「釣りが好きで、横須賀から船で沖に出てアジやタチウオを釣ります」と話す市寛也=神奈川新聞社

 第一線で活躍するチェリスト4人によるチェロ四重奏団「クァルテット・エクスプローチェ」が9月13日、県立音楽堂(横浜市西区)で演奏会を行う。結成から13年という長い時間の積み重ねから生まれる、重厚感に満ちたチェロアンサンブルを堪能できる。

 メンバーの市寛也(42)は横浜市青葉区在住。「3カ月前に引っ越してきました。いいところですね」とほほ笑む。

 他のメンバーは元読売日本交響楽団の高木慶太、市と同じNHK交響楽団(N響)の辻本玲、東京都交響楽団の森山涼介と、トップ奏者がそろう。

 まだ大学生だった2013年末に、気心の知れた仲間同士で結成した。市、辻本、森山は東京芸大、高木は桐朋学園大に在籍していたが、高校時代から知り合いだったという。

 「芸大と桐朋でチェロアンサンブルを合同で行ったり、神戸チェロコングレスという大きな国際イベントにみんなで参加したり、一緒になる機会は多かった。そこで何となく馬が合うメンバーで結成しました」

 結成翌年からツアーを行い、オーケストラでの演奏と並行して活発に活動してきた。「20代の頃はがむしゃらに勢いで弾いていたところもありましたが、全員が40代になり、演奏に落ち着きが出てきました。音が濃くなった気がします」

 それぞれの個性を、大学の同期でもある辻本は「ソリスティックな部分は、学生時代から抜きんでていた」、高木は「のびのびしていて、メロディックな歌い回しが本当にきれい」、森山は「キレのある音で、弾き方にもスピード感がある」と評する。

 「最初の頃はお互いの感覚が寄っていないので、議論して合わせていました」と振り返る。「今はそれぞれの引き出しも増えて、今のこの4人だとこういう音かなと察して、パッと出せる。合わせたり、わざと離れた音色にしたり。同じメンバーでの積み重ねって大事ですね」

 近年、チェロアンサンブルの団体や演奏会は増えているが、「同じメンバーで長く続いているチェロの四重奏団はなかなかない」という。

 バイオリン、ビオラとの四重奏に比べて、チェロだけの合奏では、迫力や重厚感が出ると指摘する。

 「チェロならではの魅力で音域も広く、響きが多い。それだけにメロディーが聞こえにくくなり、最初はバランスに苦労しました」

 曲も限られるため、アレンジでレパートリーを増やし、「アレンジを依頼する際に自分たちがやりたいイメージを伝えると、メロディーと伴奏が立体的に聞こえる曲に仕上がると分かってきた」と経験を重ねた。

 今回の演目は、前半はブラームスやワーグナー、超絶技巧を楽しめるポッパー「演奏会用ポロネーズ」などのクラシック中心に、後半はピアソラや「オペラ座の怪人」メドレーなどで構成し、変化をつけた。

 演奏会の最初に必ず弾くのが、バッハ「シャコンヌ」だ。「今日はこういう調子だな、と4人の音を確かめる意味もあります」

 自身は九州交響楽団のチェリストだった父の指導もあり、物心ついた時にはチェロを弾いていた。N響入団後にはドイツへ留学し、研さんを積んできた。

 「同じ曲でも人によって演奏が全く違い、常に発見がある。そうしたものを逃さずにたくさん吸収し、取り込んでいきたい。70歳くらいになった時、音楽家として何か一つ出来上がっていたらいいなと思います」

 午後1時半開演。全席指定、5千円。問い合わせは神奈川芸術協会電話045(453)5080。