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アイスクリームを手に持ったまま、会計せずに退店してしまった──。

弁護士ドットコムにそんな相談が寄せられている。

相談者によると、スーパーで買い物した際、ほかの商品はきちんと会計したのに、手に持っていたアイスクリームの支払いを忘れ、そのまま店を出てしまったという。

すぐに気づいたものの、なかなか店にいく機会がなく、しばらくして事情を説明し、商品の代金を支払うことができたそうだ。

会計したつもりで商品を持ち帰ってしまう──。セルフレジの普及もあり、「自分にも起こりそう」と感じる人はいるかもしれない。

しかし、代金を払わずに商品を店外へ持ち出したという点だけを見れば、いわゆる「万引き」と変わらないようにも思える。

今回のように「うっかり払い忘れた」場合でも、窃盗罪に問われる可能性はあるのだろうか。

●「払い忘れ」だけでは窃盗罪にならない

結論からいえば、本当に「うっかり」だったのであれば、原則として窃盗罪は成立しない。

窃盗罪は、他人の財物を盗んだ場合に成立する犯罪だ(刑法235条)。

ただし、商品を会計せずに店の外へ持ち出したという事実だけで、必ず窃盗罪になるわけではない。

窃盗罪が成立するためには、故意(および不法領得の意思)が必要となるからだ。

つまり、「代金を支払わずに商品を持ち去ろう」という認識があったかどうかが重要になる。

今回の相談のように、ほかの商品は会計しており、手に持っていたアイスだけを本当に失念していたのであれば、「盗むつもり」がなかったとして、窃盗罪は成立しないと考えられる。

●「忘れていただけ」はどう判断される?

とはいえ、「盗むつもりはありませんでした」と本人が言えば、それで済むわけではない。

故意があったかどうかは、さまざまな客観的な事情から判断されることになる。

たとえば、商品をバッグや衣服の中に隠していたのか、レジを避けるような行動をしていたのか、ほかの商品については会計していたのか、店を出た後にどのような対応をしたのか──。こうした事情が判断材料になり得る。

また、会計していないことに気づきながら、「今日はこのまま持ち帰り、代金は後日払えばいい」と考えて店を出たのであれば、単なる払い忘れとは事情が異なる。

店の商品は、客の判断で自由に「後払い」にできるものではない。代金を払っていないと認識しながら商品を持ち去れば、窃盗罪が成立する可能性がある。

●気づいたら、できるだけ早く店に連絡を

では、店を出てから「払っていない」と気づいた場合、どうすればいいのだろうか。

まずは、できるだけ早く店に事情を伝え、代金を支払うことが考えられる。

すでに商品を持ち出してしまった以上、後から代金を支払ったからといって、「持ち出した時点の行為」がなかったことになるわけではない。

一方で、本当に払い忘れだった場合には、気づいてすぐに店へ連絡するなどの行動は、「最初から盗むつもりだったわけではない」という説明とも整合する。

「たった数百円だから」「次に行ったときに払えばいい」と放置せず、気づいた時点で店に連絡し、店側の案内に従うのが無難だ。

アイスは時間が経てば溶けてしまう。しかし、「払い忘れた」という事実まで、時間とともに消えてくれるわけではない。

気づいたらそのままにせず、アイスが溶ける前に店へ連絡するくらいの対応がよさそうだ。