NASAが「火星通信ネットワーク」の整備でブルー・オリジンに通信衛星を発注

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NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年9月1日付で、火星探査を支える次世代の通信網「MTN(Mars Telecommunications Network=火星通信ネットワーク)」の構築事業者として、アメリカのBlue Origin(ブルー・オリジン)社を選定したと発表しました。


契約方式は完全定額契約で、上限額は約7億ドルです。Blue Originは2028年12月31日までに、MTN向けの通信衛星「MTO(Mars Telecommunications Orbiter=火星通信衛星)」1機をNASAへ納入することになります。


一度は消えた「火星通信衛星」計画

実は、MTOという名称の通信衛星計画は、今回が初めてではありません。


NASAはかつて同名の火星周回機を2009年の打ち上げに向けて準備していましたが、予算の制約によって2005年7月に計画を中止した経緯があります。以来、地球と火星の探査機・探査車との通信は「Mars Reconnaissance Orbiter(マーズ・リコネサンス・オービター)」などの通信専用ではない周回機が中継役を担ってきました。


状況が変わったのは2025年7月、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領の署名により成立した歳出法「公法第119-21号」がきっかけです。同法はNASAに追加で約100億ドルを拠出する内容を含んでおり、そのうち7億ドルがMTOの整備に割り当てられています。


これを受けてNASAは2026年5月14日に提案依頼書を公示し、民間の調達先を検討してきました。今回の選定は、この公募を経て決まったものです。


Blue Origin提案の「MTO(火星通信衛星)」とは

Blue OriginのMTOは、同社が開発中の輸送プラットフォーム「Blue Ring(ブルーリング)」をベースに開発されます。推進システムには化学推進と太陽電気推進を採用。通信専用のペイロードに加えて、ミッションに応じて1トン以上の物資を火星周回軌道まで運ぶ能力も備えています。さらに、MTOは火星の低軌道に小型のUHF(極超短波)中継衛星を複数展開できる設計で、既存の探査機や探査車といった資産にも対応できるとしています。


Blue Originで国家安全保障部門の社長を務めるTory Bruno氏は同社のプレスリリースを通じて、MTOが今後10年以上にわたってアメリカの火星探査を支える基盤になるとの見通しを述べています。


NASAは2030年までにMTNの運用開始を目指しており、今後拡大が見込まれる有人探査や新たな着陸実証ミッションを支える通信基盤としての役割が期待されています。Blue Originにとっては有人月面探査計画「Artemis(アルテミス)」の月着陸船「Blue Moon(ブルームーン)」に続いて、NASAの月・火星探査計画における関与をさらに広げる機会になりそうです。


関連画像・映像

【▲ Blue Origin(ブルー・オリジン)が開発する「MTO(火星通信衛星)」のCGイメージ。Blue Origin公開の動画から引用(Credit: Blue Origin)】
【▲ Blue Origin(ブルー・オリジン)が開発する「MTO(火星通信衛星)」のCGイメージ。Blue Origin公開の動画から引用(Credit: Blue Origin)】


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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