スマホを取り上げて次はAIまで…米ニューヨーク「小中学生AI禁止令」世界に拡大
教育の進化のスピードも速そうな米ニューヨークの教室から人工知能(AI)チャットボットが姿を消す。子どもの学習能力・創造性の保護などを理由に、スマートフォンに続いてAIまで青少年の利用を禁止する国が相次いでいる。
米ニューヨーク市は2日(現地時間)、来週の新学期から域内の公立小中学校の生徒による校内でのAI使用を全面的に禁止する内容の指針を発表した。同市のカマール・サミュエルズ教育長は「子どもの成長に役立つ人間的な交流、好奇心、創造性を守るために安全装置を設けた」と説明した。ゾーラン・マムダニ市長も「情報技術(IT)業界はAIを活用した早期教育が避けられず、必須だと主張している。しかし、そうは考えていない」と同調した。
ニューヨークは米国最大規模の学区だ。具体的にはニューヨークの公立学校に通う生徒全体の3分の2に当たる約60万人が、高校に進学するまで学校でAIを使うことができない。小学2年生までは教室でスマートフォンはもちろん、タブレットPCなど個人用デジタル機器の使用も禁止した。高校生は限定的にAIを使えるが、生徒と感情的な交流をする「AIチャットボット」は使えないようにした。
教員によるAIの使用も制限した。特にAIを使って ▷課題を採点したり ▷卒業の可否を判断したり ▷カウンセリング方法を決めたり--する際に支援を受けることができないよう定めた。ただし、授業計画を作成したり、海外資料を翻訳したりする目的では使用できるようにした。
欧州・中東・アジアでも学校でのAI活用を規制する国が増えている。3日の日本経済新聞によると、生徒のAI活用を禁止している国にはノルウェー、中国、アラブ首長国連邦(UAE)がある。
ノルウェーは先月から小学校でAIの活用を禁止した。6~13歳の生徒はAI活用を原則として制限した。14~16歳の生徒は教員の監督下でのみ認める。17~19歳の生徒は学習・就職に役立つAI活用法だけを学べるようにした。2024年から小中高校でスマートフォンの使用を禁止したのに続き、AIの活用にも歯止めをかけた。
ヨナス・ガール・ストーレ首相は「最近、生徒の学業成績が低下している。学校教育で最も重要なのは読み・書き・計算能力を育てること」とし、「学校で生成AIを批判的な検討なしに使用すれば、学習の重要な段階を飛ばしてしまう危険性が高い」と指摘した。
米国の唯一のAI競争相手とされる中国は、AIを教育に積極的に活用する一方、実際の使用には教育段階別に厳格な制限を設けている。ロイター通信によると、中国教育部は昨年5月、「小中学生生成AI使用ガイドライン」を発表した。小学生による、自らコンテンツを作成できるAIの使用を禁止することが柱だ。中学生はAIが作ったコンテンツの論理構造を分析する水準で、高校生はAI技術の原理を探究する水準で学習を認めた。教員がAIで試験問題を作ったり、生徒を評価したりする際に使用することも禁止した。
UAEは今年2月、13歳未満の生徒によるAI使用を禁止する指針を発表した。13歳以上の生徒もAIは学習を支援する目的に限って使用しなければならない。試験や公式評価でAIを使用することは禁止した。
これらの国が共通して懸念しているのは、生徒がAIに依存した場合、基本的な学習能力が低下する可能性があるという点だ。経済協力開発機構(OECD)が発刊した「デジタル教育展望2026(Digital Education Outlook 2026)」によると、米ペンシルベニア大学の研究チームはトルコ(テュルキエ)の高校生約1000人にチャットボット(GPT-4)を一定期間、学習補助ツールとして提供する実験を行った。その後、AIを使えないようにして同じタイプの数学・科学の試験を受けさせたところ、GPT-4に依存した生徒の点数はAIを使わずに勉強した生徒より平均17%低かった。
OECDは「AIが即座にフィードバックを与えると、生徒は自分が内容を十分に理解したと錯覚しやすい」とし、「AIで課題を終えたからといって、直ちに学習が保証されるわけではない。AIの性能が高いほど、本当の学習経験が教室の外に追いやられる危険性がある」と警告した。
米公共ラジオNPRは今年1月、ブルッキングス研究所の研究データを根拠に「現時点では学校内でAIを使用する危険性が、その恩恵を上回っている」と指摘した。AIへの過度な依存が生徒の基礎的な学習能力を損なっており、単なる成績の問題を越えて人間の成長の根幹を揺るがしかねないということだ。
AIを学習過程で無条件に禁止することは対策にはならない。現実的に阻止することもできない。ビッグテック企業はAIが教員の時間を節約し、生徒には個別最適化された学習を可能にし、AIが主導する未来社会に備えられるよう支援すると主張している。ただし、スマートフォンやソーシャルメディア(SNS)と同様に、一定の年齢まで使用を制限すべきだという主張が支持を集めている。ユネスコは2023年に発表した「教育現場における生成AI活用ガイドライン」で、AIの使用を13歳以上に制限するよう勧告した。
教育熱が高い韓国でもAIは議論が過熱しやすいテーマだ。韓国言論振興財団が昨年実施した調査によると、10代の67%が調査直前の1週間にAIを使用していた。AIは主に情報を得るために活用しているが、悩みを相談するケースも34%に達した。「心の内を打ち明ける相手」として、AIが友人・母親に次いで3位を占めたほどだ。AIが青少年の情緒発達に大きな影響を及ぼす可能性があることを意味する。

