トップ俳優の座から転がり落ちたスターと、1000倍突破の“演技経験ゼロ”新人 『破墓/パミョ』監督の新作が注目のワケ

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一人は、失った評価を取り戻そうとする俳優。

もう一人は、まだ何も持っていないところから、初めて評価されようとする新人だ。

【写真】有罪が確定したユ・アイン、近況が話題

韓国映画『ヴァンピール』(原題)で、キャリアの両極にいる2人が同じ作品に立つ。

その2人とは、ユ・アインとキム・ドイだ。

『ヴァンピール』は、『黒い司祭たち』『破墓/パミョ』を手がけたチャン・ジェヒョン監督の新作。正体不明の請負人が、聖職者から依頼を受け、謎の異教徒集団を追うミステリー作品で、2028年の劇場公開を予定している。

キャストにはユ・アイン、イ・ソンミン、イ・ジュニョク、ユン・ギョンホ、チェ・ヒョヌクら実力派が並ぶ。

それだけでも十分に話題になる布陣だ。

しかし、今回のキャスティングで目を引くのは、ユ・アインの復帰だけではない。

演技経験が一度もない新人、キム・ドイが約1000倍というオーディションを勝ち抜き、重要な役に抜擢されたからだ。

ユ・アイン、約3年ぶりの“復帰”

まず大きな注目を集めているのが、ユ・アインだ。

(写真提供=NEW)『ヴァンピール』の本読みに参加したユ・アイン

2023年に違法薬物をめぐる問題が浮上して以降、活動を中断。出演していたNetflixシリーズ『地獄が呼んでいる』シーズン2を降板し、すでに撮影を終えていた映画『スンブ:二人の棋士』や『ハイファイブ!』の公開日程にも影響を与えた。

昨年、懲役1年、執行猶予2年、罰金200万ウォン(約23万円)とした原審判決が最高裁で確定した。

つまり今回の『ヴァンピール』は、問題以前に撮影を終えていた作品ではなく、騒動後にユ・アイン自身が新たに出演を決めた本格的な復帰作になる。

しかも相手は、『破墓/パミョ』で1100万人を超える観客を集めたチャン・ジェヒョン監督だ。復帰作としては、これ以上ないほど華やかだろう。

(写真提供=OSEN)チャン・ジェヒョン監督

だからこそ、韓国では複雑な見方も出ている。現在も執行猶予期間中であるユ・アインが、大型作品の中心人物として戻ることをどう受け止めるべきなのか。作品への期待と、本人の復帰への評価は必ずしも同じではない。

それでもユ・アインにとって『ヴァンピール』は、俳優としての評価をもう一度取り戻せるのか、そして復帰そのものを大衆に受け入れてもらえるのかを試される作品になる。

その隣に立つ“演技経験ゼロ”の新人

そんなユ・アインと同じ作品に、まったく正反対の立場から加わったのがキム・ドイだ。

(写真提供=NEW)『ヴァンピール』の本読みに参加したキム・ドイ

2008年10月21日生まれの17歳であるキム・ドイは、今年デビューした7人組ヒップホップガールズグループ「H//PE Princess(ハイププリンセス)」のメンバー。

驚くべきは、これまで演技経験がまったくないことだ。それでも『ヴァンピール』では、約1000倍に迫る競争率のオーディションを突破し、「ベールに包まれた少女」役に選ばれた。

しかもこの役は、単なる新人枠ではない。韓国メディアでは、企画段階から「姫」と呼ばれてきた核心人物で、物語全体を貫くキャラクターと伝えられている。

イ・ソンミン、イ・ジュニョク、ユン・ギョンホら経験豊富な俳優たちの中に、演技初挑戦の新人が入る。その事実だけでも、チャン・ジェヒョン監督が彼女に何かを見いだしたことは想像できる。

ただキム・ドイは、演者という面では“無名”だが、日本のK-POPファンなら名前に聞き覚えがある人もいるかもしれない。

キム・ドイが大きく注目されたのは、2025年10月からU-NEXTで配信された日韓合同オーディション番組『Unpretty Rapstar : HIP POP Princess』だ。

(写真提供=OSEN)『Unpretty Rapstar : HIP POP Princess』制作発表会

彼女は過去に別のサバイバル番組への出演歴も、デビュー経験もない練習生として参加。番組では、ラップや発声、パフォーマンスなど幅広い面で存在感を示した。何か一つだけではなく、何をやらせても形にしてしまうような器用さも印象的だった。

最終順位5位まで勝ち残り、H//PE Princessとしてデビューをつかんだ。

グループは5月27日に1stミニアルバム『17.7』で正式デビューしたばかりだ。つまり歌手としてデビューして約3カ月で、今度はチャン・ジェヒョン監督の映画に抜擢されたことになる。

(写真提供=Chapter-I)キム・ドイ
失った俳優と、まだ何も持たない新人

ここで改めて見ると、『ヴァンピール』のキャスティングは興味深い。

ユ・アインは、すでに演技力を評価され、数々の主演作を持ち、スターとしての地位を築いてきた。しかし今は、その評価をもう一度取り戻せるのかが問われる立場にいる。

(写真提供=OSEN)ユ・アイン

対するキム・ドイは、俳優としての評価そのものがまだ存在しない。失うものがない代わりに、何者になれるのかもまだ誰にもわからない。

つまり、ユ・アインにとって『ヴァンピール』は“再評価”の作品であり、キム・ドイにとっては“初評価”の作品だ。

一人は過去を背負ってスクリーンに戻り、一人は何の演技歴もないまっさらな状態でスクリーンに飛び込む。

2028年、観客が目にするのは映画の中の物語だけではない。『ヴァンピール』は、正反対の場所に立つ2人の俳優人生が交差する作品になりそうだ。