中国ロボット企業ユニツリーの上場巡る熱狂の裏でボトルネックも―独メディア
独ドイチェ・ベレの中国語版サイトはこのほど、中国のロボット企業、宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)の上場を巡る熱狂の裏で中国のロボット産業は商業化と技術革新において深刻なボトルネックに直面しているとする記事を掲載した。
記事がAFP通信やロイター通信の報道を引用して伝えたところによると、中国の北京で主に国内企業300社以上が出展する「世界ロボット大会」が開幕したのと同じ19日、ユニツリーが上海証券取引所のハイテク新興企業向け市場「科創板」に上場した。株価は公開価格を629%上回る初値を付けた後は伸び悩んだものの、時価総額は終値ベースで500億ドル(約7兆9000億円)に達した。
この熱狂はあくまでも将来への賭けであり、最も高度な人型ロボットでさえ、現状では商業的な応用は限られている。あらゆる現実世界の予測不可能な状況にも自律的に対応できるという究極の目標は、どの企業にとってもまだまだ遠い道のりだ。
中国政府は、人口危機による労働力不足に対処するため、ここ2回の「5カ年計画」でロボット産業の発展を求めてきた。モーニングスターの株式アナリスト、カンユーシャオ・リー氏は「中国の製造サプライチェーンは既に包括的であり、業界の次の段階は、ロボットが歩けることを実証することよりも、経済的に有用な作業を実行できることを実証することにある」と語る。
ユニツリーは、大半の同業他社とは異なり、商業用途で使われているロボット製品はわずかだが、黒字を確保している。ただ、アナリストによると、これまでの販売の多くは単発で、商業環境で使用されているロボットはほとんどなく、同社製品の販売先は主に研究機関や大学だ。上海のアイビー・キャピタルのベンチャーキャピタリスト、ヤン・カイ氏は「ユニツリーの株価はバリュエーションモデルではなく、政治的・経済的な考慮によって決まっている」と語る。スプリング・マウンテン・プージャン・インベストメント・マネジメントのウィリアム・シン会長は「ユニツリーの先行者利益が、他社の大半が赤字となっている同業界で生き残る一助になる」との認識を示し、「競争の初期段階にある今、上場して知名度を得た企業が資源を獲得し、持久力を持つことができる」と語る。
中国のこの分野における戦略的投資は米国からの対抗措置を招いている。米国は7月、国家安全保障上の懸念を理由に、外国製の新型の人型および四足歩行ロボットの輸入を禁止した。これに先立ち、米国防総省はユニツリーを中国軍とつながりがあるとする「軍事企業」リストに追加していた。
カウンターポイントリサーチのイーサン・チー氏は、中国の強みは製造規模、サプライチェーンの統合、コスト競争力にある一方、米国はソフトウエアと最先端の研究において「はるかに強い」と語る。業界関係者やアナリストは、米国の禁輸措置の業界全体への影響を軽視する見方を示している。Tech Buzz Chinaニュースレターの創設者であるルイ・マ氏は「企業は次なる技術的ブレークスルーを追い求め、実際に商業的に成功するものは何かを解明することに忙しすぎて、海外市場に多くの時間を費やす余裕がない」と語る。カウンターポイントの調査によると、米国での売上はほとんどの中国企業の収益のごく一部を占めるにすぎず、中国は人型ロボット市場の90%以上を占めている。(翻訳・編集/柳川)

