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構想日本の加藤秀樹代表が、日本の現状や問題点や未来への提言を語るOBSラジオのコーナー「加藤秀樹が語る、日本の未来構想」。今回のテーマは、お盆休み明けの今こそ考えたい「お盆再発見」。効率優先の現代社会において、失われつつある伝統行事が持つ本質的な価値を提言する。

【写真を見る】「お盆再発見」身近な伝統行事に課題解決のヒント “タイパ”優先の時代に問う

最大9連休となった今年のお盆休み。旅行などレジャーで過ごす人が多いが都会の若い世代を中心に、家で昔ながらのお盆の行事を行う人は減っている。

その一方で、インバウンドの外国人観光客が、寺での法事など日本人がやらなくなりつつある伝統的な体験に高い関心を寄せている。

お盆の起源と歴史的背景

お盆のルーツは古代インドにまで遡る。お経の多くがそうであるように、サンスクリット語の「ウランバナ」という言葉に由来するとされており、お釈迦様の時代以前から存在していた可能性もある行事だ。

本来のお盆は、月の満ち欠けを基準とする旧暦の7月15日前後(太陰暦では毎月15日が満月の時期)に行われていた。今の暦では8月中旬から9月上旬にあたる。

だから俳句の季語では「お盆」は秋とされている。現在は、関東ではそのまま7月半ばに行う地域もあるが、多くは時期だけ1か月遅らせた8月半ばに行うのが一般的のようだ。

中国には昔から7月に「中元節」という宗教行事がある。これはあの世の門が開き、多くの霊が帰ってくる時期とされ、祖霊を迎え、貧しい人々への振る舞いが行われた。インドルーツに中国の宗教行事が加わり、それが日本にきて更に変わって今の形になったのがお盆だ。

なお、日本の「お中元」の習慣は中元節から派生したものだ。また、台湾や香港では、現代でも中元節に厄払いや先祖供養が盛大に行われている。

しつらえと供え物に込められた深い意味

日本のお盆では、仏壇の前に精霊棚(盆棚)を作り、先祖を迎えるための様々な準備をする。そこには一つひとつに深い意味が込められている。

•乗り物(精霊馬・牛)
早く帰ってきてほしいという願いを込めてキュウリで細い「迎えの馬」を作り、あの世へ帰るときはゆっくりで良いように、そしてお土産をたくさん積んで運べるように、ナスで少し太めの「送りの牛」を用意する。

•火の扱い
13日にはご先祖を迎えるための「迎え火」を焚き、16日には京都の大文字などで知られる「送り火」を焚く。玄関などに飾る赤いほおずきも、ご先祖様への目印の役割を果たす。

•食事と供え物
帰ってきたばかりでお腹を空かせているだろうと白い「迎え団子」を用意し、帰る際にはお土産として「送り団子」を持たせる。お盆の期間中にお赤飯やおはぎ、そうめんを作る家も多く、赤い色は「魔除け」を、そうめんは長く繋がることから「命のつながり」を意味している。残された家族は、命のつながりに感謝しながらそのお下がりをいただくのだ。

「タイパ・コスパ」では測れないお盆の価値

火を焚いたり、飾り付けをしたり、先祖のための食事を作ったりと、お盆には細々とした準備が必要であり、現代人にとっては「面倒」なことが多い。そのため、今やお盆は実質夏休みとなっている。しかし、加藤代表はこの「面倒なこと」の中にこそ大事な意味があると言う。

準備を通じて家族が一体となって作業をしたり、親族が久々に集まったり、地域の人同士が助け合って盆踊りやお神輿、お囃子の稽古などを行ったり。そんなことが家族の絆やコミュニティのつながり、そして子どもたちにマナーやファミリーヒストリーを伝える機会になってきた。京都の祇園祭などはその典型で、7月に入るとあちこちでお囃子の稽古の音が聞こえてくる。

「絆」「ウェルビーイング」「インクルーシブ」「誰も取り残さない」といった言葉が頻繁に使われるが、その背景には孤立や孤独、うつ、引きこもりといった現代の問題や、都会への人口流出による過疎化がある。

お盆の「面倒な」準備や行事は、これらの問題に対する防波堤として、また生きるための知恵として機能していた。

最近、「タイパ(タイムパフォーマンス)」や「コスパ(コストパフォーマンス)」といった言葉が飛び交っている。しかし、行楽地での渋滞や長い列を考えると、長い目で見れば、家族や地域で一緒に行事を行うことのほうが、実は高い「パフォーマンス」を持っていると言えないだろうか。

地域で子どもたちが伝統に触れることは「うちの町はいいな」という感覚を育み、ひいては震災や大雨といった災害時に不可欠なコミュニティの力や助け合いの精神に繋がる。それが過疎化を防ぐことにもつながるかもしれない。日頃からの家族や地域のつながりがいざというときの安全、安心をもたらすのだ。

宝物は足元にある

さらに、大分県姫島村の子どもたちが可愛らしく踊る盆踊りをはじめ、各地に残る神楽などの伝統行事を残していくことは今や新しい価値を持ち始めている。インバウンドの観光客にとって魅力的な行事なのだ。お盆の行事も、その長い歴史やおはぎやそうめんに込められた意味を説明すれば、外国人も必ず興味を持つはずだ。

今や日本ではハロウィーンやバレンタインなど、海外のお祭りを商業的に輸入して大イベントになっているが、加藤代表は「外国の祭りを日本で変形させてありがたがるよりも、すばらしい宝物は実は足元にある」と提言する。

足元にある伝統行事の意味をもう一度考え直す「お盆再発見」。現代の社会課題を解決するヒントは、私たちが少し面倒だと感じて遠ざけてしまった、昔ながらの知恵の中に隠されているのかもしれない。