次代を担う逸材たち~アマチュア野球最前線
第24回 茨城アストロプラネッツ・三浦遼大

 たった1球、投球練習で投げただけ。それだけで、この投手に「NPBの器」があることは十分に伝わってきた。

 7月7日、ロッテ浦和球場で開催されたロッテファーム対BCリーグ選抜の交流戦。BCリーグ選抜の8番手として登板した三浦遼大(茨城アストロプラネッツ)は、持ち味を存分にアピールしてみせた。


最速155キロを誇る茨城アストロプラネッツの三浦遼大 photo by Takahiro Kikuchi

【多少甘くても打たれない】

 身長175センチ、体重80キロと上背はないものの、ショートアームのバックスイングから爆発的なリリース。うなる剛速球は、捕手のミットを激しく叩いた。今年5月には、最速155キロを計測したという。

 2者連続で内野ゴロに仕留めたあと、二死無走者の場面で打席にスティベン・アセベドを迎える。身長195センチ、体重104キロのドミニカ共和国出身の大型外野手は、昨季に一軍で本塁打を記録している強打者。そんなアセベドに対し、三浦はフルカウントから剛速球を投げ込む。バットが空を切った瞬間を見届け、三浦は泰然と一塁側ベンチへと戻っていった。

「今日は力んでボール球が多くなってしまったんですけど、最後のバッターには力が抜けて、バランスよく投げられました。ストレートはよかったですね」

 青森山田高から茨城に入団して、今年で3年目の20歳。だが、これまでは独立リーグで目立った結果を残せずにいた。

 1年目の2024年は9試合に登板して、防御率7.48。2年目の昨季は23試合の登板で、防御率5.13。安定感を欠いていたが、3年目の今季はここまで(8月27日現在。以下同)リリーフとして27試合に登板し、防御率0.61。突然の覚醒の背景には、何があったのか。そう尋ねると、三浦は笑顔で答えた。

「昨年までは球速がほとんど140キロ台だったんですけど、今年はほとんどの試合で150キロ台が出るようになって。『多少甘くなっても打たれないだろう』と自信を持ってストライクゾーンに投げ込めているので、フォアボールが減りました。気持ちの面の変化が大きいと思います」

【指名漏れから始まった勝負の1年】

 今季は背水の陣を敷いていた。昨年のドラフトでは2球団から調査書が届いたものの、あえなく指名漏れ。その翌日、三浦は意を決して親にこう申し出ている。

「来年は絶対にプロ(NPB)に行くから、借金でもいいからお金を使わせてもらいたい」

 なぜお金が必要だったかといえば、野球のパーソナル指導を行なうDIMENSIONING(ディメンショニング)に通うためだ。NPB選手を数多く指導する代表の北川雄介氏から、三浦も以前に指導を受けたことがあり、その手腕を信頼していた。

「ディメンショニングでは自分のボールやフィジカルの数値が出て、すごく参考になるんです。プロ(NPB)の選手が練習していることも多いので、そこで感覚を教えてもらうこともありました。自分は変化球が課題だったので、決め球のスプリットを磨くために通わせてもらうことにしました」

 シーズンオフには、3度にわたってディメンショニングに通った。費用がかさむたび、親への感謝の念が募った。こうした背景もあり、三浦は「今までとは覚悟が違います」と力説した。

 三浦の武器は、球威のあるストレートだけではない。ロッテ戦では「カウント的に投げる機会がなかった」というスプリットも、精度が増している。また、120キロ台で大きく縦に割れるパワーカーブもあり、打者の目線を変えられる。今季はBCリーグで29回1/3を投げ、43奪三振をマークしている。

【大学より独立リーグを選んだ理由】

 青森山田では背番号1をつけていたが、外野手兼任。1学年下には関浩一郎(亜細亜大)や櫻田朔(法政大)がいた。高校3年時にプロ志望届を提出したものの、調査書は1球団止まりで指名漏れ。大学からの誘いもあったが、三浦は保証のない厳しい世界へと足を踏み入れた。

「大学に進学したら、プロ(NPB)には4年後しか行けません。少しでも早く行きたいと思ってBCリーグに来たので、3年目の今年が勝負だと考えています。3年間で今が一番、覚悟を持って取り組めていると思います」

 今やNPBスカウトから注目される存在になったことは、十分に自覚している。三浦は「ボールの精度を見られていると思うので、そこは大事にしています」と語った。

 BCリーグ出身のNPB投手と言えば、2018年ドラフト6位で阪神に入団し、最優秀中継ぎのタイトルも獲得した湯浅京己が代表例だ。一方で、その後もBCリーグから多くの選手がNPBへの扉を開いているものの、投手が一軍の主力として定着するのは簡単ではない。

 次なる「独立リーグの星」を目指して。三浦遼大は勝負の秋に向けて、全力で腕を振るつもりだ。

菊地高弘●文 text by Takahiro Kikuchi