円安が襲うJリーグ。海外流出を止められず、有力な外国人選手には手を出せない。一方で、積極的な若手の登用に繋がる恩恵も…【識者コラム】
もはや、Jリーグの各クラブは日本人選手を引きとめられない。すでに80人前後が欧州の各国クラブに所属しているが、昨年冬にはJ1、ヴィッセル神戸のFW宮代大聖がスペイン2部のラス・パルマス、アビスパ福岡のDF安藤智哉がブンデスリーガのザンクトパウリ、サンフレッチェ広島のMF田中聡がブンデス2部のデュッセルドルフへと移籍。さらにJ2からも大宮アルディージャのDF市原吏音、サガン鳥栖のFW新川志音、ロアッソ熊本のFW神代慶人も欧州組の列に加わった。もはや、Jリーグでの実績は問われていない。
欧州のクラブから見れば、非常に安価で原石が手に入る市場になっているのだ。
選手もプロフェッショナルとして考えた場合、海外のマーケットに打って出た方が可能性は広がる。欧州の小さなクラブで、年俸はそこまで上がらなくても、有力クラブに移籍できたら、年俸3億円も非現実的ではない。MLS(メジャーリーグサッカー)でも、今やレギュラー平均が1億円という現状なのだ。
円安によって、Jクラブは有力外国人選手にも手が出せなくなった。結果、年季の入った外国人選手がJリーグの各クラブで“使いまわし”で、顔ぶれがあまり代わっていない。新顔もいるが、日本人選手と比較し、助っ人として戦力アップになっているか、微妙なラインだ。
2025年シーズン王者の鹿島アントラーズのレオ・セアラは横浜F・マリノス、セレッソ大阪を渡り歩いてJリーグ6年目、エウベルも横浜から移籍し、同じく6年目。アシスト王でセレッソのルーカス・フェルナンデスは8年目だ。存外、彼らの方が日本人選手よりもJリーグの顔と言えるか。
監督も同じで、なかなか面子が変わらない。外国人監督も“おすすめ物件”は高額で手が出ないからだろう。柏レイソルのリカルド・ロドリゲス監督のように、スペイン国内では全く無名も、Jリーグで監督としてキャリアアップする例もあるが、これは例外的だ。
Jリーグの各クラブは今後、選手という資源の奪い合いになる。今までのように杜撰な補強体制では、高額で契約した外国人監督の違約金だけで、チームは危機に陥る。下部組織を充実させ、トップに選手を送り込めるか。そのチームにお金以上の価値を感じ、チームに残留させられるか。地政学的にも、株や為替の動きを見ても、日本国内のインフレの事情を鑑みても、円安が急に円高に振れることは考えにくい。Jリーグのクラブ関係者にとって、難しいかじ取りの時代に突入した。
