巨人次期監督に原辰徳氏の「再々々登板」説が急浮上 橋上秀樹代行は“優勝でも昇格はナシ”、松井秀喜氏も高橋由伸氏も決め手に欠ける理由とは
シーズン後半戦に入り、各球団が来季の構想を見据えた動きを見せ始めるなか、注目されるのが巨人の動向だ。阿部慎之助監督が長女への暴力問題で5月末に電撃辞任後、橋上秀樹監督代行が指揮を執るが、「次」をめぐって水面下でまさかのシナリオが動き出したという。
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巨人監督の条件には生え抜きかつ4番かエース
前半戦をAクラスで折り返した阪神、ヤクルトのオーナーは早々に「来季の監督続投」を示唆。
阪神の秦雅夫オーナーは7月24日の試合前、報道陣に「私の気持ちに全く揺らぎはありません」と、藤川球児監督の3年目続投の意向を示した。ヤクルトの成田裕オーナーも同16日のオーナー会議後、池山隆寛監督について「これだけ頑張っているので、(来年も)期待したい」と発言している。
一方、同じく首位争いに絡んだ巨人の山口寿一オーナーは同じオーナー会議後、電撃辞任した阿部氏の後任監督について「全く何も決まっていません」と白紙を強調した。
阿部氏に代わり急遽、チームを率いることになった橋上代行は健闘しているように見えるが、山口オーナーは「あくまでコーチの一人として監督代行を務め、他のコーチと話し合いながら、想像以上によくやってくれています」という言い方で、監督昇格を検討中のニュアンスには聞こえない。
巨人の若手OBが言う。
「巨人監督の条件には生え抜きかつ4番かエースという不文律があり、山口オーナーにこの方針を変える考えはないのでしょう。リーグ優勝しても、橋上代行を昇格させるつもりはないようです」
巨人でコーチの経験がある別のOBは、そうした前提が皮肉にも結果につながっているとの見方をする。
「橋上代行は思い切って若手を抜擢し、坂本(勇人)や丸(佳浩)などベテランを特別扱いしない。それができるのは"今季限り"という開き直りがあるのでしょう。コーチ陣もいつもは球団の伝統や生え抜きスター監督への遠慮でモノが言いにくいが、橋上代行はうまく協力してバランスがいい。手腕としては昇格でもいいと思うが……」
ファンの間でも"松井監督待望論"は根強いが…
来季の監督人事について実名でのコメントを避ける巨人OBも少なくなかったが、そのこと自体が成績を残す橋上代行の昇格が難しいことを物語っているのかもしれない。
V9時代に"エースのジョー"として活躍した城之内邦雄氏はこう語る。
「期待ということで言えば次の監督は松井秀喜。あるいは高橋由伸にもう一度やらせたい。桑田真澄はないでしょう……。投手出身より野手のほうがチームを見る視野が広い。ジャイアンツの厳しい野球を経験してきた者に、守備が甘くてバントが下手な今のチームを立て直してほしい」
名前の挙がった松井氏は昨年、長嶋茂雄氏が死去した後に師弟で交わした「約束」に言及し、ファンの間でも"松井監督待望論"は根強い。
「ただ、指導者経験がないなかで来年すぐに就任するのは準備期間が足りない。もともと、松井は築地に新球場ができるとされる2032年からの長期政権にする構想があった。松井の準備期間のために阿部の契約延長の選択肢もあったが、電撃辞任で時計の針が狂った。それゆえ後任探しも難航しています」(元球団関係者)
"再々々登板"の環境は整っている
もう一人の有力候補の高橋氏は球宴休み中の7月28日付の読売新聞が大々的に紙面を割いてインタビューを掲載するなど、グループに重用されていることが窺える。
「ただ、高橋は2015年に引退後、コーチ経験がないまま巨人監督に就任して翌年から2位、4位、3位と結果を残せず3年で辞任した。球団には手痛い失敗と記憶されており、それゆえに"松井監督"にも準備期間が必要と考えられている」(同前)
候補はいても決め手を欠くなかで「最大のキーマン」とみられるのが、原辰徳・元監督だという。これまで3度の監督を経験し、球団史上1位の1291勝を挙げてきた。
「阿部氏に禅譲して2023年に退任後も『オーナー付特別顧問』として球団に籍があり、相談役としてアドバイスを求められるなど山口オーナーの信頼は厚い。"私が後継者を育てます"と進言すれば、4度目となる登板はあり得る」(前出・若手OB)
実は"再々々登板"の環境は思いのほか整っているという。
「これまでの複数回の監督経験もあって、球団には原氏のやりやすいメンバーが多く残っている。原氏が後継者候補を育てたり、支えたりできる体制です。原氏の信頼も厚く球団執行役員を務める吉村禎章氏の現場復帰もあるでしょうし、川相昌弘、内海哲也、亀井善行ら生え抜きコーチ陣もいる。そこから後継指名もできます」(同前)
いずれの監督候補も決定打に欠ける現状に広岡達朗氏の嘆き
10年間続いた第二次原政権を高橋氏が継いで3年で退任となり、「コーチ経験を積ませなかった反省から阿部氏は第三次原政権で二軍監督や一軍ヘッドコーチを経験し、満を持して監督に就任した」(スポーツ紙デスク)という経緯がある。まさかの不祥事による阿部氏の辞任で、もう一度、原氏に後継育成を託す案が浮上しているかたちだ。
ただ、そんな仰天プランが飛び出すのは、いずれの監督候補も決定打に欠けるからだろう。その現状を嘆くのは巨人の大物OB・広岡達朗氏だ。
「監督とは何かを勉強している巨人OBが一人でもいるのか。もちろん、悪いのは球団ですが、誰かを単身で1か月でも米国に渡らせるなど、監督としての勉強をさせるべき。我々は巨人の厳しい野球を一生懸命、勉強させてもらって今日がある。ダメなチームで育ったヤツを獲って喜んでいるようでは巨人も終わりだが、かといって巨人OBにも誰もいない。強いて言うなら阿部にもう一度、チャンスを与えるべきでは。暴力は猛反省させ、監督とは何かをしっかり勉強することを前提に、再出発させてやってもいいじゃないか。それで阿部に後継者を育てさせるくらいのことをやらないと、巨人はよくならない」
「週刊ポスト」前号では7月下旬に阿部氏に直撃した肉声を報じたが、復帰について水を向けると「もちろん、そうしたい気持ちもあるけど……僕だけのアレじゃできないから」という反応を見せていた。
誰が来季の巨人を率いるのか。その行方はまだ混沌としている。
※週刊ポスト2026年8月28日・9月4日号
