Googleが経営破綻した格安航空会社スピリット航空の社内データを1000万ドル(約16億円)で取得する見通しであることが分かりました。購入対象には約1億件のメールや約5億件のMicrosoft Teamsのチャットなどが含まれており、Googleは製品開発やAIモデルの改善に利用する方針です。

NOTICE OF AUCTION RESULTS AND SCHEDULED HEARING FOR THE DEIDENTIFIED DATA

(PDFファイル)https://document.epiq11.com/document/getdocumentbycode?docId=4606206&projectCode=SPJ&source=DM

Google to buy Spirit Airlines business data for $10 million | Reuters

https://www.reuters.com/legal/litigation/google-buy-spirit-airlines-business-data-10-million-2026-08-17/

Google buys Spirit Airlines emails, chats, documents out of bankruptcy

https://www.axios.com/2026/08/17/google-spirit-airlines-bankruptcy

スピリット航空は低価格を売りにしていたアメリカの航空会社で、2025年8月に連邦破産法11条の適用を申請しました。前年にも経営再建を目的とした破産手続きを行っていましたが業績を立て直せず、燃料価格の上昇や資金調達の行き詰まりを受けて2026年5月に運航を停止。その後は航空機や空港の発着枠など保有資産の売却を進めています。



スピリット航空が売却する資産には航空会社としての設備だけでなく、長年の業務で蓄積されたデジタルデータも含まれていました。Googleはスピリット航空から取得する業務データについて「製品やAIモデルの改善に役立つ可能性がある」と説明しています。購入対象には企業内で実際の業務に使われていたコミュニケーションや文書が幅広く含まれています。

裁判所に提出された資料によると、Googleの購入対象にはメール約1億件とメールアカウント約8万件、Microsoft Teamsのチャット約5億件、OneDrive上のファイル約1700万件、SharePoint上のファイル約2000万件などが含まれます。さらに財務・会計資料や従業員関連文書、研修記録、ITサポートの記録なども対象です。ソフトウェア開発関連ではウェブ・モバイル・バックエンドを合わせて516個のソースコードリポジトリやコミット履歴なども含まれるとのこと。

なお、乗客のプロフィールやマイレージ会員情報などの顧客データは購入対象から除外されています。売却対象となるデータについてもGoogleへ渡される前に第三者が個人を特定できる情報を削除・加工する「匿名化」を行い、費用はGoogleが負担します。売買契約ではGoogle側にも匿名化された状態を維持し、データを特定の個人や世帯と意図的に結び付けないことが求められています。

スピリット航空のデータを巡っては複数社による競売が行われました。Googleの当初の入札額は500万ドル(約8億円)でしたが競争の末に1000万ドル(約16億円)まで上昇。AI関連企業のMercorも入札し、最終的に750万ドル(約12億円)の代替入札者として選ばれました。Mercorは匿名化を自社で行う条件なら1000万ドル(約16億円)を支払う案も提示しましたが、スピリット航空側は価格だけでなく第三者による匿名化などの条件も考慮してGoogleを落札者に選んだと裁判所への提出資料で説明しています。



スピリット航空のデータをGoogleへ売却する取引については、ニューヨーク南部地区連邦破産裁判所が2026年8月19日に承認の可否を審理する予定です。Googleは受け取るデータから個人を特定できる情報を第三者が厳格に除去すると説明しており、裁判所が売却を承認すれば取引完了に向けた手続きが進められます。Googleとの取引が成立しなかった場合にはMercorの代替入札が控えているとのことです。