「撮り鉄」に腹立て車でバックか…「びびらせるだけ」「殺すつもりなかった」それでも殺人未遂は成立する?
「撮り鉄」とトラブルになった末の犯行か──。
徳島県鳴門市の踏切近くで、鉄道の撮影に来ていた10代男性を車でひき殺そうとしたなどとして、50代男性が殺人未遂と暴行の疑いで逮捕された。
SNS上には、車がバックする様子を撮影したとみられる動画が複数投稿されている。かなりのスピードが出ているようにも見え、危険な状況だったとわかる。
一方で、ネット上では、撮影のために道路に三脚を広げるなど、「撮り鉄」のマナーを問題視する声もあがっており、「どっちもどっちやな」といった反応もみられる。
●現場には「撮り鉄」が多く集まっていた
報道によると、50代男性は8月14日夕、JR高徳線の踏切付近で、鉄道の写真を撮りに来た10代男性と通行をめぐってトラブルになった。
その際、10代男性の胸ぐらをつかんだうえ、乗っていた車をバックさせてひこうとした疑いが持たれている。
取り調べに対して「バックしたのはびびらせようとしただけで殺すつもりはなかった」などと供述し、容疑を一部否認しているという。
ABCニュースによると、踏切付近には当時、「撮り鉄」と呼ばれる鉄道愛好家が多く集まっていたという。
●たびたび問題になる「撮り鉄」のマナー
もちろん、鉄道を撮影すること自体は違法ではない。
ただ、より良い写真を撮ろうとするあまり、私有地に無断で立ち入ったり、道路をふさいだり、駅員の指示に従わなかったりすれば、単なるマナーの問題で済まないこともある。
道路上で車の通行を妨げるような行為をすれば、状況によっては道路交通法上の問題が生じる可能性もある。
撮り鉄のマナー問題をめぐっては、これまでも各地でたびたびトラブルが起きている。
ただし、「撮り鉄に問題があったから仕方がない」とはならない。それぞれの行為は切り分けて考える必要がある。
●「びびらせるだけ」でも犯罪になる?
では、仮に撮影する側にマナー違反があったとして、車をバックさせて「びびらせる」のはどうなのか。
当然ながら、相手に腹を立てたからといって、車を使って威嚇していいことにはならない。
今回、50代男性には殺人未遂の疑いがかけられている。殺人未遂が成立するには、相手を死亡させる危険性のある行為に加え、「殺意」があったと認められることが必要になる。
ただし、「殺すつもりはなかった」と本人が話せば、それだけで殺意が否定されるわけではない。
●一歩間違えば「人の命を奪う」
車をどの程度のスピードで、どれくらいの距離から、どのように相手へ向けて動かしたのか。
相手との位置関係や直前・直後の言動など、さまざまな客観的な事情から殺意の有無が判断されることになる。
仮に殺意までは認められなかったとしても、車を相手に向けて動かして危険にさらした行為について、暴行罪など別の犯罪が成立する可能性はある。
「びびらせるだけ」のつもりでも、車は一歩間違えれば人の命を奪う。
仮に相手側に問題があったとしても、それと車を使って威嚇する行為は別問題だ。ハンドルを握る側には、それだけ冷静な行動が求められる。
