辺野古地区に掲示された沖縄県知事選のポスター(29日午後、沖縄県名護市で)=河津佑哉撮影

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「保守票を削ってきた相手との連携などあり得ない」

 沖縄県知事選(9月13日投開票)で、元郵政改革相の下地幹郎氏(65)が告示直前に出馬を取り下げ、自民党などが推す保守系新人の支援を表明したことが波紋を広げている。

 自民県連の一部が、頭越しに取り下げを主導した党本部に反発し、下地氏との連携に難色を示している。対抗馬の現職は「自民党は地元を軽視している」と主張し、訴えを控えてきた米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設反対を前面に打ち出す戦略に転換した。(島田愛美、横山潤)

 「沖縄を前に進めるために、自由民主党と政策協定を結んだ。合意から、新しい政治の役割を果たしていきたい。知事選挙には立候補しない」。告示2日前の25日夜、下地氏はX(旧ツイッター)で不出馬を表明した。下地氏はこの直前、自民の西村康稔選挙対策委員長らと面会し、子どもの貧困対策など4項目の政策で合意した。

 党本部側から県連側に連絡があったのは同じ頃。県連関係者は「寝耳に水だ」「選挙態勢に水を差した」などと憤る。27日に開いた会合でも「合意書を破棄すべきだ」などと党本部への批判が相次いだ。

 下地氏は、前回知事選で5万票余りを獲得。国政選挙を含め、幾度も自民候補と議席を争ってきた。自民関係者は「保守票を削ってきた相手との連携などあり得ない」と反発し、県連は「下地氏と接触、交渉はしない」と決めた。自民が推す前那覇市副市長・古謝玄太候補(42)は29日、同県南風原(はえばる)町での演説で下地氏に触れなかった。

現職陣営は「辺野古反対」を再び前面に

 一方、古謝候補との事実上の一騎打ちとなった現職の玉城デニー候補(66)は告示日の第一声で、「(辺野古移設は)絶対反対」と強調。29日の那覇市での演説でも「自己決定権を持っている知事を目指す」と力説し、移設を進める政府との対決姿勢を鮮明にした。

 玉城候補は過去2回の知事選で「反辺野古」を掲げ、勝利してきた。だが2023年、辺野古移設を巡る国との法廷闘争で県が敗れ、移設を止める手立てを失った。今年3月には辺野古沖で移設反対団体が運航する船が転覆し、女子高校生らが死亡する事故が発生。玉城陣営は政策の柱から反辺野古を外した。

 だが、下地氏の出馬撤回を受けて26日に開いた緊急幹事会で方針を一転。反辺野古を旗印に14年の知事選で結集した「オール沖縄」勢力の理念「イデオロギーよりアイデンティティー」に立ち返り、「地方自治に介入する政府・与党と対峙(たいじ)する」と決めた。

 陣営幹部らは「政府と協調か対立か。下地さんの件で有権者にとって分かりやすい構図に持ち込めた」「玉城さんも吹っ切れて迷いがなくなった」と話し、14年の知事選で勝利した際のうねりの再来を期待する。ただ、ある陣営関係者は不安を口にする。「反辺野古は諸刃(もろは)の剣。主張するリスクが消えたわけではない」