「御上先生」「ドラゴン桜」と何が違うのか 28年ぶり復活「GTO」が“薄口”に見えてしまう決定的な差
帰ってきた伝説の教師
フジテレビ系「GTO」(月曜午後10時)の視聴率が下落傾向をたどっている。1998年版から28年ぶりに復活したフジ渾身の連続ドラマだが、7月20日放送の第1話は世帯6.4%、個人3.8%、第2話は世帯4.8%、個人2.9%、第3話は世帯4.0%、個人2.4%、第4話は世帯3.9%、個人2.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)とキレイな下落傾向を描いており危険水域寸前となってきた。
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52歳になった伝説の教師・鬼塚英吉を演じるのが俳優の反町隆史(52)。教員になっても次々とクビになってしまう鬼塚は今回、令和のデジタル管理された高校に飛び込み再び破天荒な暴れっぷりで生徒と向き合う。こうした展開は98年放送の第1シリーズとまったく同じなのだが、深みもなくアクションも遠慮がち。どうしてここまで“薄味”なのか。ベテラン放送記者がこう語る。

「鬼塚が教鞭をとる姿が、ほぼ皆無というのは第1シリーズを踏襲しています。脚本家の遊川和彦氏もそのあたりは、あえて意識して鬼塚と生徒の関係性の方に物語の主軸を置いているのでしょう。ただ、女子生徒がワケあり男性に襲われそうになるシーンはあまりにアッサリ解決していますし、生徒の個性も画一的で魅力を引き出せていない。最近のヒット作であるTBS系日曜劇場『御上先生』(25年1月期)と比べると物足りなさは否めません」
どういうことか。
「松坂桃李演じる東大卒の文科省エリート官僚が実際に教壇に立ち、令和の高校生に論理的思考と知識の神髄を伝える姿の方がリアリティーを感じます。鬼塚が赴任したのも同じ進学校なのに、最大の日常であるはずの受験地獄のプレッシャーや学力差といった課題はスルー。ひたすら教室と放課後のトラブル解決だけに終始しており、まるで30年前の青春ドラマを見ているようです」(前出の放送記者)
とはいえ、視聴率が不振でもTVerのお気に入り登録は98万を超えており、初回の見逃し配信再生数は配信開始から4日間で270万回というカンテレ制作の月10ドラマで歴代最高をたたき出している。ただし、これには注意が必要。
「『GTO』はリアルタイム視聴にこだわる考察型のドラマではないので、配信で視聴する層が一定数いるのでしょう。しかし、配信の場合、1人で何回もリピート視聴する場合も多いので実態を正確に捉えているわけではありません。また、視聴率下落の理由としてコンプライアンス意識が高まった影響で、鬼塚のような破天荒な教師の描き方が難しくなりおとなしく丸く収まっている、などの見方があります。ただ、鬼塚自身、52歳という設定ですし演じる反町隆史の熟年の魅力も捨てたものではありません。それよりも鬼塚が赴任した私立誠進学園(せいしんがくえん)の描かれ方に違和感を抱く視聴者が多いのでは」(同)
大きな違和感
教師と生徒がタブレット端末を常時携帯。校内や学科の情報がデジタル管理され、生徒が教師を評価する教師フィードバック制度もある。生徒は登校するとすぐにタブレットを開き黙々と検索に没頭する……。令和のデジタル教育化を批判的に戯画化したいのだろうが、実際のところこんな学校は存在するのか。
「難関進学校のデジタル化(ICT教育)が進んでいるのは確かですが、それはあくまでも情報の扱い方を知るためで、多くの進学校はアクティブラーニングを通して生徒の積極的な発言やディスカッションを引き出す授業スタイルを重視しています。そのあたりをゴッソリ割愛し、生徒がまるでデジタル機器の奴隷であるかのような演出が続いていますね。これではあまりにステレオタイプ過ぎて大きな違和感を視聴者に与えかねません」(教育ライター)
鬼塚と同じ元暴走族だった弁護士の桜木建二(阿部寛)が大活躍するTBS系「ドラゴン桜」シリーズの生徒たちは「東大合格」という明確な目標があるからこそ、胡散臭い桜木の懐に飛び込んだ。しかし、一般的に受験競争にシビアな進学校の生徒や保護者が一切勉強の指導をせず、しかも担当科目である日本史の知識も怪しい鬼塚を「良い先生」として受け入れるには現実的にかなり無理がある。
「令和の視聴者はTBS系『御上先生』や『ドラゴン桜』のように、大学受験の厳しさや学校行政そのものに切り込むリアルなドラマに惹かれます。授業という学校本来の役割を全面カットして、人情と熱意だけで生徒のトラブルを解決するという鬼塚のスタイルは単なるヒーローアクションに見えてしまい、ドラマとしての深みを欠く要因になっています。一言で言うと“時代遅れ”ですね」(前出の放送記者)
2026年版「GTO」が何とも“薄口”になっているのはそのせいかもしれないが、他方で中高年世代を意識してか、98年版の出演者らを次々と登場させるなど確信犯的に懐メロ路線に走っているフシも見受けられる。
「8月10日放送の第4話では元生徒役の池内博之が出演しており、往年のファンを喜ばせました。第1話では98年版に出演した松嶋菜々子がCA役で出演していたのも懐かしい気持ちになります。このドラマの共演をきっかけに反町と松嶋は結婚したというエピソードも話題のひとつです。98年版で存在感を見せた大物俳優がサプライズ出演する可能性は大きい」(フジテレビ関係者)
意外にも今後の注目は大久保校長役で出演している宇梶剛士(64)だという。10代の頃に国内最凶と言われた暴走族「ブラックエンペラー」の総長を務め、2000人もの荒ぶる若者を束ねていたという異色の経歴の持ち主。
「予告編では暴走族出身の鬼塚と急接近するシーンも描かれています。弱気で存在感がなく忖度に余念がない大久保校長が今後、鬼塚から影響を受けて大化けする展開が予想されます。本物の元暴走族の熱演が令和の『GTO』を過激に盛り上げてくれることを期待したいですね」(前出のライター)
視聴率がV字回復する“グレイト”な展開となるか。
デイリー新潮編集部
