テレビ信州

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熊本地震の発生から28日で1か月。
長引く避難生活の中で課題となっているのが「災害関連死」です。
被災地の避難所では、何が起きているのか。支援に当たった伊那市職員の証言と、専門家の指摘から考えます。

最大震度7を観測した熊本地震。
これまでに、災害関連死の可能性がある2人を含む38人が亡くなっています。
住宅被害は4万3000棟を超え、今も2400人以上が避難所での生活を余儀なくされています。

長引く避難生活の中で深刻になっているのが、災害関連死をいかに防ぐかという課題です。
実際に被災地支援に当たった伊那市危機管理課の伊藤尚樹さん。8月8日から4日間、宇城市で避難所運営の支援などに当たりました。避難者は、薄手のシーツを敷いた段ボールベッドで生活。パーテーションは腰ほどの高さしかなく、荷物を入れたビニール袋なども周囲から見える状態でした。

伊藤尚樹さん
「寝ていると、廊下などから丸見えのような状態の方もいらっしゃるので、避難されている方にとってはストレスだなと感じましたね」

派遣された時期には、すでに物流は回復していて、おにぎりやペットボトル飲料のほか、日用品を配布しました。その一方で、避難所では閉じこもりがちになり、健康状態が心配される避難者の姿もあったといいます。

伊藤尚樹さん
「外に出てきても、あるのはテレビぐらいで、やることがないというのもあるかと思います。お弁当やおにぎりは、その共用スペースで配らせていただくので、その時しか見かけないような方もいらっしゃいました」

地震そのものを生き延びても、その後に命を落とす人が少なくありません。
10年前の熊本地震では228人、おととしの能登半島地震では522人が亡くなりました。避難所の環境悪化は、心身の健康を損ない、災害関連死につながる恐れがあります。避難所・避難生活学会代表理事の水谷嘉浩さんは、500か所以上の避難所を調査してきました。その水谷さんが指摘するのは、「変わらない避難所の環境」です。

避難所・避難生活学会 水谷嘉浩代表理事
「災害支援はですね、量の話になりがちなんですね。量の話というのは、お金の量とか、人の量とか、あと物資、 医療、福祉という、このように、どれだけ投入するかという話になっているんですけども。そうではなくて、短時間にいかに立ち上げるか。要は避難所のニーズ、あるいは避難者のニーズに48時間以内に目を向けて、満たすというか、応えることができるかどうか、要は立ち上がりのスピードの話だと思います」

参考にすべきだと話すのは、同じく地震の多いイタリアの制度です。イタリアでは、発災から48時間以内に、トイレ・キッチン・ベッドを備えた支援拠点を整備し、訓練を重ねたボランティアが運営に当たります。ベッドはプライバシーに配慮したドーム型テントの中に設置。食事もキッチンカーで調理した温かい料理が提供されます。
こうした設備と支援スタッフを一つのユニットとして全国に配備し、被災地の外からまとめて送り込むのがイタリアの特徴です。一方、熊本では…。

避難所・避難生活学会 水谷嘉浩代表理事
「1か月でまだ改善というような段階ですので、逆に言うとですね、避難者はこの1か月間我慢をし続けると。さらに言うと発災直後からですね、我慢が蓄積している状態になります。長期化に向けて、少しちょっと不安が残るかなと考えています」

ただ、日本の現行制度では、避難所の設置や運営は市町村の責務とされており、結果として、被災者自身が被災者を支える構図が生まれています。
水谷さんは、「制度を変えなければ、避難所の問題は解決しない」と訴えます。
一方で、今できる改善策もあるとして、市町村にこう呼び掛けます。

避難所・避難生活学会 水谷嘉浩代表理事
「今からでも考えてほしいのは、やはり外部の支援者に頼るということですね。丸投げするぐらいの勢いでやって、仕事の量を減らしてほしいですね。それが被災者の一番の支援になるんじゃないかなというふうに思います」

熊本地震の発生から1か月。長引く避難生活の中で、災害関連死を防ぐための環境整備が、今も問われています。