初からなく、問題はないという政府見解でしたね。あとで陛下の所感は公表されましたが「総合的に勘案して」とお言葉なしだった。

辻元:その所感の中で陛下は、過去の歴史に対する深い反省と平和を守るための努力を続けることを述べられてます。高市さんは違うのかもしれませんね。もっとも、歴史認識については彼女の後ろにいる日本会議などの支援団体に配慮しているように見える。

日野:高市さんも配慮と同時に、ある意味それを利用しているのでは。

辻元:ショートケーキのイチゴのように、権力者たちによっててっぺんに置かれるポジションにのし上がるため右派の女王、右派のアイコンになると決めたのかもしれません。

維新の維新による維新のための議員立法

日野:副首都構想法も、わずか2票差で決まりました。

辻元:どう考えても単に維新が3回目の大阪都構想(住民投票)をやりたいがための、維新の維新による維新のための議員立法だとしか言いようがないです。

日野:吉村洋文代表が率いる大阪維新の会、日本維新の会はずっとこの副首都構想が看板政策で大阪を副首都にしたかった。

辻元:私はカジノなど巨大な利権が生まれる法案だと思っています。維新の橋下さんと松井さんが安倍総理にお願いして、カジノ誘致のため巨額の税金を大阪の埋め立て地に投入させたのはつい最近です。

日野:夢洲の統合型リゾート計画については、巨額の公費負担や環境汚染への恐れ、特定企業を優遇しているのでは、という指摘が根強くあります。大阪は辻元さんの地元でもありますね。

辻元:国会で野党が「自治体選挙と副首都構想に関連する住民投票は同日には禁止する」という法案を出しましたが否決されました。ただし法案の採決にあたっては、同日実施については重複しないよう最大限調整すると維新にも確認をとり、付帯決議もつけた。それなのに維新の代表としてこのプロセスにも関与していたはずの吉村さんは、禁止法案は否決されたからやってよい、選挙と住民投票を同日実施したいと言い出した。しかも法案成立直後です。

日野:否決なのにそれはおかしい。

辻元:そう、だったら、大阪都構想は住民投票で2回も否決されているので従うべき、という話になると思いますよ。

日野:何が何でも副首都ということでしょう。維新の悲願であることは確かですから。

辻元:でも副首都に関係することでいえば、ちゃんとこれまで審議会などを開いて、議論を長年続けて改正してきた国会等の移転、要するに首都機能移転法がすでにある。それとの整合性はどうなるのかと思いますよ。防災は、福祉は、どうするの? インフラ整備だって、そのお金はどこから持ってくるの? いくらかかるの? って聞いても予算規模は出せませんと言う。本当におかしな話です。

大阪の良さが失われていくのか

日野:1990年代から長く大阪を地盤に政治活動をしてきて、維新台頭後の大阪という街の変化は感じますか?

辻元:大阪ってやっぱり助け合いの街でね。外国の人たちもたくさんいて、お好み焼きみたいに、色んな具材を包み込む街だったんです。誰にだってものすごく優しいところです。でも維新が選挙で勝つようになってから、どんどん格差が広がっちゃって。

日野:しかし大阪の人たちが支持するからこそ、維新があるという現実もあります。

辻元:確かに外から見ると、大阪の人たちは維新が好きそうに見えるかもしれませんが、それでも「大阪市はなくしたくない」と2015年と2020年の住民投票で反対してきた。

日野:いまも大阪都構想には否定的なのでしょうか。

辻元:わからない。新しい高層マンションがいっぱい建って街の空気も変わった。助け合うより「自分さえよければ」的な考えの人も増えているように思うんですよね。大阪の良さが失われていくんじゃないかと危惧しています。

(了。前編から読む)

【プロフィール】
辻元清美(つじもと・きよみ)/参議院議員(全国比例代表)、元衆議院議員(7期)。元立憲民主党代表代行、国土交通副大臣、総理大臣補佐官。早稲田大学教育学部在学中に、NGOピースボートを創設。1996年初当選。NPO法成立や男女共同参画社会基本法、児童買春・ポルノ禁止法などの成立に尽力。女性初の衆議院国対委員長(野党第一党)を務める。現在、参議院国土交通委員長、同・憲法審査会委員。

日野 百草(ひの・ひゃくそう)/出版社勤務を経て、内外の社会問題や政治倫理、近現代史のルポルタージュや文芸論、芸術論を手掛ける。一般社団法人日本ペンクラブ広報委員会委員、同・言論表現委員会委員。現代俳句協会会員。MFA(芸術修士)。