【山村 佳子】空港のラウンジで「大量持ち帰り」する高学歴ケチ夫の浮気がバレた”自業自得な理由”
宿泊施設の「持ち帰り」で逮捕された事例も
ホテルの備品を持ち帰って逮捕される事例は少なくない。2026年2月には、帯広のホテルでバスタオルとビニール袋1200円相当を盗んだとして47歳の男性が逮捕された。
2024年9月には転売目的で家電製品7点を盗んで41歳男性が逮捕されたり、規模の大きなものもあるが、客室の茶たくと茶碗2客ずつ、1200円相当を持ち帰って逮捕された女性もいる。軽い気持ちで備品を持ち帰るのも窃盗であることを忘れてはならない。
「備品の持ち帰り」で話題になるのはホテルなどの宿泊施設だけではない。空港のラウンジでも、文書として明確に「ラウンジ内の者はすべて持ち出しを禁止」と明記しているところがほとんどだ。これは航空会社だけではない。たとえば関西国際空港と大阪空港を運営する関西エアポートでは2026年2月に公式HPのラウンジ案内に「ご利用のお願い」という文書を掲出している。そこには「弊社ではラウンジをお客様に安全・安心・快適にご利用いただくために、ご利用に際し下記に掲げる行為等につきましてはご遠慮いただきますようお願い申し上げます」としたうえで、いくつかの項目の中にこの一文も明記されている。
・衛生管理および施設保全の観点から、ラウンジ内で提供している飲食物・備品をラウンジ外へ持ち出す行為(水・湯を含む)
キャリア10年以上、3000件以上の調査実績があるリッツ横浜探偵社の山村佳子さんは「物価高の今、節約意識が高まっており、持ち帰ったアメニティから浮気が露呈するケースが多いです」と言う。
夫婦カウンセラーの資格も持つ山村さんに依頼がくる相談の多くは「時代」を反映している。同じような悩みを抱える方々への問題解決のヒントも多くあるはずだ。山村さん連載から、夏休みに読み返したいテーマを抜粋してお届けする「探偵はカウンセラー夏休みスペシャル2026」最終回は「金銭感覚」がテーマだ。
今回紹介するのは43歳の彩子さん(仮名)からの相談事例。「夫の浮気がわかりました。証拠をとって、別れたいです」と山村さんに連絡をしてきた。
山村佳子(やまむら・よしこ)私立探偵、夫婦カウンセラー。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリング経験を持つ探偵として注目を集める。テレビやWEB連載など様々なメディアで活躍している。
「慰謝料が欲しいので証拠をとってください」
今回の依頼者・彩子さんから電話があったのは、日曜日の夜でした。「夫はさっき帰って来たんですが、仕事で泊まりといってて、絶対浮気しているんですよ。慰謝料が欲しいので証拠をとってください」と話していました。
覚悟が決まった人の声だとわかり、翌日の月曜日の夜にカウンセリングルームでお会いすることにしました。
声の調子から、颯爽と現れるのかと思っていましたが、実際は憔悴しきっている雰囲気が伝わってきました。洗いざらしのトレーナーに、穴の空いたジーンズ、スニーカーを合わせています。
「昨日、あれから“もう離婚だ”と思ったのですが、やはり離婚となると決心が揺らぎます。私も働いているとはいえ、小学校6年生の娘を1人で育てられるのかとか、パパっ子の娘に悪いことをしているのではないかと、頭の中で負のループが起こってしまって。不安で眠れなくなり、仕事を休んでしまったんです」
彩子さんはアート関連の仕事をしており、収入はさほど多くないそうです。まずは夫婦について伺いました。
「夫とは18年前に私が派遣で行った外資系のコンサルファームで出会いました。私は3歳から14歳までアメリカの学校に通っていたので、英語ができます。大学を出た後は、給料がいい派遣の仕事を転々として、お金が貯まると旅をするという生活を続けていたのです」
苦労をして東京の国立大学に
正規スタッフだった夫との接点は旅でした。夫は、山陰地方出身で、実家は決して豊かではなく、苦労に苦労を重ねて東京の国立大学に進学。卒業後は半年のバックパッカー生活を経て、現在の会社に就職しました。出張が多く、給料がいいことが、会社選びの条件だったそうです。
「夫は当時30歳そこそこだったのですが、圧倒的に仕事ができました。気配りもできて、女性にもモテていた。私がメイクポーチにつけていた中東のお守りに気づいて、“それ、ハムサでしょ。僕も持っている”と見せてくれたのです」
航空会社のラウンジで大量に「お持ち帰り」
一緒に食事に行くようになり、1年ほど時間をかけて交際に発展。それから1年以上が経過し、夫は香港の日系企業の建て直しプロジェクトに入ることに。
「これを機に結婚し、香港に帯同しました。出発するとき、会社が用意したチケットがビジネスクラスだったので航空会社のラウンジを利用したのですが、そこで夫はスナック菓子やキャンディ、コーヒー用の砂糖まで大量にバッグに入れたんです」
彩子さんが見かねて「戻しなよ」と指摘すると「ご自由にお持ちください、とあるからいいんだ」と平然と言ったといいます。「ご自由に」というのは当然「ラウンジ内で」ということのはずですが……。
「思えば、彼の家には航空会社や鉄道会社の備品のブランケットが何枚かありました。夫に“これ、備品だし、窃盗になるよ”と厳重に注意しました」
ブランケットは彩子さんが利用するときに、こっそり返却したといいます。
無料だと思ったものは持ち帰る
「夫は無料だと思ったものをバッグに入れる癖があるんです。絶対欲しいというものでないし、人並み以上の給料をもらっているのに……。食べるものも満足に与えられず、ネグレクトされていた気の毒な面はあるんです。それでもちょっとひどすぎる」
そこで、夫がテレワークで使っている小部屋を見ると、夫の名前と女性の名前が彫り込まれた海外ブランドのボールペン、夫が絶対買わない3万円もするブランドものの香水がありました。おそらく女性からのプレゼントでしょう。
「夫は、パッと見はそれなりにカッコいいので女性に不自由していません。結婚してから何度も浮気はありましたが、すぐに終わるのは、ものすごくケチで意地汚いから。食べ物を片っ端からものすごい勢いで食べてしまうし、無料のものに目がありません。でも今回の女性は今までとは違う感じする。それ以上に、あのケチな夫が1泊6万円もするホテル代を払っているのが、すごく許せない」
彩子さんが夫をケチだと連発するので、そう思う理由を聞いたところ、「私が出産するとき、“無痛分娩は高いから、普通分娩でいいだろう”と言ったんです」と即答。
「他にも、テーマパークは割高だから家族全員で行かない、お盆や正月やGWの旅行代が高いから自宅にいる、日常生活の細部に渡るまで夫の節約の自説を展開するんです。そういえば、最近夫とドラッグストアに行って、娘用のナプキンをカゴに入れたんです。すると“最近は、生理用品も学校でくれるんだろう?もらえないの?”と聞いてきて驚きました」
アクスタ1000円なんて正気の沙汰じゃない
だからと言って、夫は経済DVをしているわけではなく、彩子さんに月20万円の生活費を渡してはいます。マンションのローンや光熱費や通信費は夫が払っています。彩子さんが夫の浮気を見て見ぬふりをしているのは、夫がもたらす生活の安定感もあると感じました。
「そうなんです。高収入な夫には魅力がある。でも、気持ちよくお金を使えないプレッシャーも不快ではあるんです。私が自分の稼ぎで服やアクセを買っても“高かったんじゃないの”とか“いくらだった?”とか聞いてくるんです」
娘が“推し”のアニメキャラのグッズを購入したとき、夫は「くだらない。アクリルスタンドが1000円なんて正気の沙汰じゃない」などと馬鹿にして、娘は悲しんでいたそうです。
浮気がバレた“原因”
今回、浮気がわかったのもこの「もらい癖」によるものでした。
「夫のバッグを見たら、1泊6万円くらいする都内のホテルの名が入った便せんと封筒が入っていたんです。仕事で泊まるはずはないですし、あのケチな男が、こんないいホテルに泊まるなんて浮気意外に考えられない。家族では絶対に泊まらない高級ホテルですよ! しかも歯ブラシとカミソリ、シャワーキャップまで出てきたんです。
家族旅行のときは、ケチってばかりいて少しも楽しくないのに、こんなホテルだなんて……。あれ? 夫のことを話しているうちに、離婚してもいいような気がしてきました」
とはいえ、現在暮らしている都心の高級マンションでの生活にも未練はあり、このまま浮気を見なかったことにするのは悔しい。
離婚するにしても、金に執着する夫から、養育費と慰謝料を得たいという思惑もあり、調査に入ることにしました。
◇せっかくもらえるものを大切にいただくのはいいけれど、必要な分だけをもらうのではなく、がっさり持っていくのは「本当に必要としている人」のことを考えていない行動だ。
調査の結果は後編「空港ラウンジで「大量お持ち帰り」高学歴ケチ男、浮気がばれて口にした衝撃の「言い分」」にて詳しくお伝えする。
