「フィジカルAIを日本の勝ち筋に」 富士通・時田隆仁が目指す『AI実装』
「今回の5社での取り組みは世界におけるロボットの本格的な実装を牽引する大変重要な一歩であり、産業界に新たな可能性をもたらすもの。各社の強みを掛け合わせて、これまでにない新たな価値を生み出していきたい」
こう語るのは、富士通社長の時田隆仁氏。
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富士通がファナック、安川電機、川崎重工業と連携。米半導体大手エヌビディアの技術を活用し、『フィジカルAI』分野で事業検討を始めた。ロボット関連3社と連携することで、ロボットとAI(人工知能)を組み合わせたフィジカルAIの社会実装を加速することが狙いだ。
具体的には、製造現場の生産性向上や物流の省人化・自動化、病院でのロボットによる医薬品や検体の院内搬送の自動化や、外来患者の受付、案内サービスを実現しようとしている。
ファナック社長の山口賢治氏は「深刻化する人手不足や現場の自動化・高度化に対するニーズはこれまで以上に高まっている。フィジカルAIの社会実装は極めて重要な役割を果たす。現場で実際に使える、柔軟で誰でも扱いやすいAIシステムの実現を目指す」と語る。
近年、フィジカルAIの開発が各国で進んでいる。製造業をはじめとする様々な産業分野において、少子高齢化に伴う労働力不足や熟練技術者の減少が深刻化する中、現場の課題解決へ向け、フィジカルAIに対する期待は高まるばかりだ。
もっとも、その実現には高いハードルがある。高度なロボット制御技術や質の高い現場データを活用したAIインフラ基盤に加え、これらを統合したデジタルとフィジカルをつなぐ協調制御基盤が求められる。一企業での開発には限界があり、時間もかかることから、今回、富士通はロボット3社との連携を決めた。
「今回のスキームにおいては、富士通がリード役となり、各業務のアプリケーションとロボット制御技術をシームレスにつなぐ協調制御・タスク計画基盤をエヌビディアの技術を取り込みながら構築していく。ロボットが自律的に動くようになることで、各現場での圧倒的な生産性向上が可能になる」(時田氏)
今年5月、富士通は2035年度を最終年度とする経営計画『中長期経営ビジョン2035』を発表した。AIをサービスに取り込み、すべてのサービスをAIで駆動させるため、事業モデルの転換を加速。フィジカルAIなどの新事業分野に10年間で3兆円規模を投資する。
富士通の25年度連結業績は、売上収益3兆5029億円(前年同期比1・3%減)、調整後営業利益3905億円(同27.1%増)。これを今後10年で売上収益は年平均6~9%、調整後営業利益率(25年度は11.2%)は年平均25~30%まで引き上げたい考え。そのためにも、今後はAIをいかに稼げる事業にもっていくかが問われる。
時田氏は「日本の勝ち筋を構築し、世界のいろいろな産業に展開していければと。各社の経験値や技術的な課題のフィードバックを受けることによって、富士通が提供するプラットフォームのクオリティも上がっていく。日本を代表するロボットメーカーの皆さんと共に、フィジカルAIを社会のあらゆる領域に拡大していくことで、社会全体での実装を目指す」と語る。
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