著書累計200万部超の人気FPが直伝…目的、時期別で投資先を選ぼう 「NISA貧乏」に陥らないための超簡単な「見える化」
最近、「NISA貧乏」というワードがSNSを中心に流行しています。NISA貧乏とは、特に若年層が今の生活や自己投資を犠牲にして、NISAへの投資に資金をまわしすぎて、日常生活が苦しくなることを指します。なぜ、多くの若者がNISAの沼にハマってしまうのでしょうか。前編では3名のかたの事例をご紹介しました。後編では沼にハマる原因や問題点について解説します。
【前編を読む】手取りの6割超を投資にまわし、冷暖房や米を絶っても現金枯渇…若者のNISA貧乏「資産5000万円でもカツカツ」のナゼ
若いときにお金を使うことの大事さ
今回ご三方のNISA貧乏の事例をご紹介しましたが、共通しているのは、将来に対してかなり強い不安を抱えていることです。そして、将来の不安に備えてお金を貯めようとするばかりに、いまの生活を犠牲にしすぎてしまっています。
たしかに少子高齢化が加速しているなか、将来の年金に強い不安を抱くのもわかります。加えて、インフレ懸念、世界経済の不透明さなど、不安の要素を挙げれば数え切れないでしょう。とはいえ、将来への不安ばかりに気をとられて、いまの生活を楽しむことを忘れてしまっているのはもったいない話です。
世界中でベストセラーとなった『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス著/ダイヤモンド社)では、若いときにお金を使う価値がいかに高いのかが書かれています。
同書では、「1000万円の資産があれば、1000万円分の経験ができる。そのお金を残して死ぬということは、使って得られたはずの経験を得られないということ。人生の最後に自身の記憶に残るのは『モノ』よりも、さまざまな経験から得た『思い出』なのだから、経験や思い出に惜しみなくお金を使っていこう」と説いています。
「タイムバケット」を書いてみよう
若いうちの経験は価値が高いですし、新しいことを楽しめる能力は、年齢とともに下がっていきます。経験にお金と時間を使うことは重要です。経験に投資することで自分の価値が高まり、将来生み出せるものが増えれば、年収も上がる可能性が高いでしょう。経験から得られる「思い出」が増えれば、自分の幸福度も複利効果のように増していきます。
現在NISA貧乏のような状況に陥ってしまっているかたは、「タイムバケット」を書いてみましょう。タイムバケットとは、自分の年齢や年代をバケツに見立て、各年代で自分がしたいことをまとめたものです。いわば年齢別の「死ぬまでにやりたいことリスト」です。
時間と健康とお金を軸に考えると、自由な時間を得たからできること、健康であるから楽しめること、お金があるから実現できることがそれぞれ違うことがわかります。
残りの人生で何をしたいのかを時系列で考え、「見える化」することで、いまの人生も楽しむことに意識が向かいます。
将来に備えて資産形成することと、いまの生活を楽しむことのバランスを考えることがとても大切です。
目的・時期にあわせて商品を選ぶ
他にもご三方に共通していたのは、預貯金をほとんど持たず、資産の大半を投資にまわしていたということです。
いくらインフレで預貯金に預けていたらお金の価値は目減りするといっても、すべての資産を投資商品で運用するのはNGです。全ての資産を投資にまわしていると、いざお金を使おうとするタイミングで暴落が起きていたら、損失を抱えた状態で取り崩しをしなくてはならなくなってしまいます。
お金を貯めるときには、使う時期によって「短期」「中期」「長期」と3つに分けるのがベター。目的・時期にあわせて適した商品で貯めます。
短期のお金は「日々出入りするお金」です。日々出入りするお金とは、日常生活費やもしもの場合に備えるお金です。これらは、すぐに引き出して使えることが重要なので、現預金で貯めます。
中期のお金は「5年以内に使い道が決まっているお金」です。5年以内に使い道が決まっているお金には、たとえば「住居購入の頭金」「車の購入費用」「留学費用」「結婚資金」などがあります。これらのお金は使うまでにやや時間があるぶん、少しでも増やしたいところですが、使うときに元本割れしていたら足りなくなってしまって大変です。ですから、お金を確実に準備できる定期預金や個人向け国債が適しています。
長期のお金は「10年以上使わない将来のためのお金」です。10年以上使わない将来のためのお金とは、老後資金や10年以上先に使う「学び直し費用」などがあります。
これらのお金は使うまでに時間の余裕があるので、元本割れの可能性はあるけれど、増える可能性が高い株や投資信託を利用するのが適しています。その際、税制優遇のあるNISAとiDeCoを利用するのがベターです。
NISAは万能な制度ではない
NISAは活用度の高い制度ですが、万能な制度ではありません。投資である以上元本割れリスクがあるからです。つまり、NISAは短中期に使うお金を用意するのには適していないということです。
大前提として、投資を始める前に生活費6ヵ月分は現預金で必ず確保しましょう。急な病気やケガ、リストラなどが起こっても慌てずに済みます。もしもこうした万が一のときのお金もない状態で投資をしていたら、いざお金が必要になったというときに損失を抱えている資産でも売却せざるを得なくなります。なにより、キャッシュは心の安定を得るために必要なのです。
今回は、話題のNISA貧乏の事例をご紹介しましたが、そもそもお金は使ってこそ価値があるものです。上記でお伝えしたように、特に若い時期に自分自身に投資をしたり、経験・思い出にお金を使ったりすることは、その後の人生を豊かにする可能性が高まります。
NISA貧乏に陥ってしまっているかたは、いまの生活を充実させるための資金も確保するために、毎月の投資金額を見直してみましょう。必要以上に無理な投資を続けていると、資産は増えるかもしれませんが、人生を生きる上で失うものも多いでしょう。
これを機会にぜひ、一度立ち止まって自分の人生を考える時間を持ってみてくださいね。
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